の続き…。
恋に落ちるオオナムチ
八十神たちから逃れ、根の国に旅立ったオオナムチ。
そこで出会ったのは、須佐之男(スサノオ)の娘である、須勢理毘売命(スセリビメ)という神でした。
オオナムチとスセリビメは、瞬く間に恋に落ちます。
そのことを知ったスサノオは、オオナムチに試練を与えます。
試練その① ~室(むろ)の試練~
スサノオはオオナムチにいくつか部屋を与え、そこに寝泊まりするように言います。
オオナムチも有り難いと頷き、根の国での夜をそれら部屋で明かすことにします。
しかしそれら部屋は、夜中になると室内にヘビやハチやムカデが蔓延る毒虫の部屋でした。
このピンチに助けてくれたのがスセリビメ。
オオナムチが部屋に入る前に布(高貴な女性が方にかけているアレ)を渡し、いざとなったらこれで虫を追い払うようにと助言をしていました。
このチート布のおかげでこれらの試練を乗り越えるオオナムチ。
スサノオはさらなる試練をオオナムチに与えます。
試練その② ~鏑矢(かぶらや)の試練~
次なる試練は、スサノオが放った鳴鏑(なりかぶら)という鏑のついた矢を取ってくる試練。
根の国の野原から遠くに向かって矢を放つスサノオ。
それをオオナムチが取りに行くのですが、彼が草木の生い茂る草原に入るや否や、スサノオは火を放ちます。
火に囲まれたオオナムチは絶体絶命!
しかしそこに現れたのは、一匹のネズミでした。
ネズミはオオナムチを地面に掘ってある巣の中へ導き、オオナムチはこの窮地を脱します。
一安心したオオナムチが辺りを見渡すと、ネズミの子どもたちが鏑矢の羽をかじって遊んでいるではありませんか!
しかもスサノオの放ったあの鏑矢を!
ーーー…。
焼け野原になった草原を前に、スサノオとスセリビメはオオナムチの死を確信していました。
スセリビメは泣きながら葬儀の道具を持って、草原に戻ってきます。
しかしそこに現れたのは、矢を手にしたオオナムチ。
見事、鏑矢の試練を乗り越えたことに感心するスサノオ。
最後の試練を与えます。
試練その③ ~虱(しらみ)取りの試練~
オオナムチを自分の家に招き入れたスサノオ。
そこで最後の試練を言い渡します。
その内容は…。
「俺の頭の虱(シラミ)を取れ」
というもの。
そんなのでいいんですか?と思ってしまいますが、実際に頭を見てみるとそこには虱ではなくムカデが大量にうごめいていました。
もはや試練と言うより嫌がらせです。
どうしたものかと困ったオオアナムチを助けたのは…。
やはり娘のスセリビメ。
好きすぎるあまり、やたらと助言をしてくれます。
椋(むく)の木の実と赤土をもってきてこうアドバイスしました。
「この木の実を噛んで潰し、赤土と一緒に吐き捨ててください。」
「きっと父はムカデをかみ殺していると勘違いするはずです。」
オオナムチは言われた通りにします。
するとスサノオは更に感心。
心の中で
「(けなげな奴だ…)」
と安心し、うとうとと眠り始めました…。
こうして、オオナムチはスサノオの試練をなんとか乗り越えることができたのです。
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