雑記

【研究】義歯や歯科インプラントではなく“歯の再生”の研究【要約】

雑記

  

人間は、子供から大人になる間に一度は歯が生まれ変わることは皆さんご存知の通り。

  

しかし、それ以降は歯を生やすことはできず、永久歯を維持をするか治療をするかの選択を迫られます。

 

一生の間に何度も歯を生まれ変わらせることができる動物として、ワニやサメが挙げられます。

 

もし人間も、ワニのように何度も歯が生え変わるようになったら、虫歯などの心配事はかなり減るでしょ。

 

今回はそんな歯の生まれ変わりに関する研究の紹介です。

 

参考記事)

先天性無歯症に対する分子標的薬の開発―USAG-1を標的分子とした歯再生治療―

 

参考研究)

Anti-USAG-1 therapy for tooth regeneration through enhanced BMP signaling(2021/02/13)

 

 

USAG-1遺伝子と歯の再生

 

2021年、京都大学、福井大学、愛知県医療総合センターらによる研究グループは、先天性無歯症モデルのマウスに子宮感作関連遺伝子(USAG-1)に対する中和抗体を投与することによって、歯の形成が回復することを発見しました。

 

また、野生型のマウスに対して投与することで、完全な形の新しい歯を再生することにも成功しました。

 

無歯症は、通常六本以上の歯の欠損が認められる症例で、発症率は全人口の0.1%と報告されています。

 

関係する遺伝子としてEDA、MSX1、WNT10A、RUNX2などが同定されており、その多くがマウスと人で共通しています。

 

研究では、先天性無歯症モデルのマウス(EDA、MSX1欠損)過剰歯モデルのマウス(USAG-1欠損)を交配させ、先天性無歯症の欠損歯が回復することを確認しました。

 

また、活性のあるUSAG-1組み替えタンパクを作製し、USAG-1を標的分子とする性質の異なる5つの中和抗体を獲得することができました。

 

マウス抗USAG-1抗体は、先天性無歯症EDA遺伝子欠損マウスにおいて、単回腹口内投与することによって無歯症が回復することを発見しました。

 

ヒトでこのプロセスを使うには、今後の研究にてマウス以外のヒトに近いモデル動物での検討が必須です。

 

イタチ科に属する肉食性の哺乳小動物であるフェレットは、2生歯性(乳歯と永久歯)でヒト酷似した性質を持っています。

 

フェレットに生後、マウス抗USAG-1中和抗体を投与することで、第3生歯を生やすことが可能なことも確認されています。

 

今後、歯科治療のゲームチェンジャーとしてヒトへの応用が大きく期待される分野のひとつと考えられています。

  

 

まとめ

・歯が少ないマウスにUSAG-1の中和抗体を投与することで、新しい歯が生えことが確認された

・人間と同じ歯の生え変わりシステムを持つフェレットでも、3度目の歯の生え変わりが確認された

・今後、歯の再生医療の新しい分野として期待される

  

この技術が実用化されたら、世の中から歯の悩み事の大半が解決されそうですね。

  

そうなれば、より丈夫な歯のコーティングすることや、歯自体にタトゥーやアクセサリーを施すなど新しい文化が現れるような気もします。

 

しかし現代を生きる我々は、それ以前に自分の歯を大切にする習慣をつけた方が、健康的生きることできそうです。

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