ケンブリッジ大学による新しい研究から、アメリカの成人の約6割が、日常的に炎症を引き起こす食生活を送っていることが明らかになりました。
炎症は本来、体がけがや感染症から回復するための防御反応ですが、これが慢性的に続くと、がんや心臓病、糖尿病など、さまざまな深刻な健康問題を引き起こす原因となります。
今回取り上げる研究では、若年層や非ヒスパニック系黒人、男性、教育水準や収入が低い層で炎症を促進する食事の割合が高いことが判明しました。
加工肉や精製された穀物、添加された砂糖や人工的な成分が含まれた食品が、こうした炎症を引き起こす主要な要因とされています。
専門家たちは、「食生活の改善が長期的な健康を守るために不可欠である」と強調しており、“食”の意識について注意を促しています。
以下に内容をまとめていきます。
参考記事)
・Most Americans Have Diets That Promote Inflammation, New Research Shows(2024/10/09)
参考研究)
・Chronic inflammation in the etiology of disease across the life span(2019/11/05)
食生活と炎症の関係
炎症は短期的には体の治癒過程の一部であり、健康を守るための自然な反応です。
しかし、長期的に続く慢性的な炎症は、DNAの損傷を引き起こし、がんや心臓病、糖尿病、腎臓病、自己免疫疾患、神経変性疾患など、さまざまな病気のリスクを高めることが知られています。
今回の研究では、2005年から2018年までの約60,000人の白人、黒人、ヒスパニック系成人の食生活に関するデータを分析し、どの程度の割合で炎症を引き起こす食品が消費されているかを調査しました。
特に加工肉や精製された穀物(白パンなど)は、炎症を引き起こしやすい食品として指摘されています。
炎症を引き起こす食品とその原因
専門家によると、特定の食品が炎症を引き起こす原因として以下の要素が挙げられます。
・不健康な脂肪(赤身肉やホットドッグなど)
・精製された小麦粉(白パンやお菓子など)
・添加された砂糖
・人工的な成分や防腐剤
・塩分の摂り過ぎ
これらの食品は、主に加工されたり大量生産されたりしたものであることが多く、コンビニやスーパーなど気軽に手に入れることが可能なことも特徴です。
炎症を抑えるための食事のポイント
食事による炎症を減らすためには、オメガ3脂肪酸を豊富に含む食品(サーモン、チアシード、フラックスシード、ナッツ類)や、食物繊維が多い食品(豆類、レンズ豆、全粒穀物)を摂ることが推奨されています。
また、色とりどりの野菜や果物を取り入れることが重要です。これらには植物由来のフィトケミカルが含まれており、抗炎症作用が期待できます。
新鮮な果物や野菜が手に入りにくい場合、缶詰のものを利用するのも一つの手です。
また、地本で地域農業支援プログラムなどが行われている場合、そういったイベントに参加し、友人や近隣の人々と新鮮な季節の農産物をシェアするのも良い方法です。
健康的な食生活を送るために
超加工食品、精製された穀物、人工着色料が使われたスナック、砂糖を多く含む飲み物、アルコールの摂取はできるだけ控える(可能なら断つ)ようにすることが望ましいです。
健康的な食生活に切り替えることが重要であり、少しずつでも変える努力が将来的な健康に繋がります。
「完璧でなくても、できる限り健康的な食事を心がけることが大切。そうでない場合、長期的に取り返しのつかない悪影響を及ぼすことになる」と専門家は警告しています。
今回の研究から、アメリカにおいて特定のグループが抗炎症食を摂ることに課題を抱えていることが分かりました。
原因としては、健康的な食品へのアクセスの難しさや、食事とその健康への影響に関する教育の不足が挙げられます。
また、経済的な理由から新鮮な食品が選ばれにくく、保存が効く加工食品が普及していることも大きな要因です。
炎症を抑える食生活を送ることは、健康を維持するために欠かせません。
特に若年層や経済的に困難な状況にある人々が健康的な食事を摂るためには、より良い食事環境の整備や教育が必要です。
日々の食生活を見直し、少しでも炎症を抑える食品を取り入れていくことが、将来の健康を守る鍵となります。
まとめ
・アメリカの成人57%が炎症を引き起こす食生活を送っているとされ、特に若年層や低所得層に多いことが明らかになった
・加工肉や精製穀物などの食品が炎症を引き起こし、 がんや心臓病のリスクを高めることが示唆されている
・抗炎症のためには、 オメガ3脂肪酸や食物繊維を含む食品、緑黄色野菜や甘過ぎない果物を摂り、加工食品を控えることが推奨される
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