多くの人が、枕に頭をつけた瞬間に深い睡眠に落ち、8時間後にはすっきりと目覚めることが「良い睡眠」だと考えます。
多くの人に当てはまる健康な睡眠は、夜間にレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを繰り返し、場合によっては何度か目が覚めることも普通です。
覚醒したことを自覚する人もいれば、そうでない人もいます。
では健康的な睡眠とはどのようなものなのでしょうか?
今回紹介するのは、研究で明らかになった「良い睡眠」についてです。
参考記事)
・Scientists Explain What a Good Night’s Sleep Actually Looks Like(2024/10/09)
参考研究)
科学者が語る「睡眠」とは
夜は軽い眠りから始まり、徐々に深い眠りに移行し、再び浅い眠りに戻ります。
この浅い眠りの中で、夢を見やすい「レム(REM)睡眠」が訪れます。
良い睡眠が取れている場合、夜の前半に深い睡眠が多く、後半にレム睡眠が増える傾向にあります。
成人は通常、1晩に5~6回の睡眠サイクルが起こり、各サイクルの終わりには短時間覚だけ醒することがあります。
これは1晩に5回程度目が覚めることを意味しますが、年齢と共にその回数は増えても健康な範囲内です。
これらの覚醒を覚えていない場合でも問題ありません。
それは非常に短時間の覚醒であることが多いからです。
「良い睡眠」とは何か?
成人には1晩に7~9時間の睡眠が必要だとよく言われますが、良い睡眠とは時間だけでなく質も重要です。
多くの人にとって、良い睡眠とは、ベッドに入ってから30分以内に眠りにつき、長時間目が覚めず、目覚めた時に休息できたことを実感し、1日を始める準備ができている状態を指します。
特に7時間以上の質の良い睡眠を定期的に取っているにもかかわらず、日中に過度の眠気を感じることがある場合、体調不良や精神的なストレス、寝具など何らかの原因があるかもしれません。
考えられる原因はさまざまですが、体がだるくて頻繁に昼寝をし、それでも回復しないと感じる場合は、かかりつけ医に相談してみるのが良いでしょう。
よくある問題
睡眠障害は多くの人が経験する症状でもあります。
成人の25%が不眠症を抱えており、入眠が難しい、途中で目が覚めてしまう、あるいは予定より早く目が覚めてしまうといった症状があります。
睡眠障害は年齢とともに増加し、20代では約20%、中高年になると約40%の人に影響を与えています。
効果的な治療法があるため、早めの相談が重要です。
睡眠障害以外にも、慢性的な痛みや薬の副作用によって睡眠が妨げられることがあります。
さらに、子どもやペット、交通騒音などによって目が覚めることもあります。
こうした外的要因による強制的な覚醒は、朝起きるのが難しくなることにも繋がり、ベッドを出るのに時間がかかり、睡眠に対する満足感が著しく低下します。
もし覚醒によって苛立ちや不安を引き起こしたり、日中のパフォーマンスに影響を与えている場合は、その原因を取り除く必要があると判断して良いでしょう。
また、朝起きるのが難しいこと感じる場合、睡眠時間が短いこと、就寝や起床時間が不規則であること、または体内時計が乱れている可能性があります。
もし仕事や家事など、必要なことがある場合でさえ起きるのが難しいと感じている場合は、専門家の助けが必要かもしれません。
スマートウォッチは役立つか?
睡眠トラッキングデバイスは、おおよその見積もりを測定することは可能ですが、完璧な指標ではありません。
睡眠段階を調べる最良の方法は、研究室などで行われるポリソムノグラフィー(PSG)です。
PSGは睡眠中の呼吸、酸素飽和度、脳波、心拍数を調べ、睡眠の深さや質を定量化します。
一般的にはPSGがどこでも利用できるわけではないため、スマートウォッチの睡眠トラッカーを利用して睡眠パターン(就寝時間と起床時間)を長期的に観察することは有益な使用方法かもしれません。
自分の睡眠パターンを理解することで、就寝前の習慣や睡眠環境など、睡眠に悪影響を与える行動を見直し、改善するきっかけとなればそれ以降の睡眠の満足度も上がるでしょう。
最も重要なのは、心配事がある場合はかかりつけ医や専門家と話し合い、適切な専門医に紹介してもらうことです。
まとめ
・良い睡眠はサイクル的であり、1晩に何度か目が覚める(5~6回の短い覚醒を起こす)のは正常
・成人の睡眠は約90分のサイクルを繰り返し、深い睡眠とレム睡眠を行き来する
・「良い睡眠」=単に7~9時間の睡眠を確保するだけでなく、ベッドに入ってから30分以内に眠りにつき、長時間の覚醒がなく、目覚めたときに休息感を得られる
・不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害は一般的で、子どもや騒音などの外的要因も睡眠を妨げるた(問題がある場合は専門家に相談することが推奨される)
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