砂糖は「食べるより飲む方が危険」──最新研究が示す甘い飲み物の摂取リスク

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今でにも何度も取り上げてきましたが、砂糖の過剰摂取が健康に悪影響を及ぼすことは、すでによく知られている事実です。

  

2025年に発表されたブリガムヤング大学による新たな研究レビューによると、「どのくらい砂糖を摂るか」よりも、「どのように摂るか」の方が、糖尿病リスクに深く関係している可能性があることが明らかになりました。

  

本研究は、炭酸飲料やスポーツドリンクといった「加糖飲料」と、ケーキやクッキーなどの「砂糖を含む食品」との健康影響の違いに焦点を当てたものです。

  

同大学の栄養学、食品科学の助教であるKaren Della Corte博士は、「この研究は、糖の摂取方法に関する重要な空白を埋めるものである」と述べており、砂糖に関する議論を一歩進めるものとしています。

  

以下に研究の内容をまとめます。 

 

参考記事)

Drinking Sugar Could Be Worse For Your Health Than Eating It, New Study Suggests(2025/07/05)

  

参考研究)

Dietary Sugar Intake and Incident Type 2 Diabetes Risk: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies(2025/04/22)

  

  

甘味飲料は二型糖尿病のリスクを大きく引き上げる

研究チームは、全世界50万人以上を対象とした29の観察研究を統合的に分析しました。 

 

分析では、糖の摂取の仕方が二型糖尿病の発症リスクに与える影響について、これまでにない広範な視点から検証が行われました。

 

その結果、クッキーやケーキなどの食品に含まれる砂糖と比べると、飲料に含まれる糖分の方が明らかに病気になるリスクを高めていたことが分かりました。 

Drinking Sugar Could Be Worse For Your Health Than Eating It, New Study Suggestsより

ここで言う飲料(ピンクのグラフ:SSB)は、スポーツドリンクやエナジードリンクなどの甘味飲料(約355ml)とし、これらの飲料を1日1本追加で摂取するごとに、糖尿病リスクは約25%上昇していました。

  

さらに、果汁100%のジュースであっても、約240mlの摂取時点で5%のリスク上昇が見られました。

 

一方で、食品由来の砂糖(甜菜糖など)については、むしろ適度な摂取が保護的に働く可能性があるという結果も報告されています。

 

具体的には、1日20g(約小さじ2杯)の砂糖摂取が、糖尿病リスクの低下と関連していたことが示されました。

 

これは精製糖だけでなく、果物に含まれる糖などの自然由来の糖も含めた「総糖分」の値という点に注意が必要です。

 

クッキーやケーキなどのお菓子に含まれる砂糖が良いという意味ではないことです。

 

果物や野菜に含まれる抗酸化作用やミネラル分が糖尿病リスクの低下に関係していることや、天然の砂糖を摂取する人は、運動や食べ過ぎ防止、その他の健康的な習慣を持っていることが多いことも留意すべき点でしょう。

 

 

液体の糖が体に与える独特な悪影響とは? 

 

それでは、なぜ甘味飲料、つまり「液体の糖」がここまで悪影響を及ぼすのでしょうか?

 

Della Corte博士は、「飲料には食物繊維やタンパク質、脂質などの“消化を遅らせる成分”が含まれていない点が大きい」と説明しています。

 

このため、血糖値やインスリンの急激な上昇を引き起こし、満腹感を感じる前に大量の糖が体内に流れ込むのです。

 

さらに、特に問題視されているのが、甘味飲料に含まれる果糖(フルクトース)の影響です。

 

果糖は肝臓で直接代謝され、過剰摂取時には中性脂肪に変換されやすくなります

  

その結果、肝臓への脂肪の蓄積が進み、インスリン抵抗性が発生し、糖尿病リスクが高まるとDella Corte博士は説明しています。

 

加えて、人工着色料や香料、保存料などの食品添加物も問題視されています。

 

Schmidt博士は、「甘味飲料に含まれるこうした添加物は、人体の繊細な代謝バランスに影響を及ぼしうる」と述べており、単なる糖分だけでは語れない複合的な健康リスクが存在していることを強調しています。

 

 

甘味飲料をやめるには、段階的なアプローチが有効?

 

甘味飲料は習慣性があり、依存的に飲んでしまう人がほとんどです。

 

甘味飲料を減らすための第一歩としては、参考にした記事内では「段階的な離脱」が有効であるとされています。

 

たとえば、炭酸水と果汁またはソーダを1:1で割るところから始めて、徐々に果汁や砂糖の量を減らしていくという方法です。

 

週ごとに砂糖の割合を減らし、最終的には炭酸水だけを飲めるようになることが理想的としています。

 

本研究では、適度な固形糖分の摂取が健康リスクを下げる可能性もある一方で、液体の糖分、特に清涼飲料水やスポーツドリンクの常習的な摂取は、深刻なリスクをもたらしうることが明らかになりました。

 

この違いを理解することが、糖尿病や生活習慣病の予防において極めて重要だといえるでしょう。

 

また、こういった知識が身につくことで、慢性的なだるさやイライラ、腸の不調などを感じた際、「甘い飲み物を止める」という選択肢を選ぶきっかけにもなるでしょう。

 

 

まとめ

・甘味飲料は、固形の砂糖よりも二型糖尿病リスクを大幅に高める可能性がある

・液体の糖は吸収が早く、肝臓に脂肪を蓄積させ、インスリン抵抗性を引き起こす

・砂糖の摂取は「量」だけでなく「形態」と「背景栄養素」が健康への影響を左右する

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