科学

植物の肥料から筋力維持まで…水とも喧嘩する~カリウム~

科学

カリウム

カリウムはナトリウムなどと同様に、身体の中の代表的なミネラルのひとつです。

 

発見者はイギリスの科学者ハンフリー・デービーで、アルミナを電気分解で発見したように、植物の灰(ポタシ:苛性カリ)を電気分解することでカリウムを発見しました。(1807年)

    

サー・ハンフリー・デービー(1778~1829年)

  

自然界においては塩化ナトリウムなど化合物の形で存在しています。

  

高い反応性があり、水や酸素と強く反応してしまいます。

  

  

そのため空気中での保存が難しく、多くの場合は灯油など鉱物油の中で保存されています。

  

  

自然界のカリウム元素は、カリウム39とカリウム41がほとんどです。

  

しかし1万分の1という確率でカリウム40という放射性同位体が存在します。

  

カリウム40の半減期は12.51億年。

 

人工的に作られることはほとんどなく、食べ物を通して人間の体内に入ってきます。

  

体内においてカリウム40の内部被曝を受けますが、細胞の修復力によって一定上蓄積されることはありません。

  

その被曝量は年間0.2ミリシーベルトと言われています。(人間が自然から受ける放射線は年間約2.1ミリシーベルト)

  

ちなみに人体に影響が出始めるのは、年間100シーベルト前後と言われています。

  

参考)

放射線物質と食品の安全性について

ちょっと詳しく放射線

日本経済新聞

 

  

肥料としてのカリウム

  

身近なカリウムの多くは、塩化カリウムや硝酸カリウムとして肥料に使われていることが多いです。

  

窒素リンと同じく、カリウムは植物にとって不可欠な栄養素です。

  

植物内ではカリウムイオンとして存在し、根の発育の促進に役立っています。

  

葉で作られた炭水化物を根まで送り、病気や寒さに対する抵抗力を高めるなど、植物を丈夫にする効果があります。

  

カリウムが不足すると、葉の先端が黄色くなり枯れ始めてしまいます。

  

果実の品質も著しく低下するので、葉の変化に細心の注意が必要になります。

  

加里(カリウム)不足のイチゴの葉

 

  

人体においてのカリウム

  

カリウムは人体の細胞の中で最も存在する量が多いミネラルです。

  

細胞の浸透圧(濃度の低い液体が濃度の高い液体に移動する作用)を調整する働きがあり、生命維持活動に欠かせない元素です。

  

余分なナトリウムを体外に出す効果があることから、血圧を下げたり、むくみの改善などに役立っていると言われています。

  

【カリウム不足だと…?】

血中のカリウムが3.5mEq/L以下になるとカリウムの不足と判断できます。

  

カリウムが不足すると

・筋力低下

・筋肉痛

・悪心

・便秘

・痙攣、筋肉痙攣

・不整脈

  

など主に運動に関わる機能に異常が見られます。

  

【カリウム過剰だと…?】

逆に血中のカリウムが5.5mEq/L以上になるとカリウム過剰と判断できます。

  

カリウムが多すぎると

・悪心

・嘔吐

・しびれ

・脱力感

・不整脈

  

などの症状が現れます。

  

カリウムの多い食品を取りすぎるか、カリウムの排出を行う腎臓の機能が低下が疑われます。

  

そうなった場合は食事によるカリウム制限などが定石となっています。

  


  

筋肉の維持向上にカリウムは欠かすことのできない栄養素です。

  

特にカリウムの含有量が多い果物はバナナです。

  

バナナ一本には約422mgのカリウムが含まれていて、これは1日の推奨摂取量(4700mg)の約9~10%をカバーできます。

  

エネルギーの吸収効率良く食べやすいバナナがスポーツマンに好まれる理由もうなずけます。

 

  

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