超加工食品の摂取によって心筋梗塞および脳卒中のリスクが47%増加──米国成人4,787人の全国調査データより

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フロリダ・アトランティック大学の大規模観察研究の結果から、「超加工食品の摂取が、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患リスクと関連している可能性がある」ということが示唆されました。

 

本研究は、米国国民健康栄養調査(NHANES)の最新データを用いて、超加工食品の摂取量と心血管疾患リスクの関連を定量的に評価したものです。

今回はそんな超加工食品と心疾患との関連性についての研究がテーマです。

 

研究の背景・方法・結果を丁寧に整理し、また観察研究としての限界についてに記述します。

 

参考記事)

Ultra-processed foods linked to 47% higher risk of heart attack and stroke(2026/02/10)

 

参考研究)

Consumption of Ultra-Processed Foods and Increased Risks of Cardiovascular Disease in U.S. Adults(2026/01/23)

 

 

なぜ超加工食品が問題なのか

 

ここで言う超加工食品とは、工業的な加工が進み、添加糖・添加脂肪・食塩、様々な化学添加物を多く含み、元の自然食品の栄養素が大きく失われた食品のことを指します。

  

炭酸飲料、菓子、加工肉、ポテトチップスやスナックなどがその代表例であり、米国では成人の食事の約半分以上のエネルギーをこれらが占めるとの報告もあります。

 

これらの食品は肥満や代謝異常と関連し、炎症マーカーである高感度C反応性タンパク(hs-CRP)上昇とも結びつくため、心血管疾患につながる可能性が指摘されてきました。

  

しかし、超加工食品の摂取量と心血管疾患そのもののリスクを、代表的な全国サンプルで直接評価した研究はこれまで限定的でした。

 

今回の研究は、そのギャップを埋めることを目的として実施されました。 

  

 

研究の目的と方法

  

本研究の目的は、米国成人が日常的に消費する超加工食品の量が多いほど、心血管疾患(心筋梗塞または脳卒中)のリスクが高くなるかどうかを検証することでした。

 

研究チームは、2021〜2023年に収集されたNHANESデータの中から、18歳以上の成人4,787人を対象に解析を行いました。

 

食事は詳細な2日間の食事記録(24時間記憶調査)を用いて評価され、一日の総エネルギー摂取に占める超加工食品の割合が計算されました。

 

これを基に、参加者を最も少ない群から最も多い群までの4つのグループに分けています。

 

心血管疾患は学術的に「心筋梗塞(myocardial infarction)または脳卒中(stroke)の既往」として定義され、これは参加者自身の申告に基づいています。

 

解析は、年齢・性別・人種・民族・所得対貧困比・喫煙状況などの交絡因子を統計的に補正した上で実施されました。

 

 

結果:超加工食品の大量摂取で47%リスク上昇

 

対象者の平均年齢は55歳で、約55.9%が女性でした。

 

研究では、総エネルギーのうち平均約26.1%が超加工食品から供給されていたと報告されています。

 

統計解析の結果、超加工食品の摂取が最も多い四分位のグループは、最も少ない四分位群と比較して、心血管疾患リスクが47%高いことが明らかになりました。

 

この結果は、年齢・性別などの複数の要因を補正後のものです。

 

この47%という比率は、統計学的にも臨床的にも意味のある増加として評価されています。

 

  

考察:観察研究としての解釈と限界

本研究は、大規模な全国サンプルを用いた代表的な観察研究として価値が高いものですが、因果関係を証明するものではありません。

 

以下の点が注意点として挙げられます。

 

・心血管疾患の判定は自己申告によるものであり、医療記録による確定診断ではない可能性がある

・食事評価は2日間の摂取記録に基づいており、長期的な食習慣を完全に反映しているとは断言できない

・交絡因子を可能な限り補正しても、未知の要因が影響している可能性が否定できない

 

したがって、この研究は重要な「関連性」を示すものの、「超加工食品が直接的に心血管疾患を引き起こす」という断定的な結論には至りません。

 

大規模な無作為化比較試験などのさらなる研究が必要です。

 

 

公衆衛生的な議論

研究者らは、この結果が公衆衛生政策や臨床ガイドラインに影響を与える可能性を指摘しています。

 

また、超加工食品への依存を減らすためには、個人の選択だけでなく、健康的な食品へのアクセスを広げる社会的・政策的な取り組みが不可欠であると述べています。

  

特に、娯楽的な嗜好や忙しい生活習慣が超加工食品の選択につながっているとすれば、その背景には価格、利便性、地域の食品環境といった構造的要因が関わっていると考えられます。

  

  

実臨床での示唆

  

研究チームは、心血管疾患予防の観点から、医療従事者が患者に対して超加工食品の摂取を控えることを助言することが有益であると提案しています。

 

これは、運動・禁煙・血圧・脂質管理といった従来の生活習慣改善と併せて行うべきアプローチとされています。

 

 

まとめ

・超加工食品を最も多く摂取する米国成人は、心筋梗塞・脳卒中を含む心血管疾患リスクが47%高い関連が観察された

・本研究は観察研究であり、自己申告データや短期的な食事記録に基づくため、因果関係の確定には限界があり、さらなる研究が必要

・医療現場では、他の生活習慣改善と併せて超加工食品の摂取を控える助言が実践的対応として推奨されている

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