神話

プシュケの受難~クピドとプシュケ③~

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の続き…。

 

 

プシュケの試練

ジュセッペ・クレスピ作「クピドとプシュケ」1707~1709年

見えない夫との約束を破り姿を見てしまったプシュケ。

  

空に消えていった美しい羽の生えた彼を見て、プシュケはヴィーナスの息子のクピドだと理解しました。

 

クピドを探して森の中を歩き回ったプシュケですが、とうとう見つかることはありませんでした。

  

その姿を見ていた豊穣の神ケレス(ギリシャ神話でのデメテル)は”ヴィーナスに懺悔しなさいと”アドバイスしました。

 

プシュケは早速神殿に行き、ヴィーナスに事の顛末を話しました。

  

エドワード・マシュー・ヘイル作「プシュケと玉座のヴィーナス」1883年

 

ヴィーナスは最初から全てを知っており怒りをあらわにしました。

  

しかしこうも言いました。

  

「息子にふさわしいかどうか、これからのお前の仕事ぶりを見て判断しよう。」

 

プシュケも「クピドに会えるなら何でもします。」と言い、ヴィーナスの試練を受けることになるのです。

 

  

穀物の仕分け

最初の試練は穀物の仕分けでした。

  

限られた時間の中で大麦や小麦、豆などが混じった大量の穀物を仕分けます。

  

しかしどうやっても人間の手で終わる作業量ではありませんでした。

  

すると、どこからか大量のアリが集まり穀物の仕分けを手伝ってくれました。

 

彼女に同情したクピドが手を貸してくれたのです。

  

こうして最初の試練をクリアしたプシュケは、ヴィーナスに次の試練を与えられます。

 

  

金色の羊毛刈り

2番目試練は金色に輝く羊から毛を刈ってくることでした。

  

金色の羊はあまりに凶暴で、近寄る人間は簡単に殺されてしまいます。

  

途方にくれるプシュケですが、その姿を見ていた河の神がこう言いました。

  

「あの羊の毛を刈るのなら止めた方がいい。しかしどうしてもやると言うのなら、日が沈み大人しくなる頃がいい。」

  

…と、羊が休む場所まで教えてくれたことで、黄金の毛を刈り取ることができました。

 

こうして2番目の試練をクリアしたプシュケは、ヴィーナスに次の試練を与えられます。

 

  

竜の巣の水

3番目の試練は、竜の巣がある泉から水を汲んでくることでした。

  

竜の炎はたとえ寝息だとしても人間を消し炭にする程恐ろしいものでした。

  

それ以前に竜の巣険しい山の頂にあり、人間が近づくことさえできません。

  

またも途方にくれるプシュケ。

  

するとそこに一羽の大鷲が飛んできました。

  

大鷲は杯を咥えており、なんと竜の湖の水が入っていました。

  

ベンジャミン・ウェスト作「プシュケにカップを運ぶ鷲」1738~1820年

  

この大鷲はジュピター(ギリシャ神話でのゼウス)が飼っている神獣で、クピドが大変可愛がっていた鷲でした。

  

きっと見かねたクピドがまた手を貸したのでしょう…。

 

何はともあれ3番目の試練をクリアしたプシュケは、ヴィーナスに最後の試練を与えられるのです。

 

続く…。

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