パンやお肉を焼くと現れる美味しそうな焦げ目。
焼く、揚げるといった調理方法は、食品を美味しく食べることができると同時に、恐ろしい落とし穴も存在します。
今回は、そんな落とし穴やその対策方法について書かれた論文についてのまとめです。(参考文献は記事下部にて!)
【AGEsと害】
タンパク質のようにアミノ基を持つ化合物と、ブドウ糖や果糖などのカルボニル基を持つ化合物が反応すると、AGEs(終末糖化産物)が生成されます。
簡単に言うと、身体の中の余分な糖質とタンパク質が反応してAGEsを作ってしいます。
これがいわゆる“糖化”という反応です。
このAGEsが身体にとって様々な悪影響をもたらします。
・認知症(アルツハイマー)
・血管など炎症、壊死(ROS)
・老化促進
・糖尿病
などなど…
特に、認知症の原因である「アミロイドβ」が脳に蓄積するとき、その周りに「AGEs」が存在することがここ近年の研究で分かってきました。
アミロイドβやAGEsが脳を攻撃することによって脳が萎縮し、アルツハイマー症の原因になっている可能性が指摘されています。
また、AGEsにはコラーゲンなどつ強く結びつく性質があり、肌に蓄積すると肌の弾力が弱くなったり、シミやシワなど老化の原因になったりします。
【AGEsを作ってしまう調理法】
AGEsは
「タンパク質」
+
「炭水化物(余分な糖)」
+
「熱」
が主な反応の条件です。
熱が高ければ高い調理法ほど、AGEsが増えるとされています。
また血糖値が急激に上がることで、酸化ストレス(活性酸素やフリーラジカル)を増やし、AGEsの反応を促進させてしまいます。
まず大前提として、高温での調理は避けるということがAGEs対策の1つとなります。
その他、食事の際に対策になる習慣を以下にまとめます。
【AGEsを作らない習慣】
・ゆっくり食べる
まずは身体に入る糖やタンパク質を必要以上に摂らないことが先決です。
ゆっくり噛んで食べることで、満腹中枢が刺激され、より少ない量で満腹感を得ることができます。
また、意識して噛むことが一種のリズム運動にもなるので、幸せホルモンと言われる「セロトニン」を増やし、ストレス軽減にも一役買います。
セロトニンが増えると睡眠を促すホルモンの「メラトニン」も増えるので、睡眠の質が上がるといったメリットもあります。
・ネバネバしたものと一緒に食べる
オクラや納豆、昆布などネバネバしものと一緒にたべることで、食べ物の吸収が抑えられ、血糖値の上昇が緩やかになります。
・運動と思考をする習慣を身につける
人間の身体の器官一番糖を消費するのは“筋肉”です。
次に肝臓、その次に脳と言われています。
本を読んだり体を動かしたりと、身体の余分な糖を消費することで、タンパク質と反応する糖の量を減らします。
また筋肉量を増やすことで、血糖値を下げる受容体も増え血糖値を急激に上昇させない身体を作ります。
・抗酸化食品を取る
果物や野菜に含まれるアントシアニンなどのポリフェノール類、ビタミンA.C.Eやカロテノイドなどが、酸化ストレスを減らしAGEsの反応を阻害するとされています。
【ビタミンA】1日の摂取基準
成人男子850µgRE
成人女子700 µgRE
【ビタミンE】1日の摂取基準
成人男子7.0mg
成人女子6.5mg
【ビタミンC】1日の摂取基準
成人男女100mg
いきなり全てを習慣にするのは難しいですが、どれか1つでも意識するだけでも身体に良い影響を与えることができます。
オススメはゆっくり意識して食べることです。
食べる絶対量が減り、咀嚼を意識することでセロトニンが増加。
ストレスも軽減できる上、睡眠の質の向上も期待できます。
何より手軽に始められるAGEs対策ですので是非お試しください。
参考文献)
終末糖化産物(AGEs)とAGEs受容体(RAGE) (PDF)2016
Role of methylglyoxal in Alzheimer’s disease. 2014
Ahmed N, et al., J Neurochem, 92, 255-263, 2005
+付随文献
まとめ
・余分な糖質とタンパク質が反応してAGEsが生成=糖化
・糖化することで老化やアルツハイマーの原因になっている(可能性がある)
・AGEs対策
→ゆっくり食べる
→ネバネバしたものと食べる
→良く考える習慣をつける
→適度に運動する習慣をつける
→抗酸化物質を含む食品を摂る
焼き肉や揚げ物など、高温で調理するものは美味しいものばかりですが、ほどほどに付き合わないと未来の自分が苦労することになるかもしれませんね!
とは言っても一切禁止にするのは無理な話でもありますし、それがストレスになってしまうこともあります。
もし食べるとしても、運動や思考を続ける習慣など、AGEsに対抗する手段を知って実行するだけでも、未来の自分に優しくなれるのではないでしょうか?
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