ダイエット飲料や低カロリー食品…:1万人規模の追跡研究で分かった脳の人工甘味料と認知機能のリスク

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日常的に利用されている砂糖代替甘味料の摂取量が、脳の認知機能低下のスピードを加速させている可能性を示唆する大規模な研究結果が報告されました。

  

ブラジルの研究チームが約13,000名の成人を対象に約8年間にわたって追跡調査を行った結果、人工甘味料を最も多く摂取していたグループは、最も摂取量が少ないグループと比較して全体的な思考力や記憶力の衰えが62%早く進んでいることが明らかになりました

  

この認知機能の衰退スピードの差は、加齢に換算すると約1.6年分に相当する大きな影響です。

  

今回の研究は、対象者の観察を通して傾向を分析した「前向きコホート研究(観察研究)」に基づいています。

  

観察研究という性格上、甘味料が直接的に脳の衰えを引き起こしているという因果関係までを完全に証明するものではなく、あくまで強い関連性が示された段階である点には留意が必要です。

 

しかし、臨床的観察データとしての信頼性は非常に高く、特に糖尿病の人や60歳未満の世代においてその影響が強く観察された点は注目に値します。

 

以下に研究の内容をまとめます。

 

参考研究)

Association Between Consumption of Low- and No-Calorie Artificial Sweeteners and Cognitive Decline: An 8-Year Prospective Study(2025/09/03)

 

 

調査の概要と対象となった7つの甘味料

  

今回の研究では、カロリーがゼロまたは極めて低い7種類の甘味料が調査の対象として選ばれました。調査対象となった物質は以下の通りです。

  

・アスパルテーム

・サッカリン

・アセスルファムカリウム

・エリスリトール

・キシリトール

・ソルビトール

・タガトース

 

これらは、フレーバーウォーターや清涼飲料水、エナジードリンク、ヨーグルト、低カロリーを謳ったデザートなどの超加工食品に幅広く使用されています。

 

また、コーヒーや紅茶、料理用として単体で販売されているケースも少なくありません。

 

ここで言う 超加工食品とは、糖分や油脂、塩分を多く含み、さらに味や保存性を高めるための添加物や加工用原料が多数加えられた、工業的に作られた食品のことを指します。

  

8年間にわたる認知機能の追跡調査

この研究には、ブラジル全土に住む12,772名の成人が参加しました。

 

参加者の平均年齢は52歳で、研究チームは約8年間にわたって彼らの経過を観察しました。

 

研究の開始時点で、参加者は過去1年間に飲食した内容についての詳細な質問票に回答しました。

 

研究チームはこのデータに基づき、甘味料の総摂取量に応じて参加者を3つのグループに分類しています。

 

最も摂取量が少ないグループの1日あたりの平均摂取量は20ミリグラムであったのに対し、最も摂取量が多いグループでは平均191ミリグラムでした。

 

アスパルテームの量で換算すると、最も多く摂取していたグループの消費量は、ダイエットソーダ1缶に含まれるアスパルテームの量とほぼ同等です。

 

また、個別の甘味料の中で最も多く消費されていたのはソルビトールであり、1日あたりの平均摂取量は64ミリグラムでした。

 

参加者は、研究の開始時、中間地点、そして終了時の合計3回、認知機能の評価テストを受けました。

 

このテストでは、言語流暢性、作業記憶、単語の再生能力、処理速度など、脳の様々な機能が測定されました。

  

【用語】

 言語流暢性:記憶の中から言葉を素早く検索して発話する能力

作業記憶(ワーキングメモリ):情報を一時的に頭の中に保持しながら、同時に別の処理や作業を行うための脳のシステム

処理速度:目や耳から入ってきた情報を脳がどれほど素早く理解し、適切に反応できるかというスピード

 

  

甘味料の摂取量と認知機能低下の加速

 

年齢、性別、高血圧、心血管疾患、その他の関連する要因を統計的に補正した結果、研究チームは甘味料の摂取グループ間に明確な違いがあることを発見しました。

 

甘味料の摂取量が最も多かったグループは、最も少なかったグループに比べて、思考力や記憶力全体の低下スピードが62%早いことが判明しました

 

この差は、脳の年齢が約1.6年分余分に老化したことに相当します。

 

また、中間レベルの摂取量のグループであっても、最も少ないグループと比較して35%早い低下が見られ、これは約1.3年分の加齢に相当する影響でした。

 

 

60歳未満の層で顕著に見られた関連性

年齢層によっても結果には変化が見られました。

 

60歳未満の参加者において、甘味料を最も多く摂取していた人々は、最も少なかった人々と比較して、言語流暢性および全体的な認知機能のパフォーマンスにおいてより早い低下を示しました。

 

一方で、60歳以上の参加者においては、同様の明確な関連性は検出されませんでした。

 

さらに、甘味料の摂取と認知機能衰退の加速との関連性は、糖尿病のない人に比べて、糖尿病を患っている人においてより強く見られました。

 

糖尿病患者は血糖値を急上昇させる食品を控えるよう指導されることが多いため、砂糖の代替品として人工甘味料をより頻繁に利用する傾向があると考えられます。

 

 

個別の甘味料による影響の違い

研究チームが甘味料を個別に分析したところ、調査した7つのうち6つの甘味料において、全体的な認知機能、特に記憶力の早い低下との関連が確認されました。

 

認知機能低下との関連が認められた6つの甘味料は以下の通りです。

 

・アスパルテーム

・サッカリン

・アセスルファムカリウム

・エリスリトール

・ソルビトール

・キシリトール

 

一方で、タガトースだけは、本研究において認知機能の低下との明確な関連が見られなかった唯一の甘味料でした。

 

研究者は、「中年期において、糖尿病の有無にかかわらず認知機能低下との関連が見られましたが、糖尿病患者は砂糖の代替品として人工甘味料を使用する可能性が特に高いのが実情。今回の知見をさらに確定させ、リンゴソース、ハチミツ、メープルシロップ、ココナッツシュガーなど、他の精製されていない砂糖の代替品が有効な選択肢となり得るか調査するためには、さらなる研究が必要」と述べています。

 

 

研究の限界

この研究には、いくつかの留意すべき制限事項が存在します。

 

まず、現在食品や飲料に使用されているすべての人工甘味料が今回の調査に含まれているわけではありません。

 

そのため、今回の結果をあらゆる種類の砂糖代替品にそのまま当てはめることはできません。

 

また、食事に関する情報は参加者自身の自己申告に基づいています。人間は過去に食べたものを忘れてしまったり、摂取量を正しく見積もれなかったりすることがあるため、自己申告による食事データにはある程度の曖昧さや不誤差が含まれる可能性があります。

 

何よりも重要な点として、本研究は観察に基づく調査であるため、甘味料の過剰摂取が認知機能の衰退を「直接引き起こした」という因果関係までを証明しているわけではありません

 

他の生活習慣や環境的要因が今回の結果に影響を与えている可能性も排除できません。

 

今回の研究結果は、低カロリーやノンカロリーという表記を鵜呑みにせず、人工甘味料との付き合い方を一度見直す良いきっかけになるでしょう。

  

 

まとめ

・平均年齢52歳の成人12,772名を対象に、約8年間にわたる追跡調査を実施

・人工甘味料の総摂取量が最も多いグループは、最も少ないグループに比べて記憶力や思考力の低下が62%早く、これは約1.6年分の脳の老化に相当

・この関連性は60歳未満の成人や糖尿病を持つ人で特に強く観察され、調査した7つの甘味料のうちタガトースを除く6つで記憶力低下との関連が見られた

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