カンブリア紀のアノマロカリス、オルドビス紀のエーギロカシス、シルル紀のプテリゴトゥス、そして古生物の代表となる三葉虫。
硬い殻を獲得することは、長き生存競争の中で重要な要素だったことが分かります。
現代でも硬い甲殻に守られた種は多く存在しますが、そういった種はある特定の生物に似た性質を獲得しています。
その生物とは“カニ”です。
今回はそんなカニと進化についての研究のお話。
長い歴史の中で、カニになるということは重要な要素だったようです。
参考記事)
・Evolution Keeps Making Crabs, And Nobody Knows Why(2023/06/15)
参考研究)
・Howtobecomeacrab:Phenotypicconstraintsonarecurringbodyplan(2021/01/19)
進化によって得られるカニらしさ
地球上の複雑な生命進化の歴史は、数多くの奇妙な生物を生み出してきました。
中でもカニは、進化生物学者の中でも特に注目されている生き物の一つです。
2021年に発表された研究では、過去2億5000万年前の間には少なくとも5回はカニらしさを決定付ける進化を遂げてきたと主張されています。
カニではなかった生物がカニのような進化を辿ること“カーシニゼーション”と呼びます。
生物学者のジョナス・ケイラー氏は2017年の研究にてカーシニゼーションをこのように定義しています。
・甲殻は幅に比べて平らで、外縁部を持つ(画像A)
・腹板は広い腹甲へと融合し、後方の縁は前方へ隆起する(画像B)
・胸部は扁平で強く曲がり、背側から見て胸部第4節の背板を完全に隠し、腹甲を部分的あるいは完全に覆う(画像C)
逆に進化によってカニらしさが消えていった例もあり、これを脱カニ化と言います。
上の画像のように、進化の中ではカニの仲間に進化したものの中から脱カニ化するものもいます。
例として、プエルトリコの砂ガニやカエルガニ、ロップサイドヤドカリなどが挙げられます。
反対に、ヤドカリの仲間に進化したものの中でカニ化するものもいます。
そ有名な例としてよく出てくるのがタラバガニです。
こういった別の種類なのに環境に合わせて似たように進化することを収斂進化と呼びます。
サンゴ礁や深海、小川や洞窟、森林など地球上のほとんどのすべての生息地にカニは存在します。
カニでは無いのにカニに似すぎているもの達が多すぎるため、分類学者はカニを本当のカニかそうでないかを誤分類させるほどです。
ほとんどのカニが、捕食者から身を守るために石灰化した硬い甲羅を発達させており、これは種を存続させるために有利なことは明らかです。
カニの横歩きはカニが俊敏であることを意味します。
万が一捕食者が現れても見失うことなく、どちらかの方向へ素早く逃げることができます。
しかし、全ての系統で横歩きが見られるわけではありません。
前向きに歩くクモガニもいます。
また、カニ化していないヤドカニの中には、横歩きのヤドカリも存在します。
また一部のカニは、捕食者になるために大型の爪を進化させたものもいます。
このように、一概にカニ化と言えど、多様な進化を遂げているため、その根源を突き止めるのは難しいと考えられています。
しかし、技術の進歩によって原生種や化石に含まれるカニのゲノム情報や解析方法が増えているのも確かです。
研究者らは、「カニの起源と消失の過程を解明することは、進化の起源を特定することにもなります」と述べています。
もし地球外惑星にある程度大きな生物がいるとしたら、こういったカニ化を辿っているのかもしれません。
そんな生物の進化に迫った研究の一つを紹介しました。
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