甘いものへの欲求を抑える6つの方法

科学
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古くは口にすることが難しかった甘いもの。

 

現代であらゆる場所で手に入ることができ、それこそ道端の自動販売機でも入手が可能です。

 

現代における甘いものほとんどは、精製された砂糖や品種改良されたフルーツ・野菜であり、健康的と言える代物ではありません。

 

言うには及びませんが、砂糖の過剰摂取は肥満や糖尿病、心疾患などの慢性疾患につながるリスクを高めることが知られています。

 

日常的に摂取量が多すぎると、長期的な健康に大きな影響を与える可能性があるのです。(Three independent measures of sweet taste liking have weak and inconsistent associations with sugar and sweet food intake – insights from the sweet tooth studyより

 

一方で、デザートを適度に楽しむことはストレスを軽減し、気分を改善する効果もあると報告されています。

 

そのため、完全に甘いものを排除する必要はなく、むしろ「どのように砂糖と向き合うか」が重要になります。

 

アメリカの科学情報集約サイトの「Health」では、そんな砂糖との向き合い方についてのヒントを、研究を引用する形でまとめられています。

 

今回は「Health」を参考に、砂糖との付き合い方についてまとめていきます。

 

参考記事)

6 Ways to Curb Your Sweet Tooth if You’re Always Craving Sugar(2025/09/25)

 

 

甘いものを欲する仕組みと健康リスク

砂糖の過剰摂取は、単なるカロリーオーバーにとどまらず、脳やホルモンに影響を与えることが示されています。(Why Do We Eat Comfort Food? Exploring Expectations Regarding Comfort Food and Their Relationship with Comfort Eating Frequencyより

 

砂糖には依存性がある可能性が指摘されており、そのため「やめたいのにやめられない」という感覚を持つ人が少なくありません。(Evidence for sugar addiction: Behavioral and neurochemical effects of intermittent, excessive sugar intakeより

  

血糖値の急上昇と急降下は、さらに強い甘いものへの欲求を引き起こすことがあります。

 

また、日常的に砂糖を取りすぎると肥満、二型糖尿病、心疾患の発症リスクが高まることが数多くの疫学研究で報告されています。

 

したがって、甘いものへの欲求を完全に消すのではなく、適切にコントロールする方法を身につけることが長期的な健康維持に欠かせないのです。

 

 

1. 朝食はたんぱく質を重視する

 

欧米の朝食は、シリアルやペストリーなど甘い食品を食べる傾向が多いことで有名です。

 

朝食自体を食べることは、セカンドミール効果や一日の始まりとして悪いことではありません、

 

しかし、朝一で甘いものを食べること、つまり血糖値を急激に上昇させることは、その後一日中、血糖値が乱高下しやすい状態を引き起こします。

 

テキサス工科大学(テキサス・テック・ユニバーシティ)の栄養学部で准教授を務めるスポーツ栄養士 Allison Childress は、「朝の血糖値が急上昇すると、その後の強い欲求につながりやすい」と説明しています。

 

卵、全粒パンを使った食事など、高たんぱく質の朝食を選ぶことで血糖値を安定させ、満腹感を持続させることができます。

 

これにより、一日の食事バランスが整い、甘いものを必要以上に欲しがらなくなるのです。

 

 

2. 食事を抜かない

 

忙しい日には朝食や昼食を抜いてしまうこともありますが、これは甘いものへの強い欲求を引き起こす要因になります。

 

Childress は「食事を抜くと血糖値が下がり、体は即効性のあるエネルギー源、つまり砂糖やそれに近い炭水化物を強く欲するようになる」と指摘しています。

 

そのため、3〜5時間おきに、以下のようなたんぱく質・食物繊維・健康的な脂肪を含む食事や軽食をとることが推奨されます。

・リンゴとチーズ

・野菜とフムス

・全粒パンのターキーサンドイッチ

 

規則正しい食事は、血糖値を安定させ、自然と砂糖への欲求を減らすことにつながります。

  

  

3. 「添加糖」に注意する

  

スーパーで食品を選ぶ際には、必ず栄養成分表示を確認することが大切です。

  

記事では、「added sugars(添加糖)」という表示に注目すべきとされています。

 

日本ではadded sugarsに該当する表記がないため、この成分を確認する手段がありません。

 

次の項にまとめる内容ですが、「果糖ブドウ糖液糖」といった表記がある場合は、その食品や飲料を避けると良いでしょう。

 

