今回紹介する映画は、政治の腐敗に暴力による鉄槌を下すクライム・アクション映画「ケルベロス 紅の狼」です。
銃で撃たれた主人公ミゲルの娘は、政治の怠慢によって起こった医療機関の不備によって命を落としてしまいます。
特殊武装警察官でもあるミゲルが、その元凶となった政治や汚職に手を染める政治家たちに復讐をしていく映画です。
政治の世界に腐敗はつきものという常識に対し、ブラジリアンダークヒーローが力による制裁を加えていきます。
それではあらすじから……。
あらすじ
横領や賄賂が蔓延するブラジル政界。
大統領選を目前に、国民は政治への怒りが頂点に達していた。
国家特殊武装班に所属するミゲルは、州知事による公的医療費の横領を暴くため公邸の家宅捜索に踏み切る。
しかし、証拠を得ることが出来ずに知事は釈放。
捜索の直後、ミゲルの幼い娘アリスが何者かに狙撃されてしまう。
運ばれた病院でも治療を拒否され、娘は命を落とす。
すべてがコレアの仕業だと知ったミゲルは公邸前で行われていた大規模デモに紛れ己を復讐を果たすために行動をはじめる。
警察官でありながらも手段は悪
警察や法の目的とは何なのかを考えさせられます。
国民の安全を守るために警察という組織があるにもかかわらず、汚職した政治家を守るための駒になり果てている。
そんな劇中のブラジル警察や政治との関係から、手段は悪であるはずの主人公を不思議と応援してしまう……。
そんな面白さを感じます。
ブラジルの政治に関連する汚職は有名で、大統領選挙前になると、それまでの捜査によって明らかになった汚職事件によって相手候補をおとしめるというやりとりも多くあります。
2018年にも当時の大統領ルラ氏が、国営石油会社ペトロブラスの入札で便宜を図った見返りとして、建設会社から370万レアル(約1億1800万円)相当のマンションを受け取ったことが収賄に当たるとし、最高裁から有罪判決を受けました。
一連の騒動によって政権がひっくり返ったものの、公判を指揮したモロ前法相の不適正(政治的な意図があったこと)を指摘され判決が無効となったことで、大統領選に最出馬。
2022年には再当選を果たし、現在(2024年2月)もブラジル大統領の座についています。
ちなみにルラ氏は、2003年の政権発足以降「飢餓ゼロ」計画を打ち上げ、貧困家庭向けの食料援助や援助金制度などを推進した大統領です。
FIFAワールドカップのブラジル大会やリオオリンピックの誘致にも成功し、政権の人気も高い反面、それに反対する勢力も強まっていきました。
ルラ氏の就任直後、大統領府や議会が襲撃されたというのもの、映画さながらの出来事で詳細が気になるところです。
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