国際的なガイドラインでは、妊娠中のカフェイン摂取を制限することが推奨されています。
カフェインは刺激物であり、妊娠中に摂取すると胎児の脳の発達に影響を与える可能性があると考えられています。
一部の研究では、妊娠中のコーヒー摂取が、言語、運動スキル、注意力、多動性、衝動的な行動など、注意欠陥多動性障害(ADHD)に関連する神経発達の問題と結びついていることが示唆されています。
しかし、コーヒーが本当に原因なのでしょうか?
Cambridge University Pressから発表された新しい研究は、妊娠中のコーヒー摂取について明らかにすることを目的としています。
数十年にわたり、何万人もの妊婦を対象に調査を行った結果、遺伝や収入などの他の要因を考慮に入れた場合、どのような結果になったのか。
今回のテーマとしてまとめていきます。
参考記事)
・Scientists Unravel Link Between ADHD And Coffee During Pregnancy(2024/10/26)
参考研究)
コーヒーは胎児に悪影響か

過去の研究では、妊娠中のコーヒー摂取と子どもの神経発達の問題との関連が指摘されていましたが、カフェイン自体が直接の原因であるとは証明されていません。
妊娠中の生物学的変化により、カフェインの代謝が遅くなるため、体内でのカフェインの分解と排出に時間がかかることは分かっています。
また、カフェインとその代謝物が胎盤を通過することが知られており、胎児にはそれらを分解するための酵素がないため、胎児の発達に影響を与える可能性があると考えられていました。
ただし、妊娠中のコーヒー摂取が胎児の脳の発達に直接影響を与えているかどうかを特定することは困難です。
コーヒーを飲む妊婦と飲まない妊婦の間には、他の要因の違いがあるかもしれません。
これらの要因には、妊娠中にどれだけ飲酒や喫煙をしているか、親の収入や教育レベルなども考慮する必要があります。
例えば、コーヒーを飲む人は、飲まない人よりもアルコールやタバコの摂取が多い傾向にあることが知られています。
コーヒーが胎児に悪影響あると決めつけるにはまだ早いと言えます。
研究の方法
本研究では、コーヒー摂取と神経発達の問題の関係を、これらの交絡因子(病気の発生に影響を与える要因のうち、目的とする因子以外の因子)を排除した上で調べました。
具体的には、遺伝学的要因を用いて、母親がコーヒー摂取に関連する遺伝子を持っているかどうかで、子どもの発達の違いを比較しました。
1999年から2008年にかけてノルウェーの「Cohort Profile Update: The Norwegian Mother and Child Cohort Study (母・父・子コホート研究)」に登録された数万家族を対象に調査を実施しました。
妊婦たちは、妊娠前と妊娠中のコーヒー摂取量を報告し、また、子どもの神経発達特性について、6ヶ月から8歳までの間にアンケートに回答しました。
調査では、注意力、コミュニケーション、行動の柔軟性、活動や衝動の調整、運動・言語スキルに関する調査が含まれていました。
さらに、親と子どもから遺伝的サンプルを採取し、遺伝的変異をコントロールすることで、コーヒー摂取による行動の影響を特定しました。
研究結果
調査の結果、妊娠中のコーヒー摂取が子どもの神経発達の問題を引き起こす強い因果関係は見られませんでした。
この結果は、他の変数や遺伝的な要因からコーヒーの影響を切り離して調査を行ったことが、過去の研究とは異なる結果をもたらした可能性があります。
ただし、いくつかの注意点もあります。
重要な点として、私たちの研究は強い影響を排除したものの、小さな影響がある可能性は否定できません。
また、母親や子どもに他の影響がある可能性もあり、それらの詳細な調査が今後の課題です。
しかし、過去の研究から、妊娠中のコーヒー摂取が出生体重や妊娠期間、流産や死産のリスクに強い影響を与えることはないことが示されています。
まとめ
・妊娠中のコーヒー摂取は、子どもの神経発達に強い影響を与えるとは限らない
・交絡因子を除外した調査により、コーヒーと神経発達問題との因果関係が見られなかった
・適度なコーヒー摂取(1日200mg以下)は安全とされており、不安がある場合は医師に相談を


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