ジンジャー(生姜)とターメリック(ウコン)は、ともにショウガ科(Zingiberaceae)に属するスパイスであり、古くから伝統医療の一環として利用されてきました。(Synergistic Anti-Inflammatory Activity of Ginger and Turmeric Extracts in Inhibiting Lipopolysaccharide and Interferon-γ-Induced Proinflammatory Mediatorsより)
これらのスパイスは、ただ風味を加えるだけでなく、健康面にも多くの恩恵をもたらすと考えられており、現代においても注目されています。
本記事では、ジンジャーとターメリックのショットを飲むことによって期待できる7つの効果について、関係する研究を踏まえながらまとめていきます。
参考記事)
・7 Reasons You Should Take a Ginger and Turmeric Shot Every Day(2025/03/05)
参考研究)
ショウガとターメリックの効果

1. 抗酸化作用が高い
酸化ストレスは、体内で発生するフリーラジカルと抗酸化物質とのバランスが崩れることによって生じ、長期間にわたると糖尿病、肥満、心疾患、さらにはがんのリスクが高まるとされています。(Oxidative Stress in Health and Diseaseより)
ジンジャーとターメリックには、ジンゲロール、ショウガオール、クルクミンといった強力な抗酸化成分が含まれており、これらの成分は互いに補完しあうことで、体内の酸化ストレスを効果的に抑制する作用を発揮します。(Exploring the biochemical and antioxidant potential of ginger (Adric) and turmeric (Haldi)より)
(Exploring the biochemical and antioxidant potential of ginger (Adric) and turmeric (Haldi)より ・TPE=ターメリックパウダーエキス
・GPE=ジンジャーパウダーエキス
・TGPE=ターメリック&ジンジャーパウダーエキス
・TRP=総フェノール量
・FRAP=鉄還元抗酸化力≒酸化を防止する能力
研究結果をまとめた表から、ショウガとターメリック(ウコン)両者を組み合わせることで、個々に摂取するよりも高い抗酸化効果が期待できることが示唆されています。
2. 炎症を抑える効果
炎症は体が外部からの刺激や怪我に対して反応する自然なプロセスですが、慢性的な炎症が続くと、自己免疫疾患、うつ病、パーキンソン病、さらには特定のがんや心血管疾患といった深刻な健康問題につながる可能性があります。
ジンジャーとターメリックに含まれる成分は、ショウガオールとクルクミンとして知られ、これらが炎症の原因となる分子の生成を抑え、慢性炎症の発生を防ぐ働きをすることが研究で示されています。(Synergistic Anti-Inflammatory Activity of Ginger and Turmeric Extracts in Inhibiting Lipopolysaccharide and Interferon-γ-Induced Proinflammatory Mediatorsより)
Synergistic Anti-Inflammatory Activity of Ginger and Turmeric Extracts in Inhibiting Lipopolysaccharide and Interferon-γ-Induced Proinflammatory Mediatorsより ・Nitric oxide=一酸化窒素
・IL-6=インターロイキン-6
・TNF=腫瘍壊死因子
上記の3つはそれぞれ炎症に際して反応する代表的な物質(炎症性サイトカイン)
・炎症性サイトカイン
炎症が起こる際に細胞から分泌される低分子のタンパク質の総称
免疫反応を促進する働きを持ち、細菌やウイルスなどの異物を排除する役割を担う
動物実験の結果からも、これらの成分が炎症を効果的に低減させる効果が認められておりますが、人間での効果を確認するためには、さらに大規模な研究が求められております。
3. 免疫力の向上
ジンジャーとターメリックは、その抗炎症作用と抗酸化作用により、免疫システムの強化に寄与すると考えられています。(Strengthening the Immune System and Reducing Inflammation and Oxidative Stress through Diet and Nutrition: Considerations during the COVID-19 Crisisより)
特に、ジンジャーに含まれる成分は、古くから風邪やインフルエンザなどの症状を緩和するための自然療法として利用されてきました。
さらに、ターメリックの主要成分であるクルクミンは、白血球の機能をサポートし、体内の自然防御機構を高める可能性があるとされています。
加えて、多くのジンジャー&ターメリックショットにはオレンジが加えられることもあるため、ビタミンCによるさらなる免疫強化効果も期待できるとされています。
4. 慢性的な痛みの軽減
慢性の炎症が引き起こす痛みは、日常生活の質を大きく低下させる要因となります。
ジンジャーとターメリックのショットは、その抗炎症効果によって、特に関節や筋肉に起こる痛みの緩和に効果的であると考えられています。
例えば、変形性膝関節症の患者を対象としたある研究では、ターメリックエキス、ブラックペッパー、ジンジャーの組み合わせが、鎮痛剤であるナプロキセンと同等の効果を示すことが明らかになっています。(Herbal formulation “turmeric extract, black pepper, and ginger” versus Naproxen for chronic knee osteoarthritis: A randomized, double-blind, controlled clinical trialより)
こうした効果により、日常生活における痛みの管理や、運動後のリカバリー促進にも一役買うと期待されています。
5. 消化機能の改善と吐き気の緩和
ジンジャーは、長年にわたり化学療法、妊娠中のつわり、手術後の回復、さらには乗り物酔いによる吐き気の緩和に利用されてきました。(Clinical Evaluation of the Use of Ginger Extract in the Preventive Management of Motion Sicknessより)
これは、ジンジャーに含まれるジンゲロールやショウガオールが胃の動きを促進し、食物の消化や排出を助けるためと考えられています。
さらに、ターメリックは胃酸の逆流症状を改善する効果が期待されており、クルクミンが胃酸の分泌を調整する作用があるとする研究結果も報告されています。(Curcumin and proton pump inhibitors for functional dyspepsia: a randomised, double blind controlled trialより)
効果の評価では、胃酸の分泌を抑える際の主要な選択肢となるプロトンポンプ阻害剤(PPI)と同等の効果があることも示唆されています。
ただし、ターメリックの含有量が過剰になると、逆に吐き気を引き起こす可能性があるため、適切な量を守ることが重要です。
6. 心臓の健康をサポート
心臓病は世界中で主要な死因のひとつですが、炎症が心血管系の健康に悪影響を与えることが知られています。
ジンジャーとターメリックは、炎症を抑えることで心臓の健康維持に貢献する可能性があります。
具体的には、1日あたり2〜4グラムの生姜の摂取が、血圧の低下や動脈硬化の進行を遅らせる効果があるとする研究が存在しています。
また、ターメリックを日常的に摂取することで、心臓病による死亡リスクが著しく低減するという観察結果も得られており、血流の改善や動脈内のプラーク蓄積防止に寄与する可能性が示唆されています。(Turmeric, Pepper, Cinnamon, and Saffron Consumption and Mortalityより)

