ウコン(ターメリック)を日常的に摂取すると体には何が起こるのか

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ターメリックは、東南アジアで4000年以上にわたり、料理、宗教儀礼、そして民間医療の場で幅広く使われてきたスパイスです。

 

ショウガ科・ウコンの根茎の構成成分であるターメリックは、その鮮やかな黄色を生み出す化学物質(クルクミン)によって、強力な抗酸化作用と抗炎症作用を持つことが科学的に示唆されています

 

近年、ターメリックやクルクミンの健康効果に関する研究が世界中で進められており、ターメリックを継続して摂取することで、慢性炎症の軽減、免疫系のサポート、心臓や肝臓の健康維持など、多岐にわたる身体の改善に寄与する可能性があります。

 

また、食事として取り入れることで吸収率が高まり、毎日の健康維持につながる点も注目されています。

 

以下に研究の内容をまとめます。

 

参考記事)

What Happens to Your Body When You Take Turmeric Regularly(2025/11/24)

 

参考研究)

Turmeric and Its Major Compound Curcumin on Health: Bioactive Effects and Safety Profiles for Food, Pharmaceutical, Biotechnological and Medicinal Applications(2020/09/15)

 

 

ターメリックに秘められる12の効果 

 

1. 抗酸化作用

ターメリックに含まれるクルクミンは、体内で発生する有害な活性酸素を抑制し、細胞を守る強力な抗酸化物質です。

 

2020年の研究では、クルクミンが以下のような作用を持つことが示されています。

• 有害なフリーラジカルを減らす

• 体内の抗酸化防御システムを高める

• 脂質の酸化反応を抑え、細胞への損傷を予防する

 

これらの作用により、老化や慢性疾患のリスク低減につながる可能性があります。

  

 

2. 抗炎症作用 

慢性炎症は心臓病、二型糖尿病、がん、関節疾患など、多くの生活習慣病の根底にあります。

クルクミンは、炎症を引き起こす化学物質や酵素を抑えることで、体内の炎症を軽減する働きを持つ可能性があります。

 

Turmeric and Its Major Compound Curcumin on Health: Bioactive Effects and Safety Profiles for Food, Pharmaceutical, Biotechnological and Medicinal Applicationsより

  

研究では、炎症性サイトカインの減少、炎症因子の抑制などが報告されています。

 

 

3. 傷の治癒促進 

南アジアでは、古くからターメリックが火傷や切り傷の消毒に用いられてきました。

  

最新研究でも、クルクミンを皮膚に塗布すると、以下の効果が示されています。(Herbal Medicine: Biomolecular and Clinical Aspects.より

• 傷や火傷の範囲を縮小

• 炎症を抑える

• コラーゲン生成を促す

 

ただし、臨床研究はまだ限定的であり、十分な科学的根拠には至っていない点があることも明記しておきます。

 

 

4. 関節の痛みやこわばりの軽減

クルクミンは、関節リウマチのような炎症性疾患を持つ人々に対して、痛みやこわばりの改善効果が示唆されています。

  

2023年の研究では 1日250〜1500mgのクルクミンを8〜12週間摂取することで症状の改善がみられたことが報告されています。

ただし、個人差が大きく、すべての人に当てはまるわけではありません。

 

 

5. 心臓の機能が改善

クルクミンは、Nrf2と呼ばれる抗酸化タンパク質を活性化し、血管の健康を保つ働きがあるとされています。

   

Turmeric and Its Major Compound Curcumin on Health: Bioactive Effects and Safety Profiles for Food, Pharmaceutical, Biotechnological and Medicinal Applicationsより

  

血液の流れが改善されることで、心臓の負担が軽減される可能性があります。

 

しかし、この分野の研究もまだ発展途上であり、明確な結論には至っていない点は留意が必要です。

 

 

6. 肝臓の解毒・修復機能の促進

クルクミンはHO-1という酵素の働きを促し、赤血球に含まれるヘムを分解します。(Curcumin in Liver Diseases: A Systematic Review of the Cellular Mechanisms of Oxidative Stress and Clinical Perspectiveより

 

その過程で生じるビリベルジンやビリルビンは抗酸化作用を持ち、肝臓の損傷を防ぎます。

 

この働きにより、肝臓の解毒・修復・防御機能が強化される可能性があります。

  

  

7. アレルギー症状の軽減

 

クルクミンは、気管支ぜんそく、皮膚炎、花粉症といったアレルギー疾患の症状を緩和する可能性があります。

研究によれば、500〜1000mgを1〜2か月摂取した患者で以下の改善が報告されています。

• 皮膚のかゆみの軽減

• 花粉症症状の軽減

• 喘息の発作頻度の減少

 

ただし、サンプル数が小さい研究も多く、科学的確実性には限定的な部分があります。

 

 

8. 血糖コントロール

The Effects of Curcumin on Diabetes Mellitus: A Systematic Reviewより

  

クルクミンは、二型糖尿病患者においてインスリン感受性を改善し、血糖値を下げる可能性があります。

 

しかし、糖尿病治療薬と併用すると血糖が下がりすぎるおそれがあるため注意が必要です。

 

 

9. 抗老化

クルクミンは、活性酸素の除去、DNA損傷の防止、細胞機能の維持に寄与することで、加齢に伴う変化を遅らせる効果が示唆されています。(Longevity and anti-aging effects of curcumin supplementationより

  

ただし、この効果についても臨床的なエビデンスは十分ではありません

   

   

10. がんのリスクが低減の可能性

実験レベルの研究では、クルクミンが腫瘍の増殖や転移を抑える可能性が示されています。

  

Turmeric and Its Major Compound Curcumin on Health: Bioactive Effects and Safety Profiles for Food, Pharmaceutical, Biotechnological and Medicinal Applicationsより

• 炎症や細胞損傷の抑制

• 腫瘍への血管新生阻害

• 細胞組織の耐性向上

  

ただし、ヒトを対象とした臨床試験はまだ不足しており、「がんを予防する」と断言できる段階にはありません

  

  

11. GERD(胃食道逆流症)の症状が軽減

Curcumin: A Potent Protectant against Esophageal and Gastric Disordersより

   

クルクミンは酸逆流による食道の炎症を抑える働きが示されています。

  

胃酸だけでなく胆汁逆流が加わった際には、一般的なPPI薬よりも強力な保護作用を示す可能性があると報告されています。

  

しかし、これも初期段階の研究であり、さらなる検証が必要です。

  

   

12. 気分が改善

  

クルクミンは、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の働きを調整し、うつ症状を改善する可能性があります。

 

動物実験では抗うつ作用が確認され、一部の臨床研究でも肯定的な結果が報告されています。

 

ただし、十分なサンプル数での大規模臨床試験はまだ実施されていません

 

 

安全にターメリックを摂取する方法

 

ターメリックは天然の食品ですが、サプリメントとしての大量摂取は副作用のリスクがあります。

 

クルクミンサプリは1日250〜1500mgが一般的ですが、まずは食品として取り入れる方法が最も安全です。

• カレー、スープ、煮込み料理

• サラダドレッシング

• ターメリックライス

• ロースト野菜の風味づけ

 

油や黒コショウと一緒に摂取すると吸収が高まることも分かっています。

 

 

まとめ

・クルクミンは強力な抗酸化・抗炎症作用を持つ可能性があり、全身の健康をサポートする

・ターメリックの効果には有望な研究が多いものの、ヒトでの臨床データが不足している部分もある

・食品として継続的に摂取することが最も安全で効果的な方法となる

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