の続き…。
1905年〜奇跡の年〜
想像力は世界を包み込む。
アインシュタインが特許局で働きはじめてから3年が経った“1905年”。
物理学の常識を打ち破るような論文が立て続けに発表されます。
・3月“光量子論”
・4月“分子の大きさの決定方法”
・5月“ブラウン運動”
・6月“特殊相対性理論”
・9月“質量とエネルギーついて”
全てアインシュタインが仕事の傍らに仕上げた論文でした。
彼は仕事をしながらも頭の中で思考実験を繰り返し、様々な論理を組み立てていきました。
このことを表した言葉がこれです。
「想像力は、知識より大切だ。知識には限界がある。想像力は、世界を包み込む。」
この型破りの論文が連発されたことから、アインシュタインが関わった“1905年”は“奇跡の年”と呼ぶようになりました。
特殊相対性理論
中でも注目すべきは“特殊相対性理論”と“質量とエネルギーついて”のふたつの論文です。
特殊相対性理論が提唱される前は、時間や空間は絶対的ものであり、人やものがどのような状態であろうと不変であるとされてきました。
しかし、“光速度不変の法則”(光はどんな状況下においても秒速約30万km)を前提とすると不思議なことが起こるのです。
ここに長さ30万㎞の光時計とついでにカエルとウサギを用意しました。
黄色の矢印が光です。長さ30万㎞なので1秒で光が端から端まで届きます。
どちらとも動かない場合は、1秒で光は端まで到達します。
カエルもウサギも同じ1秒を過ごすことができます。
ではカエルの空間だけ動かしてみます。
するとカエルの空間にある光時計では、光の発射口(動く直前)からもう端っこ(動いた後)までの光の道筋を見ると、光りはどう頑張っても30万㎞以上動かなければなりません。
ウサギの空間からカエルの空間の時間を測ってみると、光は同じ30万㎞を進んでいる(1秒経過している)のに、まだカエルの光時計の光は端っこに到達していません。
つまりカエルの空間はまだ1秒経っていないのです。
これによって時間は絶対的なものではなく、状態によって変わる相対的なものであることが分かりました。
質量とエネルギー
質量とエネルギーついての論文(論題:物体の慣性はその物体の含むエネルギーに依存するであろうか)は、かの有名な数式“E=mc^2”を導く基礎になった論文です。
質量とエネルギーの等価性を示した式ですが、同時に光速に近づくにつれて莫大なエネルギーが必要であることが分かりました。
これは質量のある物質は、光の速度に達することができなことを示すものでもありました。
質量がどれだけのエネルギーを持っているのかを計算した記事もあるので、良かったらどうぞ!
物理科学界に激震が走った新発見の連続。
更にアインシュタインはこれら理論を基に一般相対性理論を発表しますが、それは世界大戦という激動の最中のことでした。
続く…。
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