炭水化物を可能な限り避け、その分タンパク質や脂質を摂取することで身体をケトーシスな状態にする“ケトジェニックダイエット”。
・ケトーシス=血中にケトン体が増加した状態
・ケトン体=アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称
エネルギーを糖質から得るのではなく、脂質(ケトン体)から得ることによって効率よく体脂肪を減らしたり、食後の血糖値の上昇が防げるなど様々なメリットがあることで知られています。
そんなケトジェニックダイエットですが、マウスを対象とした最新の研究において、アルツハイマー病の症状に関係していることが分かってきました。
今回のテーマとして紹介していきます。
参考記事)
・Keto Diet May Slow Down Alzheimer’s, Mouse Study Reveals(2024/04/11)
参考研究)
ケトジェニックダイエットとアルツハイマー病の症状
カリフォルニア大学の研究から、ケトジェニック食を行ったマウスはアルツハイマー病に伴う記憶障害の影響が低減するという結果が示されされました。
分析では、ケトジェニック食によって上昇する分子ベータヒドロキシ酪酸(BHB) が、記憶と脳の可塑性に関連する領域に豊富に存在することを発見しました。
生化学者ジーノ・コルトパッシ氏は、「本研究は、ケトジェニックダイエット、特にBHBが軽度の認知障害を軽減させ、アルツハイマー病の症状を遅らせる可能性がある」と述べています。
過去の研究においても、ケトジェニック食を行ったマウスの寿命が延びたり、健康的な状態をより長く維持することが知られていました。
また、腸内細菌とアルツハイマーとの関係も示唆される研究も多く発表され、私たちの食生活がそういった神経変性を伴う病気と関連性があることは明らかです。
今回の研究では、ケトジェニック食によって生成されるBHBが脳にプラスの効果をもたらし、記憶の維持に効果的であることが示されました。
そしてこの効果は老年期まで遅くなる可能性があります。
UCDの研究者は、「私たちは、シナプス(脳内の神経細胞をつなぐ構造)の機能を改善するBHBの驚くべき能力を観察することができた」と述べ、研究の成果に一定の評価を与えています。
ケトジェニック食はアルツハイマー病だけでなく、てんかんなどの神経学的症状との関連性も確認されています。
しかし、医師のサポートがない状態でのケトジェニックダイエットには健康リスクも伴うとされ、特に長期的にみた際の影響がどれだけ良いものか、あるいは悪いものなのかは分かっていません。
今回の研究のから発見されたもう一つの重要な点は、ケトダイエットはメスのマウスでより多くのBHBを生成し、より効果的であるということです。
アルツハイマー病のリスクにおける性別の差異は、科学者たちが明らかにしようと望むメカニズムの一つです。
コルトパッシ氏は、「女性、特にApoE4遺伝子変異を持つ女性はアルツハイマー病のリスクが著しく高い。もし、これらの結果が人間に当てはまれば、興味深いことになるだろう」と今後の研究の発展を示唆する言葉を残しています。
この研究の詳細は、Communications Biologyにて確認できます。
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