糖分(糖質)は、私たちが健康的に活動していくうえで必要不可欠な栄養素です。
多すぎても少なすぎても身体に悪影響を及ぼすため、健康な人(糖尿病などでない人)が食事制限などをすると、基礎代謝や集中力の低下など身体を害する原因になりかねません。
また、お菓子や清涼飲料水などによって糖類を手軽に摂取できる現代では、糖分の摂取が少ない害よりも、多すぎる害の方がはるかに多いです。
多すぎる糖は、糖尿病をはじめ様々な生活習慣病の原因となり、体のあらゆる部位への炎症につながります。
また、砂糖の摂取が多いほどガンの罹患率が高いこともあり、健康的でない食事の代表例でもあります。
そんな砂糖ですが、健康だけでなく老化とも密接な関係があることが、最新の研究で分かってきました。
今回はそんな砂糖と老化に関する論文の紹介です。
どうやら健康的な食事を摂っていても、砂糖が追加されることで老化が加速されるようです。
参考記事)
・Added Sugar in Your Diet May Speed Up Your Body’s Biological Aging(2024/08/02)
参考研究)
・Essential Nutrients, Added Sugar Intake, and Epigenetic Age in Midlife Black and White Women(2024/07/29)
砂糖の摂取と生物学的老化の加速
カリフォルニア大学が行った中年期の黒人および白人女性342人を対象とした研究では、大量の砂糖を食べる人は「見た目を老けさせる細胞」を持っていることがわかりました。
私たちのDNAは、時間の経過とともに不可逆的な変化が現われることがあります。
これらのいわゆるエビジェネティックな変化は、遺伝子を不活性化し、身体の遺伝コードの編成から細胞の働きまであらゆる機能に影響を及ぼします。
※エピジェネティック=アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)からなる塩基配列自体には変化がないまま、遺伝子の働きを制御する仕組み
こういったDNAの化学的な変化の中に、“DNAメチル化”があります。
DNAメチル化は、DNAメチル基転移酵素により、シトシン(C)塩基にメチル基が付加される化学的修飾です。
DNAメチル化には遺伝子の発現を抑制する役割があり、不必要な遺伝子を働かせないようにすることで、適切な(と思われる)細胞をつくり出し、私たちの体を正常に保つ働きがあります。
このメチル化のレベルを測定することで生物学的な年齢を予測することができ、暦上の年齢ではない生物としての老化が分かります。
これをエピジェネティッククロックと言います。
エピジェネティッククロックは、食事、ライフスタイル、病気などによって針の動く速さが決められることが分かっています。
今回の研究は、このエピジェネティック、クロックに砂糖がどのように影響をしているかを調べた最初の研究の一つです。
研究による調査結果によると、砂糖を多く摂取する人は、それ以外に健康的な栄養素を摂取しているかどうかにかかわらず、より早く老化するエビジェネティック細胞を持っていることが分かりました。
また、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質が豊富な食事を食べた女性参加者は、「最も若い」ように見えるエピジェネティックな年齢の細胞を持っていました。
さらに、地中海式の食事を行ってい人は、エピジェネティッククロックの進行が最も遅いことが観察されました。
この研究では、女性は1日に平均60グラム強の砂糖を食べました。
中には1日に300グラム以上食べた人もいました。
食事によってDNAを維持・修復に良い影響のある成分が豊富であったとしても、毎日の消費する砂糖が多ければ多いほど、唾液から採取されたDNAは古いもののように研究者は見えたそうです。
これは、教育、ライフスタイル、参加者の現在の健康状態など様々な要因を考慮したとしても当てはまりました。
これらの調査結果は、砂糖の添加が細胞の老化を大幅に加速させる可能性があることを示唆していますが、研究は、3日間連続して収集された食品記録と1つの唾液綿棒のみに基づいていることに注意が必要です。
過去の研究では、DNAがサンプリングされた日に応じて細胞の年齢にブレがあることが示唆されているため、結論を引き出す前に、男女間の長期的な研究が必要としています。
しかし、砂糖を取ることで細胞の老化に関するデータは見られるもの、砂糖を取ることで若返るというデータはないため、甘いものの摂取にはそれ相応のリスクがあると考えた方が良いでしょう。
この研究は、JAMA Networkにて詳細を確認することができます。
砂糖と人体の関係について、簡単にまとめたものがあるのでこちらもよければ是非!
↓
コメント