クルクミンといえばウコンの主成分であり、ポリフェノールの一種として知られています。
飲み会の際にはお世話になる人も多いかと思われる成分ですが、過敏性腸症候群に対しても効果があることが分かってきました。
最新の研究によると、ベルベリンとクルクミンを同時に摂取することで、過敏性腸症候群(IBS)の症状を軽減する可能性があることが示されています。
IBSは消化器系に影響を及ぼす一般的な疾患で、腹部不快感、膨満感、下痢、便秘などを引き起こす病気で、その原因は不明な場合が多いです。
この研究結果は、従来の薬物療法では十分な効果が得られなかったIBS患者にとって、朗報となる可能性があります。
今回のテーマとしてまとめていきます。
参考記事)
・Study: Taking Berberine and Curcumin Together Might Help Alleviate IBS Symptoms(2024/05/03)
研究の背景と目的
本研究は、IBS患者を対象にベルベリンとクルクミンを含むサプリメントが症状緩和にどのような効果をもたらすかを検証したものです。
IBSに対する従来の薬物療法は効果が限られていることが多く、新しい治療法が求められています。
研究者は、これらの成分が腸内フローラの調整や炎症軽減に役立つ可能性があることに着目したことから研究が行われました。
ベルベリンとクルクミンとは?
【ベルベリン】
ベルベリンは、メギ科の植物や中国の伝統的なハーブから抽出される成分です。
この成分は古くから様々な健康問題、特に胃腸の不調に対して利用されてきました。
近年、ベルベリンはその抗炎症作用や消化機能の調整効果が注目され、サプリメントとして広く使用されています。
【クルクミン】
クルクミンは、ターメリック(ウコン)の主成分であり、インドを中心とした伝統医学で消化器系疾患や炎症性疾患の治療に使用されてきました。
クルクミンは抗酸化作用や抗炎症作用を持つことで知られ、腸壁の健康をサポートする効果もあると考えられています。
これらの成分は、個別に摂取した場合でも腸内環境の改善や炎症の軽減に寄与する可能性があるとされていますが、併用することでより高い効果を発揮する可能性があります。
研究の詳細と結果
研究チームは、IBS患者がサプリメントを2か月間摂取することで、どのような変化があるのかを詳細に分析しました。
その結果、ベルベリンとクルクミンの併用が、腹部不快感、膨満感、下痢の症状を効果的に軽減する可能性があることがわかりました。
以下に詳細をまとめます。
研究はベルギーで実施され、146名のIBS患者が対象となりました。
参加者は50歳以前にIBSを発症し、炎症性腸疾患や大腸がん、セリアック病などの疾患がないことが条件でした。
対象者は以下の2つのグループに分けられました。
1. 標準的なIBS治療のみを受けるグループ
2. ベルベリン(200mg)とクルクミン(49mg)を含むサプリメント「Enterofytol PLUS」を追加で服用するグループ
サプリメントを服用するグループは、朝食後と夕食後に1回ずつ服用しました。
その後、研究者は2か月後に参加者の症状を評価しました。
【結果】
• サプリメントを服用したグループは、腹部不快感や膨満感が約50%改善され、便通の正常化がみられた
• 約3分の2の患者が標準治療を必要としなくなったことも報告された
• 一方で、参加者の約7%が吐き気や腹痛などの副作用を経験したが、これらは比較的軽度のものだった
専門家の意見
栄養士のLexi Moriarty氏は、今回の結果が期待を抱かせるものである一方で、「このサプリメントの効果をさらに詳しく調べるためには、より多くの参加者を対象とした長期的な研究が必要」と述べています。
IBSは一部の患者にとって生涯にわたる慢性的な症状であるため、長期間にわたる使用の安全性や有効性を検証する必要があります。
また、研究にはランダム化されたプラセボ対照試験が含まれていないため、プラセボ効果や他の要因の影響を排除できない点が課題として挙げられています。
サプリメントは試すべきか
ベルベリンとクルクミンを含むサプリメントは、IBSの症状緩和に一定の効果が期待できますが、医師の指導の下で使用することが推奨されます。
特に以下の点を考慮する必要があります。
1. 個別の症状に適したサプリメントの選択
2. 現在服用中の薬との相互作用のリスク
例:抗うつ薬や抗生物質との併用で副作用が生じる可能性がある。
3. 適切な用量と摂取方法の確認
さらに、サプリメント以外の自然療法もIBS症状の管理に役立ちます。
• 食物繊維を多く含む食品の摂取:腸内環境の改善に寄与
• 適度な運動:腸の活動を活性化
• カフェインやアルコールの制限:消化器官への刺激を減らす
• ストレス管理:IBSの症状悪化を防ぐ
まとめ
・ベルベリンとクルクミンの併用がIBS症状緩和に役立つ可能性があるが、さらなる研究が必要
・サプリメントは症状の50%改善と薬の不要化を経験した例が報告されているが、副作用も一部あり
・医師への相談や自然療法の併用が、安全で効果的な症状管理につながる
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