抹茶はその豊富な抗酸化物質とL-テアニンの含有量により、健康に多くの恩恵をもたらす飲み物として知られています。
近年では、免疫機能の向上や炎症の抑制、認知機能のサポートなどの効果が注目されてきましたが、近年、関心を集めているのが「減量効果」に関する研究です。
果たして抹茶は、本当に体重管理や脂肪燃焼を助けるのでしょうか。
以下に研究の内容をまとめます。
参考記事)
・Can Drinking Matcha Actually Help You Lose Weight?(2025/08/18)
参考研究)
抹茶の栄養的特徴

抹茶は「カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)」という茶の木から作られる緑茶の一種から作られます。
通常の緑茶と異なる点としては、必ず日陰で栽培されることが挙げられます。
この栽培方法によって、風味が深まるだけでなく、クロロフィルやカテキン類と呼ばれる抗酸化物質が飛躍的に増加します。
抹茶に含まれる代表的な栄養素は以下の通りです。
・L-テアニン
・クロロフィル
・カテキン類(特にエピガロカテキンガレート=EGCG)
これらの栄養素は炎症の抑制、免疫力の強化、解毒作用、心代謝系の健康維持、さらには認知機能の向上に寄与すると考えられています。(A comprehensive review of matcha: production, food application, potential health benefits, and gastrointestinal fate of main phenolicsより)
抹茶と減量効果に関する研究
複数の研究により、抹茶は減量をサポートする可能性が示されています。
茶葉の抽出物摂取後の脂質と血糖コントロールが改善した旨の研究
茶葉抽出液に含まれるL-テアニンが、タスクの反応時間を短縮、ワーキングメモリタスクの正解率の上昇、タスクのミス軽減など数認知機能の改善に効果があった旨の研究
クロロフィルの抗酸化作用、抗がん作用、神経保護効果についてまとめた研究
・Health Benefits and Chemical Composition of Matcha Green Tea: A Review
抹茶に含まれるカテキンなどによる抗酸化作用と抗炎症作用についてまとめた研究
その鍵となるのは、EGCGとカフェインの相乗効果です。
上記に挙げたでは、EGCGとカフェインの組み合わせによって、基礎代謝の向上、脂肪酸の酸化促進、インスリン感受性の改善、食欲の抑制が期待できることが示唆されています。
さらに、栄養士のJennifer Nicole Bianchini氏は「抹茶に豊富に含まれるEGCGとカフェインは体の熱産生を高め、カロリー消費を促す可能性がある」と述べており、抹茶に含まれる成分が単にエネルギーを摂取するというだけでなく、体内で熱を生み出すことで消費カロリーを増加させる作用がある点を指摘しています。
また、抹茶は腸内細菌叢を整える効果も報告されています。
2023年に行われた無作為化比較試験では、抹茶が筋力トレーニング後の疲労軽減や筋肉適応の改善に寄与したとされており、間接的に減量や体力向上に役立つ可能性が示されています。(A randomized, double-blinded study evaluating effect of matcha green tea on human fecal microbiotaより)
ただし、いずれの研究においても研究者らは口を揃えて「抹茶は万能薬ではない」と注意を促しており、あくまでも健康的な食事や運動といったライフスタイルを支える補助的な役割にとどまることが強調されています。
抹茶を賢く取り入れる方法

抹茶を日常生活に取り入れる際のポイントは次の通りです。
【摂取量はパウダーで小さじ2杯程度】
Bianchini氏によれば「1日1~2杯(約小さじ1/2~1杯の抹茶パウダー)が適量であり、過剰なカフェイン摂取を避けつつ効果を得られる」とのことです。
1杯あたり約30~70mgのカフェインが含まれるため、カフェインに敏感な人は注意が必要です。
【サプリメントよりもパウダー】
市場には抹茶配合のサプリメントも多数存在しますが、Woodson氏は「サプリメントは利便性がある一方、高用量のEGCG摂取による肝障害のリスクが報告されている。自然な形で抹茶を飲む場合にはその心配はほとんどない」と説明しています。
抹茶パウダーは、抹茶に含まれる他の栄養素を丸ごと摂取できる点で有利であり、それらも体内でも化学反応に活用されるとして、現在でも研究の対象となっています。。
【抹茶を避けるべき人】
抹茶は多くの人にとって安全ですが、以下の人は摂取に注意が必要です。
・カフェインに敏感な人
通常の緑茶よりもカフェイン量が多いため、動悸や不眠を引き起こす可能性がある
・消化器系に不安がある人
一部の人はガスや膨満感を感じることがある
気になる場合は少量から試すことが推奨される
・薬を服用中の人
カテキン類が薬の吸収や作用に影響を与える可能性がある
現在の研究から、抹茶はその栄養的特性により減量や体重管理を支援する可能性が示されています。
しかし、それはあくまで補助的な役割にとどまり、単独で劇的な効果をもたらす「魔法の飲み物」ではありません。
健康的な食事や運動習慣と組み合わせることで、抹茶はその本来の力を発揮するのです。
まとめ
・抹茶はEGCGとカフェインの相乗効果により、代謝促進や脂肪燃焼をサポートする可能性がある
・サプリメントよりもセレモニアルグレードの抹茶パウダーを適量(1日1~2杯)摂取することが推奨される
・抹茶はあくまで健康的なライフスタイルの補助であり、減量の唯一の手段にはならない


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