(研究内のデータでは、ターメリック、コショウ、シナモン、サフランも評価対象となっており、いずれも死亡率の低下が見られた)
7. 体重管理や代謝促進への効果
現代の生活習慣病のひとつとして、体重管理は非常に重要な課題であり、ジンジャーはその効果が注目されています。
複数のランダム化比較試験の結果、1日あたり約2グラムのジンジャーサプリメントを8週間以上摂取することで、体重減少に対して有意な効果があると報告されています。(Ginger intervention on body weight and body composition in adults: a GRADE-assessed systematic review and dose-response meta-analysis of 27 randomized controlled trialsより)
さらに、ターメリックのクルクミンについても、脂肪細胞の発生を抑制し、既存の脂肪細胞を減少させる可能性が動物実験により示されており、代謝を促進することでインスリン抵抗性を改善する効果も期待されています。
ただし、これらの効果を確実なものとするためには、より多くの人間対象の研究が必要であると考えられます。
ジンジャー&ターメリックショットの作り方

参考にした記事では、自宅で手軽にジンジャー&ターメリックショットを作る方法も記載されているので、併せて紹介します。
必要なものは、ブレンダー、チーズクロスまたは細かいメッシュのストレーナー、ガラスの小瓶、そして以下の材料です。
• 新鮮なジンジャー
• ターメリック(ウコン)の根
• ブラックペッパー(栄養素の吸収を助けるため)
• オレンジ(オプションですが、甘みとビタミンCの補給に有用です)
• 水
作り方は次の通りです。
1. 材料の下準備
ジンジャーとターメリックは1〜2インチ(約2.5〜5センチ)程度の大きさに切り、オレンジの皮をむく
オレンジを加えることで、ほんのりとした甘みの追加やビタミンCの補給が期待される
また、ブラックペッパーも一振り加えると、成分の吸収が向上する
(オレンジとブラックペッパーはあってもなくても良い)
2. ブレンドする
全ての材料をブレンダーに入れ、好みの濃度になるまで水を加えながらしっかりと撹拌する
滑らかな状態になるまでブレンドすることで、成分が均一に混ざり合い、効率的に栄養が摂取できる状態となる
3. 濾す
ブレンド後は、チーズクロスまたは細かいストレーナーを用いて、ジュース部分を抽出する
残ったパルプに対して軽く押し当て、できるだけ多くの液体を取り出す
4. 保存する
抽出したジュースは清潔なガラス瓶に移し、冷蔵庫で保存する
一般的には、冷蔵保存で最大5日間程度は風味と効果が保たれるとされている
副作用と注意事項
ジンジャー&ターメリックショットは適量を守れば一般的に安全であるとされていますが、いくつかの注意点もあります。
両者には血液をサラサラにする作用があるため、抗凝固薬などを服用中の方は、過剰摂取が出血リスクを高める可能性があります。
また、血糖降下作用もあるため、血糖値を下げる薬を服用している場合は、医師と相談することが望ましいです。
さらに、高用量のジンジャーやターメリックは、胃の不快感や胸焼け、吐き気、下痢といった消化器系の副作用を引き起こすことも報告されていますので、初めて摂取される際は少量から試されることが推奨されます。
総合的な見解
ジンジャーとターメリックは、その抗酸化作用、抗炎症効果、免疫力強化、そして痛みの軽減といった多岐にわたる健康効果が注目されています。
日常生活の中にこれらのショットを取り入れることで、体内のバランスを整え、心臓病や慢性疾患のリスクを低減するサポートが期待できるでしょう。
さらに、消化促進や体重管理に寄与する点も現代のライフスタイルにおいて非常に魅力的であり、自然由来の健康法として多くの方々に支持されている理由が伺えます。
とはいえ、個々の体質や既往症、服用中の薬との相互作用なども考慮しながら、無理のない範囲で取り入れることが大切です。
まとめ
・ジンジャーとターメリックは、抗酸化作用と抗炎症効果により、免疫力向上や慢性疾患のリスク低減に寄与する可能性がある
・日常的な摂取は、消化機能の改善、痛みの軽減、さらには心臓の健康サポートにも効果が期待できる
・適切な摂取量を守り、既存の医療とのバランスを考慮することで、自然な健康維持法として安心して取り入れられる
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