哲学行動

幸福論 〜ただし、令和時代を生きる日本人専用〜を読んで③

哲学

 

の続き……。

  

前回記事では、幸福論における大前提、「より幸せになること」についてまとめていきました。

   

日本が災害に多いという歴史に基づく価値観から、娯楽や嗜好品に重きを置いていない生活だったことが分かりました。

   

そして、そういった生活には必要でないけれど、あると嬉しいものが何なのかを自分なりに分析することが、幸せな感情を得る第一歩であることも……。

 

今回は、そんな感情をコントロールすためのメカニズムについて著書から学んだことをまとめていきます。

  

  

神経伝達物質とホルモン

  

生活の中で心地よい気分を感じたり、不安やストレスを感じる仕組みの一つに、「神経伝達物質」と「ホルモン」が挙げられます。

  

神経伝達物質は、神経細胞同士や神経細胞から筋肉細胞へ伝達される物質です。

  

神経や筋肉間でのシグナル伝達として作用するため、ホルモンよりもより早く、即時的な効果があります。

  

主に、認知機能、感情、運動機能に関係しています。

  

例として

・ドーパミン

・ノルアドレナリン

・セロトニン

・ヒスタミン

・・GABA

などがあります。

  

ホルモンは、甲状腺や副腎、睾丸や卵巣などの内分泌腺から分泌される化学伝達物質です。

  

神経伝達物質との大きな違いは、血液を通って臓器や組織に影響を与えるという点です。

  

主に、体の代謝や成長、身体機能、認知機能の調節に関係しています。

  

例として、

・ペプチドホルモン(成長ホルモン、インシュリン、サイトカインなど)

・ステロイドホルモン(ビタミンD3、副腎皮質ホルモン、性腺ホルモンなど)

・アミノ酸誘導体(アドレナリン、ノルアドレナリン、甲状腺ホルモンなど)

があります。

(中には、分泌される場所の違いで、神経伝達物質にもホルモンにも分類できるものもありますが、ここではそこまで気にしなくて大丈夫です。)

  

これらの神経伝達物質やホルモンによって、リラックスしたり、やる気や達成感などを得ることができます。

  

つまり、生活の中で幸せを感じるためには、これら人体の機能をコントロールする必要があるということです。

  

次に、その仕組みについて述べられている点を著書からまとめていきます。

  

  

三大神経伝達物質

神経伝達物質の中には、「三大神経伝達物質」と呼ばれているものがあります

  

「 セロトニン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」です。

  

中でもセロトニン幸せホルモンとも呼ばれ、やる気が幸福感に関係する神経伝達物質の9割に関係していることが、近年の研究で明らかになっています

  

一般的に「幸せホルモン”」と呼ばれていますが、正しくは神経伝達物質です。

  

これらの中でも強力に作用する神経伝達物質ドーパミンです。

  

ドーパミンは、やる気や集中力を出す、達成感や喜びといった感情を引き出す作用があります。

  

ドーパミン本来の使い方は、「目標設定し、その目標に向かって努力し、達成する」というものです。

  

これは、狩猟採集時代からの名残とされ、狩りの成功や農耕による収穫に対して、無意識に体が動くように設定されたプログラムだと考えられています。

  

ドーパミンが最も多く分泌されるのは達成時であり、その後にさらに高い目標を設定して挑戦をするという、「挑戦と達成の繰り返し」に関係するものでもあります。

  

しかし、このような挑戦と達成の過程を経ることなくドーパミンを作用させることもできてしまいます。

  

それが「お酒、タバコ、ギャンブル、ゲーム」と「甘い食べ物や飲み物、薬物」です。

 

  

それぞれに共通するのが何かお分かりでしょうか?

  

そうです、依存しやすいということです。

  

どれもドーパミン(やエンドルフィン)など脳内の報酬系に作用し、幸せや快楽といった感情を得ることができます。

  

たまになら……、ちょっとだけなら……」と言って制御が効くなら問題は無いでしょうが、やりすぎると脳が特定の神経伝達物質を作りにくくなったり、場合によっては作らなくなったりもします。

  

目標設定して頑張って達成するよりも簡単に多幸感を得ることができるため、そういった行動や食べ物の扱いには注意が必要とされています。

  

ドーパミンが過剰に分泌されると、「過覚醒」となり、幻覚や妄想を伴う統合失調症の症状が生じると考えられています。

  

また、ドーパミンノルアドレナリンを増やすという重要な働きもあります。

  

ノルアドレナリンは、不安や恐怖などのストレスにさらされた際に作用する脳内や自立神経系の神経伝達物質ですが、副腎髄質から分泌される“ホルモンとしても作用”します。

  

大切なプレゼンや試合の直前に、冷や汗をかいたり、体が震えたりするのはノルアドレナリンが働いている証拠です。

  

目の前の恐怖や不安に対して、体が戦闘モードに入るといった感じです。

  

集中力が高まったり、行動する意欲が湧いたり、痛みへの鎮痛効果もあります。

  

逆に過剰に分泌されるとパニック障害などの原因と考えられています。

  

しかし、これらの過剰分泌から身を守るために働いてくれるのが「セロトニン」です。

  

セロトニンにはドーパミンとノルアドレナリンの過剰分泌を抑制する働きがあり、過度な興奮状態にならないよう作用します。

  

興奮状態の後、しばらくすると落ち着いたり、冷静になることができるのは、このセロトニンのお陰です。

  

ギャンブルで熱くなりすぎたり、大きな決断をする際、先のことを考えず勢いで決めてしまうのは、セロトニンが不安定になっているからかもしれません。

  

著書においても、セロトニンの重要性が指摘されており、セロトニンの分泌を促す「オキシトシン」やセロトニンを作り出すために必要な「トリプトファン」についても書かれています。

  

その中で、危機の回避や達成感による幸福を感じるドーパミン、ノルアドレナリンと、それらをコントロールして、ほのぼのとした幸せを感じるセロトニンのバランスは非常に大切なことが分かります。

 

 

まとめ

・いい気分や不安な気分になるのは、神経伝達物質とホルモンが関係している

・セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンは三大神経伝達物質とよばれ、やる気や幸福感に大きく関連している

・ドーパミンとノルアドレナリンによって気分が興奮したり、多幸感を得ることがでるが、分泌のし過ぎは結果的に悪

・分泌の抑制にはセロトニンが働く

・これらのバランスをとることが、普段の生活の中で幸福を感じる鍵

    

以上、今回は「幸福論~ただし、令和時代を生きる日本人専用~」の中で述べられていた、神経伝達物質や内分泌系の観点から記事をまとめていきました!

   

特に怖いのは生活の中で、知らずの内にドーパミンを分泌してしまう行動だと感じました。

   

タバコやお酒は当たり前ですが、砂糖は子どもから大人まで幅広く好まれている食品の材料です。

   

かつてはエネルギー源としての糖を欲することから、当時は希少だった糖を摂取したときにはひときわ多幸感を得るように脳が進化と考えられていますが、現代ではそのシステムに振り回されてしまうことがあるようですね。

   

自分も甘いものは好んで食べるので、物事の達成で感じるドーパミンの間隔が薄れないように、節制しながら付き合っていこうと思います!

   

次回は、そんなドーパミンやセロトニンを増やす食べ物や行動についてのお話です。

   

乞うご期待!

 

 

次回記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました