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超加工食品を減らすと体に何が起こるのか?最新研究が明らかに

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米ドレクセル大学による最新の研究から、超加工食品の摂取量を半分にすることで、一日の消費エネルギーの増加や体重減少(平均3.5kg)など、顕著な健康効果が確認されたことが明らかになりました。

 

また、心臓病や糖尿病などの深刻な健康リスクを軽減する可能性も示唆されています。

 

専門家は、全粒食品を優先すること、食品ラベルを確認すること、自炊を増やすことが、超加工食品の摂取量を減らす上で役立つと述べています。

 

今回のテーマは、超加工食品を減らすことで得ることができるメリットについてのまとめです。

 

参考研究)

A Pilot Study of a Novel Dietary Intervention Targeting Ultra-Processed Food Intake(2024/12/08)

 

 

超加工食品とは?

  

現在、超加工食品の定義が明確に定められていませんが、NYU Grossman School of Medicine臨床准教授のSapana Shah氏によると、以下のような食品が含まれるとしています。

 

• 甘い、塩気の多いスナック

• 加工肉

• 冷凍食品

• インスタントヌードルやスープ

• ジュースなどの甘い飲み物

 

また、Tamar Samuels管理栄養士(Culina Health共同創設者)は、超加工食品には人工香料、防腐剤、乳化剤、ナトリウムなどの添加物が多く含まれ、全粒食品はほとんど含まれていないことも特徴の一つであると指摘しています。

 

これらの食品は大量生産に優れ、安価で保存もしやすいため、平均的なアメリカ人の食事の60%を占めていることが問題視されています。

 

しかし、この研究では、適切なサポートがあれば超加工食品の摂取量を減らし、健康を改善できることが示されました。

 

以下に研究の詳細をまとめます。

 

 

研究の詳細

研究チームは、1日2回以上超加工食品を食べている14人の成人を対象に8週間、以下の食事&支援プログラムを実施しました。

 

超加工食品に関する教育

食事計画の指導

食欲コントロール

健康的な食品を購入するための経済的支援

家庭環境の改善

 

その結果、8週間のプログラムの終了時点で、参加者は以下のような健康的な変化が示されました。

 

A Pilot Study of a Novel Dietary Intervention Targeting Ultra-Processed Food Intakeより

1日平均600kcalの摂取カロリー減少

糖分摂取量50%減

飽和脂肪酸摂取量37%減

ナトリウム摂取量28%減

 

さらに、肌の改善、手足のむくみの減少、気分の改善、エネルギーの増加などの報告もありました。

 

しかし、Hagerman博士(Drexel University助教)によると、米国の栄養ガイドラインには超加工食品の削減に関する具体的な指針がなく、食品業界のロビー活動の影響を受けている可能性があるとのことです。

 

 

長期的な健康効果

今回の研究は短期間の変化に焦点を当てていますが、専門家は長期的な健康リスクの軽減にもつながる可能性があると指摘しています。

 

例えば、2024年に発表されたメタ分析によると、超加工食品の摂取量が多い人は、心血管疾患、二型糖尿病、大腸がんのリスクが高まることが明らかになっています。

 

また、2023年に発表された系統的レビューでは、超加工食品の摂取が全死亡率、心血管疾患死亡率、がん、糖尿病、精神疾患のリスク増加と関連していることが示されました。(Food reward and gut-brain signallingより

 

Shah博士は、「超加工食品を減らすことで、代謝疾患や精神疾患のリスクを低減できる可能性がある」と述べています。

 

 

超加工食品の摂取を減らす方法

超加工食品は手軽で安価なため、経済的事情や仕事の関係によっては完全に排除するのは難しい場合があります。

 

しかし、徐々に減らしていくことで、長期的な習慣として定着させることが可能です。

 

1. 全粒食品を優先する

Tamar Samuels管理栄養士は、「新鮮な果物、野菜、全粒穀物、赤身のたんぱく質、ナッツや種子を意識して摂取する」ことを推奨しています。

また、朝昼晩の食事の半分を野菜や果物にするのが理想的です。

  

2. 食品ラベルを確認する

食品ラベルをチェックし、添加物の多い製品を避けることが大切としています。

一般的に、原材料リストが長く、知らない成分が多い食品は超加工食品である可能性が高いです。

  

3. 自炊を増やす

自炊することで、食材の選択や調理方法をコントロールできるため、自然と超加工食品の摂取量が減る傾向にあります。

また、David Kahana医学博士(1MD Nutrition)は、事前に食事を計画し、お弁当を持参することで、外食やジャンクフードの誘惑を減らせるとアドバイスしています。

 

以上のことから、超加工食品の摂取を減らすことで、短期間でも体重の減少やエネルギーの増加などの健康効果が期待できるようです。

 

さらに、長期的には心疾患や糖尿病のリスク低減にもつながる可能性があるため、少しずつ食生活を見直すことは、決してそんな選択ではないと思います。

 

まずは、自炊や食品ラベルの確認など、できることから始めてみるといいかもしれません。

 

 

まとめ

・超加工食品の摂取量を半減させることで、体重減少や消費エネルギーの増加などの健康改善が確認された

・長期的には、心疾患や糖尿病などのリスク低減にもつながる可能性がある

・全粒食品を優先し、食品ラベルを確認し、自炊を増やすことで、超加工食品の摂取を無理なく減らせる

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