みなさんはリズム感と聞いてどのようなイメージがあるでしょうか。
音楽のリズム、呼吸のリズム、生活のリズム……。
私たちの生活に中にはリズムがたくさん隠れています。
しかし長い間リズムがどのような遺伝子に関係があるのかは分かっていませんでした。
2022年9月に発表されたヴァンダービルト大学の研究では、リズム感は69ヶ所の遺伝子によるものということが判明しました。
参考文献)Genetic Link to Moving to the Beat of Music
参考論文)Genome-wide association study of musical beat synchronization demonstrates high polygenicity
遺伝子に刻まれたリズムの才能
この研究は被験者60万人以上を対象に、音楽に合わせて体を動かす能力とそれに関係する遺伝子を調査したものです。
リズム感がある人とない人ではどんな遺伝子に違いがあるかを調べることにしました。
「音楽のリズムに合わせて手拍子を叩けるか。」という質問対する主観的な回答と、過去の研究の客観的なデータを照らし合わせて検証を行いました。(下図はその実験の結果)
具体的には、表示さてた音符通りに叩けるかどうかの自己報告と実際にリズムに合わせてタップできるかをなどをチェックしています。
その結果67の常染色体(性染色体以外の染色体)と2のX染色体において反応が見られました。
この研究の面白いところは、リズム感と身体能力に関係性があることです。
音楽的な能力が高い人はリズム感も高い可能性があることも研究によって示されていますが、それはまぁそりゃそうだろうと思う方は多いかと思います。
さらに研究を突き詰めると、リズム感がある人は脳の処理速度が早い特性や呼吸能力が高く息切れしにくい特性があることが示唆されています。
また握力や歩行速度など身体的な遺伝子特性がある可能性が高いことも分かりました。(下図参照)
また睡眠に関する遺伝子にも相関性が見られ、リズム感の高い人は夜型の遺伝子を持っている場合が多いことが分かっています。
確かにライブハウスなどは夜に行くことが多いですが、結果的にそれとも関係があるのかもしれませんね。
もしかしたら作曲や練習は夜にやった方が効率的なのかもしれません。
まとめ
・リズム感は69ヶ所の遺伝子が関係している
・リズム感高=脳の処理速度も身体的な優位性を持つ可能性がある
・リズム感がある人は夜型人間に多い
以上、リズム遺伝子の研究のまとめでした!
この研究によって発達言語障害などの表現領域に対しての理解が深まることや、パーキンソン病や脳卒中に対するリハビリテーションに応用できるとされています。
赤ん坊であっても言語を理解するより前に一定のリズムによる“言葉”があり、子守唄などにも敏感に反応しますよね。
きっと言語よりも前に動物に訴える何かが遺伝子にはあるのではないかと胸を躍らせてしまいます。
また大規模なゲノム分析ができるようになれば、健康との関連や行動についても明らかになると注目を集めています。
もしかしたら人間だけではなく動物にもこの応用がきいて、より意思疎通などができるようになると面白いですね!
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