以前、人間以外にも“文法”を使ってコミュニケーションをとる動物(シジュウカラ)について取り上げた研究を紹介しました。
その意外性が話題となり、研究の第一人者である鈴木俊貴氏がAbemaTVや各メディアに出演するなどを話題となりました。
鳥のコミュニケーション能力についての研究はなおも続き、鈴木氏によってシジュウカラのさらなる驚くべき能力が明らかになってきました。
その能力とは“ジェスチャー”。
今回のテーマは、そんなシジュウカラの体を使ったコミュニケーションについてです。
参考記事)
・Wild Birds Seen Using Their Wings to Politely Gesture in a Surprising First(2024/04/03)
参考研究)
・The ‘after you’ gesture in a bird(2024/04/03)
「お先にどうぞをする」をするシジュウカラ
東京大学の先端科学技術研究センター鈴木俊貴准教授と杉田典正特任研究員らは、シジュウカラが翼の動きによってパートナーに先を譲る行動をとることを明らかにしました。
この行動は、オス・メスが協力してヒナに餌を運ぶ際、狭い巣に入る順番を決めるために行われるようです。
人間や猿(類人猿)以外の動物でこのような意図をもったジェスチャーが見られたのは世界で初のことだそうです。
研究は2023年5月からおよそ2ヶ月、長野県北佐久郡の森に設置された巣箱で繁殖したシジュウカラを対象に行われました。
シジュウカラは全部で8組が有効な調査対象とされ、巣箱に戻る様子が321回観察されました。
その結果、オス・メスが餌やりのために同時に巣箱の近くにやってきた際、そのうちの1羽が翼を小刻みにふるわせると、もう1羽が先に巣箱に入る様子が確認されました。
また、ジェスチャーを行うのはほとんどがメスであることも分かりました。
メスが「お先にどうぞ」のジェスチャーを行った場合、24回中23回でオスが先に巣箱へ入り、ジェスチャーをしなかった場合、33回中32回でメスがそのまま先に巣箱に入りました。
鈴木俊貴氏は、「鳥類は人類と同じように二本の足で立ち、その間翼(人間で言うところの腕)は自由です。これはジェスチャーを紐解くヒントになるかもしれません」と述べています。
・参考ポスト
シジュウカラは文法を使いこなす鳥ですが、エサを口にくわえたままだと鳴き声によるコミュニケーションが取れませんね。
そう考えるとジェスチャーによるコミュニケーションをとるというのは合理的に感じます。
動物は私たちが思っている以上に賢く進化しているようですね。
この研究の詳細はCurrent Biologyにて確認することができます。
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