今回のテーマは空腹と健康についての話です。
お腹を空かせることによって細胞を活性化させるということは、多くの研究によって明らかになってきました。
以下の記事にて空腹による作用として代表的な“オートファジー”についてまとめていきます。
空腹がヒトを健康にする?
2016年3月に東京工芸大学 大隅良典栄誉教授が“オートファジー”に関連する研究でノーベル賞を受賞しました。
※【オートファジーとは…?】
オートファジーとは、細胞が飢餓状態になった際、細胞自身の一部や体内の不要な細胞を分解して栄養源を作る機能のことです。
不要な細胞とは、病的に侵された細胞や老廃物など不要と判断された細胞のことです。
オートファジーの仕組み
飢餓状態やDNA損傷などのストレス状態になると発動します。
すると細胞内に膜が発生し、細胞質成分を包み込みます。(この状態をオートファゴソームと言いいます。)
次に、分解酵素をもつリソソームと融合しオートリソソームを形成▶分解▶栄養源に……、という細胞の自浄作用があることが解明されています。
オートファジーとアンチエイジング
現在、効果的な老化抑止法として食事制限が知られています。
食事制限は、糖尿病、心臓血管疾患、ガン、脳萎縮の発生率を低下させ、延命効果をもたらす報告もされています。
同時に、オートファジーを活性化させることも明らかになっています。
(まだ研究段階ですが、アミノ酸を合成することから、髪の毛、爪、美肌にも関係する旨の報告も多数あります。)
オートファジーが発現できないと…?
正常なマウスとオートファジーをおこせないマウスを比較してみると、下の図のように、正常なマウスは、手足を広げるような動作をします。
一方、オートファジーをおこせないマウスは手足をすぼめるような動作をしています。
オートファジーの機能不全によって神経細胞にゴミがたまり、神経の病気の原因になることや、身体の炎症(老化)に関係することが分かってきています。
オートファジーを発現させるには…?
ヒトのカラダではオートファジーは毎日起こっています。
年齢を重ねるとともに、オートファジーを抑制する因子が増え、オートファジーの機能が損なわれていきます。
その結果、自浄作用が失われていき、老化に繋がるとされています。
しかし、このオートファジーを活性化させる方法も見つかってきています。
それは「ファスティング(断食)」です。
マウスでは、餌を断ってから約6時間でオートファジー機能が活性化。
24時間では全身でオートファジーの反応が観察できます。
ヒトで言うと、断食後約24時間で活性化。
3日で全身でのオートファジーの活性化が確認される計算です。
家事や仕事も考えると、3日も断食することは現実的ではありません。
実際にところ、オートファジーを起こすためには、空腹の時間を増やすだけでも効果的だとされています。
メディアで紹介されたファスティング法
メディアで紹介さ、一時期話題になった食事法があります。
それが1日に8時間だけ食べることができる時間帯を作るファスティング法、いわゆるプチ断食とも呼ばれている手法です。
例えば、10時~18時までの8時間は自由に食べてOK。
18時~翌日10時までの16時間は、ノンカロリーの水分以外は摂らないというもの。
駆け込みドクターなどでも紹介されていました。
「どれだけ食べてもOK」というと語弊がありますが、野菜などもバランスよく食べる、揚げ物はなるべく控えるなど度が過ぎない程度に食べることが前提です。
とにかく空腹の時間を作って胃や腸を休ませることがオートファジー活性化に繋がります。
オートファジーの研究状況
この十数年でオートファジーの研究は劇的に進歩していますが、まだ明らかになっていないことが多くあります。
東京大学細胞生物学教授の水島昇教授の見解では。(大隅栄誉教授の意見も踏まえて)
「主要な機能の解明は大きく進歩しているが、病気への関与などは可能性はあるが、予想は困難」といった状況だそうです。
大隅栄誉教授自身も、十分には仕組みを理解できておらず、研究の課題は多い模様で、今後の伸びしろが期待されている分野です。
(詳しく知りたい方は↓の動画をご参照ください。)
まとめ
・オートファジーが身体不要なものを栄養源に変えることができる
・オートファジーの条件は空腹を作ること
・空腹を作るにはファスティング(断食)がオススメ
・オススメのファスティングは8時間断食
・オートファジーの今後の研究、解明に期待
以上、オートファジーについてのまとめでした。
ファスティングもやり始めは辛いですが、慣れてくると空腹の時間が楽しめるようになってきます。
筋トレも一緒にやると、腹筋も割れて細マッチョになれるし良いことずくめです。
(ゴリマッチョはちょっと目指せないかもしれませんが…)
あ、でも風邪を引きそうになりそうなときはルールを破ってラーメンをガッツリと食べにいくなど滋養強壮を高めます。
出典)
オートファジーと老化の関連性2018年7月(PDF)
オートファジーと自己免疫疾患2014年3月(PDF)
+論文に付随する参考文献
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