徒然草

文学

他人に勝つなら知識で勝ると良い~徒然草~【第百三十段】

第百三十段 物に争はず、己れを枉げて人に従ひ、我が身を後のちにして、人を先にするには及かず。 物事は争わず、自分を曲げて人に従い、我が身を後回しにしてでも他人を優先するに越したことはない。    万の遊びにも、勝負を好む人は、勝ちて興あらん...
雑記

噂を信じて臆病になる~徒然草〜【第八十九段】

第八十九段 「奥山に猫またといふものありて、人を食らふなる。」と、人のいひけるに、 「奥山に猫又というものがいて、人を食べるそうだ。」と、誰かが言ったところ、   「山ならねども、これらにも猫の経上(へあ)がりて、猫またになりて、人とること...
文学

安全なときこそ注意する~徒然草~【第百九段】

第百九段 高名の木登りといひし男、人を掟てて、高き木に登せて、梢を切らせしに、 木登りの名人と呼ばれる男が、弟子を高い木に登らせて枝をらせていたところ、    いと危く見えしほどは言ふ事もなくて、降るゝ時に、軒長ばかりに成りて、 危なそうな...
文学

知ったかぶりが恥をかく~徒然草~ 【第二百三十六段】

第二百三十六段 丹波に出雲と云ふ所あり。 丹波に出雲という場所がある。   大社(おほやしろ)をうつして、めでたくつくれり。 大社(出雲大社の神霊)を移して、立派に造ってある。   しだのなにがしとかやしる所なれば、秋のころ、聖海上人、その...
文学

恐れを使って危険を察知する~徒然草~【第百八十五段】

第百八十五段 城陸奥守泰盛(じやうのむつかみやすもり)は、双なき馬乗りなりけり。 安達泰盛(北条貞時の外祖父)は、2人といない馬乗りの達人である。   馬を引き出(いだ)させけるに、足を揃へて閾(しきみ)をゆらりと越ゆるを見ては、「これは勇...
文学

毎日心がけていれば自然にできるようになる~徒然草~【第三十二段】

第三十二段 九月廿日(はつか)の比(ころ)、ある人に誘はれたてまつりて、明くるまで月見ありく事侍(はんべ)りしに、 九月二十日頃のこと、ある人に誘われて夜があけるまで月を眺めながら歩いていた、   思い出づる所ありて、案内させて、入り給ひぬ...
文学

孤独な時間を楽しもう~徒然草~【第七十五段】

第七十五段 つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。 やることがなく暇な人というのは、どんな気持ちなのだろう。   まぎるゝ方なく、たゞひとりあるのみこそよけれ。 心が乱されることなく、ただ一人でいることは良いものだ。    世に従へば、心、...
文学

お金を使わないならば、金持ちも貧乏も同じだろう~徒然草~【第二百十七段】

第二百十七段 或大福長者の云はく、「人は、万をさしおきて、ひたふるに徳をつくべきなり。貧しくては、生けるかひなし。富めるのみを人とす。 ある大金持ちが言うには、「何をさしおいても、ひたすら金(富)を儲けるべきだ。貧しくては生きる意味がない。...
文学

嘘をつかれたときの愚か者の行動10選~徒然草~

第百九十四段 達人の、人を見る眼は、少しも誤る所あるべからず。 達人の人を見る目には、間違いがあるはずがない。   例へば、或人の、世に虚言(そらごと)を構へ出して、人を謀る事あらんに、素直に、実と思ひて、言ふまゝに諮らるゝ人あり。 例えば...
文学

才能がないとしても名人になる方法~徒然草~【第百五十段】

第百五十段 能をつかんとする人、 これから何か芸を身につけようとする人の中で、      「よくせざらんほどは、なまじひ人に知られじ。うちうちよく習ひ得て、さし出でたらんこそ、いと心にくからめ。」 「下手なうちは人に見られたくない。よく練習...
文学

本当に賢い人は分からないことに気づく~徒然草~【第五十二段】

第五十二段 仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、ただひとり、徒歩より詣でけり。 仁和寺にいる法師が、年をとるまで石清水を拝んだことがないことを気がかりにして、ある時、一人で歩いて参拝することに...
文学

一部分だけでその人を判断してはならない~徒然草~【第百九十三段】

第百九十三段 くらき人の、人を測りて、その智を知れと思はん、さらに当るべからず。 物事を判断する力の低い人が、他人の知性を測ろうとしても、到底当たるわけがない。     拙き人の、碁打つ事ばかりにさとく、巧みなるは、賢き人の、この芸におろか...
文学

常に本番を想定すると良い~徒然草~【第九十二段】

第九十二段 或人、弓射る事を習ふに、諸矢を手挟みて的に向かふ。 ある人が弓を射る方法を習うのに、二本の矢を持って的に向かった。   師の云はく、 師が言うには、   「初心の人、二つの矢を持つことなかれ。 「初心者は、二つの矢を持ってはなら...
文学

勝とうと思うより、負けないようにすると良い~徒然草~【第百十段】

第百十段 双六の上手といひし人に、その手立てを問ひし侍(はんべ)りしかば、 双六の名人に、強さの秘訣を聞いたところ、      「勝たんと打つべからず、負けじと打つべきなり。 「勝とうと思い打つのではなく、負けてはならないと思い打つのだ。 ...
文学

たとえ本心でなくても賢い人から学ぶべし~徒然草~【第八十五段】

第八十五段 人の心すなほならねば、偽り無きにしもあらず。 (人の心は純粋ではない、嘘がないわけでもない。)    されども、おのずから、正直の人、などかなからん。 (しかし、まれに、本当に正直な者もいる。)    己すなおならねど、人の賢を...
文学

ここぞと言うときは機会を待たず動け!的な~徒然草~【第百五十五段】

半年ほど前から勉強前の字の練習として徒然草を無心で写しているのですが、よくよく内容を読んでみると結構良いことが書いてあるのですね。       時々このように勉強になった章を書き残していこうと思います。         第百五十五段 世に従...