科学

【研究】地中海式ダイエットが脳の老化を遅らせるという研究結果【要約】

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認知機能の低下は、今までのやり方に固執しすぎてしまったり、新しい考えを取り入れられくなったりと、人生の楽しみを奪ってしまう原因のひとつです。

 

何かにチャレンジしたり、勉強したりすることがで脳は歳を重ねても鍛えることができるとされていますが、脳の老化を理由にやめてしまうというのも人間です。

 

脳の老化を遅らせる習慣ができたら、そんな学ばない理由を遠ざけるきっかけになるかもしれません。

 

今回は、そんな脳の老化と地中海式の食事に関する最新の研究を紹介します。

 

参考記事)

Mediterranean Diet ‘De-Ages’ Patients’ Brains by Up to 9 Months in New Study(2023/06/12)

 

参考研究)

The effect of weight loss following 18 months of lifestyle intervention on brain age assessed with resting-state functional connectivity(2023/04/06)

 

 

地中海式ダイエットと脳の老化

 

イスラエル ベングリオン大学の研究によると、野菜、魚介類、全粒粉の食べ物を豊富に含む地中海式の食事は、肥満に見られる脳の老化の加速の兆候を遅らせることができることを発見しました。

 

この研究では、イスラエルのある職場で行われた大規模な臨床試験に参加した102名の参加者の脳をスキャンし分析しました。

 

スキャンは、肝機能やコレステロール値体重の検査と共に試験開始前と18か月後に1度ずつ行われました。

 

①赤身肉の代わりにナッツ類、魚、鶏肉を多くとる地中海食、②ポリフェノールを含む緑茶などを加えた地中海食、③健康的な食事ガイドラインに基づいた食事の3つの食事から1つを選び、各グループがそれぞれ食事を続けました。

 

脳の推定年齢は、300人を対象とした脳スキャンで学習させたアルゴリズムに基づいており、このモデルは脳の連結性の推定から、脳を正確に予測することができるとされています。

 

18ヶ月それらの食事を無理なく続けた結果、体重は平均して2.3kgの減量に成功しました。

 

脳年齢と比較すると、体重が1%経るごとに参加者の脳は年齢よりもおよそ9ヶ月若く見えることが分かりました。

 

肝機能やコレステロール値の変化が実際に脳機能の改善に繋がるかどうかは分かっていません。

 

しかし、最近の研究では地中海食が高齢者の記憶力に良い影響を与えることが示唆されています。

 

以下の図は、脳年齢の減衰と臨床測定値との関連性を示したものです。

 

The effect of weight loss following 18 months of lifestyle intervention on brain age assessed with resting-state functional connectivity より

 

脳年齢減衰と肝臓、血糖値、脂質、MRIで評価した、脂肪沈着なバイオマーカーとの相関を検証しました。

 

皮下深部の変化を除き、すべての脂肪沈着測定値、表層皮下、内蔵、及び肝臓の脂肪変化などは脳年齢の減衰と有意に関連していたことが分かりました。

 

つまり、食事によって余分な脂肪を吸収しなかった人ほど、脳年齢の減衰が達成されていることが示されました。

 

脳の老化を遅らせる兆候は、肝脂肪レベルの低下や脂質プロファイルの改善と関連していましたが、こうした変化は表面的なものであったり、短期間であったりする可能性があります。

 

ベングリオン大学のギトフ・レヴァコフ氏は、「今回の研究は、脳の健康を維持するために加工食品、お菓子、砂糖入りの飲料の摂取を減らすなど、健康的なライフスタイルが重要であることを示してる」と述べ、健康的な食事の重要性を強調しています。

 

この研究は無作為に食事療法を選択した臨床結果から得られたものですが、他にもいくつか考慮する点があります。

 

参加者のほとんどが男性であることや、食事だけでなく、参加者の仕事中の活動レベルもそれぞれ違うこと、トライアルの一環として、無料のジム支えになったため、運動も要因の一つになったことが挙げられます。

 

また一般的な例と当てはめると、こういった地中海食の健康効果を安定して享受できる人は、魚や全粒粉を安定してたくさん買う余裕のある高収入の人たちであることも考慮する必要があります。

 

そう言った人たちは、たとえ同じ食事内容であっても、心血管疾患の健康状態がより改善されていることも判明しています。

 

これは試験前の食事習慣によるものと考えられ、収入が高い人々は、普段から健康に悪い食べ物に触れない習慣があることも考慮した方が良いと考えられます。

 

この研究結果は研究まとめポータルサイトeLifeにて確認できます。

 

 

まとめ

・18ヶ月の試験の結果、地中海式の食事によって脳の老化を9ヶ月ほど遅らせることができた

・肝臓やコレステロール値の改善など余分な脂肪が体につかないこととの関連性が考えられる

・脳の健康を維持するためには、加工食品やお菓子、砂糖入りの飲料などを控えることも大切

 

個人的には体の老いよりも怖いのが脳の老いです。

 

新しいことにチャレンジしなくなったり、自分とは異なった考えを取り入れられなくなったら、それだけで人としての価値は下がってしまうように感じます。

 

人に限らず、動物が脳を動かせるためにはエネルギーが必要ですが、中でも人の思考はそのエネルギーを何倍にも効率化できる生き物です。

 

長い歴史の中で、食べて働いてまた食べ物を得る……。

 

人間は思考をすることでそんな自然の摂理から一歩外れ、文明を築き上げてきました。

 

そんな人間の優位性を消してしまいかねない脳の老化に抗うことも、また人間らしいと言えるのではないでしょうか?

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