今回紹介するのは、神経質なシリアルキラーを題材とした闇深い映画「ハウス・ジャック・ビルト」です。
カンヌ国際映画祭の公式上映で途中退出者続出と話題になった作品でもあり、その評判通りの作品です。
自分的にも気軽にオススメできる作品ではありませんが、怖いもの見たさには丁度いいかもしれません。
グロテスクな表現もさながら、シリアルキラーの主人公が魅せる芸術的な醜悪さが印象的でした。
5つのエピソードで展開されるストーリーはどれも目を背けたくなるようなものばかり……。
SAWシリーズのようなグロさとは違う意味で身も心も痛々しい作品です。
あらすじ
時代は1970年代のアメリカ ワシントン州。
建築家になる夢を持つ主人公のジャックが、12年間の殺人の告白をするところから物語はスタートします。
彼の最初の殺人は雪道に現れたしつこい女性。
ジャックの衝動的な怒りが彼女にぶつけられた瞬間、シリアルキラーとしての一面が生まれ、彼の内に秘めた闇や次第に巨大になっていきます。
そして始まるのです、ジャックの建築プランが。
ダンテの「神曲」を知っていると物語に深みが出るかも
“神曲”は、イタリアの詩人ダンテ・アリギエリ(1265~1321年)が手がけた叙述詩です。
政治的な対立により、フィレンツェ政府より死刑を宣告されてしまいます。
亡命生活を余儀なくされたダンテは、その亡命中に叙述詩“神曲”を完成させました。
“地獄篇、煉獄篇、天国篇”の三部構成となっており、主人公のダンテは、神に叛逆したルシフェロ(サタン)が堕天した地獄や地獄の反対側に当たる煉獄、そして聖人が鎮座する天国へと渡り歩いていきます。
それらの概要については、別の記事にて説明しているのでご参照ください!
そして、ダンテの地獄行きの様子を描いたドラクロワの絵も必見!
↓
頭に月桂樹を載せ、茶色のローブを羽織った地獄の案内人ウェルギリウスです。
日本で言う三途の川のようなものですが、小舟にとりつく亡者がダンテの行く先の困難さや地獄がどのようなものであるかを示唆しています。(詳しくは別記事にて)
本編を観る上では“神曲”や“ダンテの小舟”を知らなくても楽しめますが、頭の片隅に置いておくとより楽しめるかもしれません。
もし興味がある場合は、冒頭を観て判断してみてください。
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