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お茶やベリーなどのフラボノイド豊富な食品が健康的な老化を促進する可能性

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年齢を重ねても心身ともに健康であり続けることは、多くの人にとって望ましいことです。

 

その実現に向けて、私たちの毎日の食生活が果たす役割はとても大きいものと言えます。

 

オーストラリア・エディス・コーワン大学による研究により、フラボノイドを豊富に含む食品を日常的に摂取することで、加齢に伴う身体的・精神的な衰えを予防できる可能性があることが明らかになりました。

 

以下に研究の内容をまとめます。

 

参考研究)

Associations between flavonoid-rich food and flavonoid intakes and incident unhealthy aging outcomes in older United States males and females(2025/02/12)

 

 

フラボノイドと加齢の関係性とは?

フラバン構造式(フラボノイドの基本骨格)

 

フラボノイドとは、りんごや柑橘類、ベリー類、紅茶などの植物性食品に多く含まれる抗酸化作用を持つ天然化合物です。

 

これまでも、フラボノイドの摂取が心疾患、二型糖尿病、認知症などの慢性疾患リスクを低下させることが複数の研究で示されてきました。(Evidence of Flavonoids on Disease Preventionより

 

今回の研究では、その知見をさらに発展させ、フラボノイド摂取が高齢期の身体的虚弱や精神的健康に与える影響が検討されました。

 

エディス・コーワン大学医学・健康科学部に所属するNicola Bondonno博士は、次のように述べています。

 

今回の研究により、高フラボノイド食は身体的虚弱、精神的不調、身体機能の低下などの老化に伴う健康問題のリスクを下げることが明らかになった。これは、年齢を重ねても活動的で自立した生活を送り、精神的にも健やかでいられる可能性を示している

 

 

約8万5000人を対象にした大規模調査

この研究では、アメリカで長年続いている大規模コホート研究であるNurses’ Health Study(NHS)Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)のデータが用いられました。

 

NHSの1990〜2014年、HPFSの2006〜2018年のデータに基づき、60歳以上の女性約6万2000人、男性約2万3000人という大規模なサンプルが対象となりました。

 

研究チームは、参加者が摂取したフラボノイド豊富な食品(紅茶、りんご、オレンジ、グレープフルーツ、ブルーベリー、ストロベリー、赤ワインなど)の頻度に注目しました。

 

その上で、「フラボダイエット・スコア(flavodiet score)」と呼ばれる指数を算出し、食事パターンと健康状態の関係を数値化しました。

 

調査の結果、フラボダイエット・スコアが高い人ほど、以下のように健康的な加齢が見られました。

 

 女性の場合、フラボノイド摂取量が最も多いグループでは、

 虚弱リスクが15%低下

 身体機能障害のリスクが12%低下

 精神的健康の低下リスクも12%低下

 男性では、やや限定的な関連が見られましたが、精神的健康の低下リスクが有意に低下していた

 

なお、この性差についてBondonno博士は、男女で追跡期間に違いがあることが原因の可能性が高いと指摘しています。

 

  

観察研究の限界と今後の課題

本研究のような観察研究は、因果関係を示すものではなく、関連性を明らかにするものにとどまるという点にも注意が必要です。

 

Darshan Shah, MD(外科医・老化研究の専門家)は次のように指摘しています。

  

食事アンケートを4年ごとに実施する形式であるため、自己申告による記憶に基づいたデータは誤差を含む可能性がある。また、フラボノイドを多く摂る人々が、運動習慣など他の健康的な行動を取っていることも考慮すべき

 

それでも、フラボノイドが健康に好影響をもたらすメカニズムについての仮説は、研究者たちの間で高まっています。

 

 

フラボノイドが老化防止に寄与する理由

研究者らは、フラボノイドには抗炎症作用の他に、「オートファジー(自食作用)」と呼ばれる細胞内の老廃物処理プロセスを促進する効果もある可能性があるとしています。

 

Bondonno博士も、以下のように補足しています。

• 酸化ストレスの軽減

• 血管の健康維持

• 筋肉量の維持への貢献

 

これらの複合的な作用により、心臓・脳・筋肉などさまざまな臓器系統の老化を緩やかにする可能性があると考えられています。

  

  

今から始めるフラボノイド習慣

 

現時点ではさらなる研究が求められていますが、多くの栄養専門家はすでに、フラボノイド豊富な食品を積極的に食生活に取り入れることを推奨しています。

  

The MIND Diet: 2nd Edition』の著者であるMaggie Moon, MS, RDは次のように助言しています。

  

中年期から、あるいはそれ以前からフラボノイドの摂取を意識的に増やすことで、その恩恵が長期的に蓄積され、より良い老化が実現しやすくなる

  

以下のような具体的な方法が紹介されています。

• 朝の一杯を緑茶にする

• ベリー(ブルーベリー、ストロベリー、ラズベリー)入りのスムージーを作る

• 100%オレンジジュースや野生種ブルーベリージュースを朝食に取り入れる

• りんごとピーナッツバターをおやつに

• ダークチョコレート(カカオ70%以上)を時々デザートに

• パセリやオレガノなどのフラボノイド豊富なハーブを料理に使う

  

今回の大規模調査では、フラボノイドは、果物や紅茶などに含まれる抗酸化作用をもつ天然成分で、加齢に伴う身体的・精神的な衰えのリスクを下げる可能性があることが示されました。

 

特にフラボノイド摂取量が多い人ほど、虚弱や身体機能低下、精神的不調のリスクが低い傾向が確認されました。

 

今後の研究が必要とされるものの、日常的にフラボノイド豊富な食品を取り入れることは、健康的な老化を促す手段として期待されています。

 

  

まとめ

・フラボノイド豊富な食品を摂取することで、老化に伴う虚弱・身体機能低下・精神的不調のリスクを下げられる可能性がある

・大規模コホート研究に基づく観察結果ではあるものの、抗酸化・抗炎症・オートファジー促進といったメカニズムによる作用が示唆されている

・早いうちから継続的にフラボノイドを取り入れる食生活を心がけることが、健康的な老化の鍵となる

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