【前回記事】
の記事は、書籍「世界はラテン語でできている」を読んで興味深かった内容について抜粋して紹介する記事です。
この本は、古代ローマから用いられてきた言語が現代にどのように残っているのかについて書かれています。
政治、宗教、科学だけでなく、美術やゲームなど幅いジャンルに浸透している言葉について知ることで、世の中の解像度が上がって世界が少し楽しくなるかもしれません。
今回のテーマは、“太陽系に関するラテン語”についてです。
太陽系に関するラテン語
~引用&要約~
前回の地動説を唱えたコペルニクスや万有引力を世に知らしめたニュートンについて紹介したので、今回は宇宙について見ていくことにします。
星についても、ラテン語が分かれば一段と深く知ることができると思います。
太陽(Sol)
まずは「太陽」を指すラテン語solです。
英語solar 「太陽」の語源で、「ソーラーパネル」の「ソーラー」と言えば馴染み深いと思います。
solはイタリア語やナポリ語でsoleとなり、ナポリ語のo sole mio(オー・ソレ・ミオ)は有名な歌のタイトルになっ ています(意味は「私の太陽」)。
ちなみに、o sole mio(オー・ソレ・ ミオの「o(オー)」は英語の「oh」のような感嘆詞ではなく、定冠詞の「the」のようなものです。
水星(Mercurius)
次は水星を指すMercuriusです。
英語のMercury(水星) の語源にもなっています。
この星の名前は、ローマ神話における商人の守護神メルクリウスが元になっています(ギリシャ神話のヘルメスにあたる)。
メルクリウスは神々の間で素早くメッセージを届けるという役割もあり、そのためメルクリウスは翼のあるサンダルを履いた姿で描かれます。
水星がMercuriusと名付けられたの は、惑星の中で一番公転速度が速いからだと考えられていま す。
金星(Venus)
続いて金星を指すVenusです。
Venusは、美や愛欲の女神 ウェヌス(ヴィーナス)の名前が元になっています(ギリシャ神話のアプロディーテにあたる)。
愛欲の女神ということ から、英語venereal disease(性病)のvenerealなどの語源 になっています。
地球(Terra)
次に、私たちが暮らす地球を指す Terraです。
terraというラテン語は他に「大地」という意味もあります。
英語の terrestrial (地球の)の語源でもあり、これを元に extraterrestrial(地球外生命体)という言葉が作られました。
スティーヴン・スピルバーグ監督のSF映画「E. T. 」もこのextraterrestrialが元ですね。
月(Luna)
ここで、地球の衛星である月についても少し解説します。
英語で「月」はMoonですが「月の」という形容詞は lunarです。
lunarの語源はラテン語のLuna(月)で、Lunaは英語のlunacy(精神異常)や精神病患者(lunatic)の語源になっています。
これは、昔は月の影響によって精神の病が引き起こされると 考えられていたからです。
火星(Mars)
続いては火星です。
火星はラテン語でMarsといい、戦の神マルス(マ一ズ)が元になっています(ギリシャ神話のアレスにあたる)。
戦の神なので、武道を意味するmartial arts(マーシャルアーツ)のmartialの語源などにもなっています。
木星(Iupiter)
次に木星(Iupiter)です。
ローマ神話の最高神ユピテル(ジュピター)の名前が元になっています(ギリシャ神話のゼウスにあたる)。
ユノー(ギリシャ神話ではヘラ)という正妻がいながらも浮気しまくりですが、実力がある故に許される神です。
人間相手でもお構いなしで、人との浮気相手との間にヘラクレス(ハーキュリーズ)が生まれています。
ちなみに木星は地球の318倍の質量を持ち、その質量から生まれる非常に強力な重力によって周囲の天体を引きつけます。
これによって隕石の多くは木星に落ち、地球に 石が落ちるリスクが減っていると考えられています。
土星(Saturnus)
次は、土星を指すSaturnusです。
これはユピテルの父サトゥルヌス (サターン)の名前が元になっています(ギリシャ神話のクロノスにあたる)。
サトゥルヌス(クロノス)は息子を食べることで有名です。
なぜ息子を食べるかと言うと、父であるウラヌスに「お前はいずれ息子となる者によって破滅させられる」と言われたからです。
後に息子の一人ユピテル(ゼウス)と全面戦争をの末敗北しました。
天王星(Uranus)
次は天王星(Uranus)です。
ギリシャ神話の天空の神ウラヌスが元です(ローマ神話のカエルスにあたる)。
先程言ったサトゥルヌス(クロノス)の父です。
ちなみにウラヌスは、クロノスと一悶着あった後、男性器を鎌で切られてその男根を海に投げ捨てられました。
その男根と海の泡が混じりあって生まれたのがVenus(金星)です。
海王星(Neptunus)
続いて海王星(Neptunus)です。
これは海神ネプトゥヌス(ネプチューン)の名前が元になっています(ギリシャ神話のポセイドンにあたる)。
最高神ユピテル(ゼウス)の兄に当たり、実力ナンバー2と名高い神です。
ネプチューン(ポセイドン)は海が荒れるのも地震がくるのもこの神のせいだと考えられていました。
この惑星が「海王星」訳されたのも、この神に由来しています。
冥王星(Pluto)
また、惑星から外されて現在は準惑星となっている冥王星(Pluto)の英語名 は死者の国の王であるブルートが元になっています。
プルートはギリシャ神話におけるハデスに当たります。
プルート(ハデス)もユピテル(ゼウス)の兄に当たります。
冥界の番人であり寡黙で真面目。
豊穣の神ペルセポネに恋をするも、恋愛下手故に大胆な行動に出たりして失敗したり成功したりしてます。
~引用&要約ここまで~
途中からつい神話の小話も入ってしまいました。
とはいえ、天体や星座に関してはそう言った神話の話がほとんどで、星座の本=ギリシャ・ローマ神話と言っても過言ではありません。
その根底にあるものもラテン語が多いので、この本の題材としてもってこいだと思います。
特にヘラクレスについては過去にまとめであるので、気になった方はのぞいてみてください。
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