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)メディカルセンターの臨床栄養士 Dana Ellis Hunnes は、「添加糖の含有量が0グラムに近いほど理想的」と述べています。

 

加工食品を控え、できるだけ全体食材を用いた家庭料理を中心にすることで、自然と添加糖の摂取量を減らすことができるのです。

 

添加糖を減らす生活を続けると、次第に甘いものを強く欲しなくなる傾向も報告されています。

 

 

4. 甘い飲み物を控える

 

ソーダや砂糖入りコーヒー、フレーバーラテなどは、甘い味覚に慣れてしまう筆頭とも言える飲み物です。

 

特に、咀嚼を介さずに糖分をそのまま吸収するために、血糖値が急激に上がりやすいという点が、血管へのダメージやインスリンのコントロール不調(膵臓の疲弊)にダイレクトにつながることが指摘されています。

 

その結果、肥満や糖尿病の大きな要因にってしまう点に注意が必要です。

  

Hunnes は「甘い飲み物を飲み続けると、砂糖が含まれていなくても味覚が甘さに慣れてしまい、さらに甘さを求めるようになる」と指摘しています。

 

その代替として、炭酸水、無糖の紅茶やコーヒーがオススメされています。

 

甘い飲み物から離れることで味覚が時間をかけて再調整され、甘さへの依存度を下げることが可能になります。

 

 

5. 睡眠を優先する

 

睡眠不足も甘いものへの強い欲求を引き起こすことが研究によって示されています。

 

テキサスの栄養士 Jena Brown は、「睡眠不足は血糖調整や食欲ホルモンの働きを乱し、甘い食品を魅力的に見せてしまう」と説明しています。

  

さらに、短期間の睡眠不足でもインスリン抵抗性が悪化し、砂糖を含む食品への渇望を高めることが分かっています。

 

そのため、1日7〜9時間の質の高い睡眠を確保することが、エネルギーの安定化や過剰な甘いもの欲求の抑制に役立つのです。

 

 

6. 運動前後の適切な栄養補給

 

運動習慣がある人にとって、エネルギー補給の不足は甘いものへの欲求を強める大きな要因となります。

 

Brown は、特にカロリー制限を行っているアスリートにその傾向が顕著に見られると指摘しています。

 

運動前後1〜2時間以内に、たんぱく質と炭水化物をバランスよく含む食事を摂ることで、血糖値を安定させ、筋肉のグリコーゲンを補充し、反動的な過食や強い欲求を防ぐことができます。

 

十分な栄養補給を続けることで、多くのアスリートが「甘いものへの強い欲求が自然と消えた」と報告しています。

 

 

「甘いものを完全に排除する必要はない」との見解

Brown は「時々甘いものを食べたいと思うのは自然なことであり、危険信号ではない」と強調しています。

 

むしろ、バランスのとれた食生活の中にデザートやスイーツを適度に取り入れることは可能です。

 

重要なのは習慣としての砂糖摂取量を減らし、強い依存を避けることです。

 

 

まとめと経験談

・高たんぱく質の朝食、規則正しい食事、十分な睡眠が甘いもの欲求を抑える鍵です

・添加糖や甘い飲み物を減らすことで、味覚は徐々に砂糖に依存しなくなります

・運動習慣がある人は、適切な栄養補給を行うことで過剰な欲求を防ぐことができます

 

個人的には、甘いものの摂取し過ぎに悩んでいる人ほど「一度は完全に断つ」ことを実践してみると良いと思っています。

   

最初の一ヶ月などは甘いものに目移りするかもしれませんが、二・三ヶ月も過ぎた頃には、その欲求も自然と薄れていくことが分かるはずです。

   

自分は特に、口内炎やニキビといった身近な炎症が目に見えて減ったことにはじまり、菓子パンやピザなどの加工食品を控えることで、花粉症などのアレルギー症状の軽減も見られました。

   

個人的な経験ではありますが、幼少期から悩まされていたひどい口内炎や腸の不調などが今では皆無になりました。

 

逆に、たまにそういうものを口にする機会があると、また過去のひどい症状が現れたりします。

   

そして、悪食を止めると調子が良い状態に戻る。

 

これらを繰り返していると、自然に食生活も変わっていきました。

  

別の見方をすると、それでも変化がなかったり、そもそも心身の不調に悩んでいない場合は特に気にする必要がないということでもあると思います。

 

もし慢性的な不調に悩んでいる場合は、お菓子やジュース、加工食品などを絶ってみると効果が実感できることは多いかと……。

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