腹部に溜まるガスは誰にでも起こる自然な身体のプロセスの一部です。
しかし、過剰なガスとそれに伴う不快感や痛みは、日常生活に影響を与えることがあります。
時には屈んで身動きがとれないほどの痛みに襲われることもあり、この症状に悩むひとも少なからず存在します。
この記事では、ガスの原因、症状、解消方法、予防策、そして医師に相談すべきタイミングについて、最近の研究を参考に解説します。
最後には、自分が実践して効果的だったガスの予防習慣などについてもまとめていますので、最後まで読んでいただけたら幸いです。
参考記事)
・What Can You Do To Relieve Gas?(2023/10/16)
ガスの原因
ガスが体内で発生する主な原因は、以下の2つに分類されます。(Symptoms & Causes of Gas in the Digestive Tractより)
1. 飲食中に空気を飲み込むこと
食事や飲み物を摂取するときに空気を一緒に飲み込むことが多く、その空気が体内に蓄積してガスとして排出されます。
特に速く食べたり、ガムを噛んだりすると、空気を多く飲み込む傾向があります。
2. 消化プロセスの副産物
食べ物が胃や小腸で消化されなかった場合、大腸にいる細菌がその食べ物を分解します。
この過程でガスが生成され、体外に排出されます。ガスの成分は主に酸素や窒素ですが、硫黄が含まれると悪臭を伴います。
さらに、以下の健康状態もガスを増加させる原因になります。
• 乳糖不耐症:乳製品を消化する酵素(ラクターゼ)が不足しているため、乳糖が分解されずにガスを発生させる
• 過敏性腸症候群(IBS):腸の働きに異常があるため、消化がスムーズに進まずガスがたまりやすくなる
• セリアック病:グルテンに対する免疫反応が腸を刺激し、ガスやその他の消化症状を引き起こす
ガスの症状
ガスの症状は人によって異なり、現在の食事や健康状態によって変わ、一般的な症状には以下があります。
1. 噯気(げっぷ)
胃から口を通じて排出されるガスです。人は1日に約30回げっぷをすることがあります。
2. 放屁(おなら)
肛門を通じて排出されるガスで、1日に14回程度が一般的とされています。
臭いは硫黄が含まれている場合に発生します。
3. 膨満感
腹部が張っている、または異常に満腹感を感じる状態です。
特に食事後に多く見られます。
4. 痛み
腸内や胃の中にガスが溜まると痛みを引き起こすことがあります。
この痛みは、ガスが溜まった場所によって腹部や胸部に感じることがあります。
薬に頼らずガスを和らげる方法
薬に頼らずにガスの症状を和らげる方法もいくつかあります。
ただし、これらの方法は個人差があり、効果が出るかどうかは人によって異なるため、医師と相談した上で試すことをお勧めします。
1. 軽い運動や食後のウォーキング
2021年の研究では、食後10~15分の軽いウォーキングがげっぷやおなら、膨満感を軽減する効果があることが示されています。
食後に1,000歩程度歩くことが推奨されており、特に手を後ろで組んで歩くと効果的です。
また、ヨガも過敏性腸症候群の症状を改善し、ガスの解消に役立つとされています。
2. 腹部マッサージ
「I LOV Uマッサージ」と呼ばれる方法では、腹部を「I」「L」「U」の形に沿ってマッサージすることで、便秘やガスを解消する効果が期待されています。
この方法は腸の動きを促進し、ガスの排出を助けます。
3.キッチンでできる簡単な対策
ジンジャー、コリアンダー、ディル、パセリなどのハーブを食事に取り入れたり、ジンジャーティーやカモミールティーを飲むことでガスの症状を和らげることができます。(Prevention and Treatment of Flatulence From a Traditional Persian Medicine Perspective より)
ただし、これらはペルシャ伝統医学を基とした経験に基づいた方法であり、効果には個人差がある点には注意が必要です。
市販薬によるガスの治療法
1. ジメチコン
胃のガスを泡状にしてげっぷを促す薬です。
Gas-XやAlka-Seltzerなどの製品が市販されています。胃のガスには有効ですが、腸内ガスには効果がありません。
2. 酵素ラクターゼ
乳糖不耐症の人に役立つ薬で、LactaidやDairy Easeが知られています。
乳糖を含む食品を摂取する前に服用することで、症状を予防できます。
3. α-ガラクトシダーゼ
豆類や野菜に含まれる糖を分解する酵素で、Beanoなどが市販されています。
ただし、ガラクトース血症の人には使用を避けるべきです。
※ガラクトース血症:ガラクトースを分解する酵素が欠損していることで血液中にガラクトースが蓄積する疾患(糖代謝異常症の一種)
ガスを予防する方法
参考記事中では、ガスの予防に生活習慣や食事内容を見直すことが重要として、以下の内容wがまとめてあります。
1. 空気を飲み込む量を減らす
ガムや飴を避ける
炭酸飲料を控える
食事中に話をしない
ゆっくり食べる
喫煙をやめる
2. 食事内容の改善
ガスを引き起こしやすい食品を控える
- ブロッコリー、カリフラワー、ケールなどのアブラナ科の野菜
- 豆類(豆、エンドウ、レンズ豆など)
- フルーツ(リンゴ、ナシ、桃など)
乳糖を含む製品を控える
- 牛乳
- チーズ
- アイスクリーム
など
グルテンを含む食品を控える
- パン
- パスタ
- シリアル
など
3. 医師や専門家との相談
その他の疾患がある場合や腹部膨満などで病院に通っている状態などにおいて、食事の変更は医師や栄養士と相談しながら行うことは言わずもがなです。
医師に相談すべきタイミング
ガスは通常無害ですが、以下のような場合には医師に相談することが推奨されています。
• 激しい腹痛や胸痛
• 体重減少や血便
• 長期間続く便秘や下痢
• 突然のガス症状の変化
まとめ
・ガスは自然な消化プロセスの一部だが、過剰なガスや痛みは日常生活に影響を与える
・軽い運動、腹部マッサージ、温湿布、または市販薬を活用して症状を和らげることができる
・ 食事や生活習慣の見直しでガスを予防し、必要に応じて医師に相談することが大切
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