年老いていくに連れて衰えていくと言われている筋肉。
どれだけ若いうちにトレーニングをして筋肉をつけても、いずれはその意味もなくなってしまうという悲しい現実が待ち受けています。
…と思っていた時期もありました。
最近の研究から若い頃に鍛えた筋肉は、運動を活動量が低下した老後でさえもプラスに作用する事実が明らかになってきました。
今回はそんな筋肉についてのまとです。
鍛えていた頃を覚えていた筋肉
数年かけて鍛え上げた筋肉。
しかし事故などで長い間運動ができなかったスポーツ選手などが、同じ筋肉量に戻そうとすると、半年ほどで理想体型に戻るそうです。
スポーツ界隈では経験的に知られてはいたものの、その仕組みは長い間よく分かっていませんでした。
これはアスリートだけに起こることではなく、日常的に運動をしている皆さんに当てはまる筋肉の現象です。
年老いても減少しない筋核
ではなぜこんな現象が起こるのでしょうか?
その秘密は筋核という体内の物質にあります。
筋肉に負荷を与えると、筋組織に亀裂が生じます。
このような筋肉に対する外傷は、付近の筋サテライト細胞によって修復されていきます。
修復された筋肉は繊維が新しく成長し、以前よりも太く強くなります。
ここまでは皆さん筋トレをやる方であれば、何となく理解しているのではないでしょうか?
そして、この時に増えるものの一つが筋肉の核つまり筋核です。
トレーニングで得た筋核は減少することがありません。
(正確には、一度増えた筋核の量は、筋繊維が減少し筋肉の量が減ったとしても維持される。)
この筋核が多いことで、長い間トレーニングをしていない期間があっても、再度運動を始めることで元の筋肉に戻りやすくなっているというワケです。
年老いても筋核は維持できる?
ここで疑問なのが、年老いてからも筋核が維持できるのかどうか。
ラットや昆虫を用いた実験では、若年期に得た筋核は年老いてもその数を維持できることが明らかになったそうです。
であれば人間でも同じことが起き得るであろうということであります。
これらのことをまとめたスピーカーさんの動画もあるので、併せて紹介しておきます。
参考文献)
骨格筋再生と老化制御:筋サテライト細胞の役割 2016年
Muscle memory and a new cellular model for muscle atrophy and hypertrophy 2016年
Discovering the source of long-term motor memory 2010年
参考サイト)
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