15~16世紀に起こったルネサンスと宗教改革によって、神を絶対視する世界は崩れていきました。
人々は教会の教えを盲信せず、合理的に物事を考えるようになっていきます。
その一例が、ガリレオ・ガリレイやケプラーが唱えた“地動説”です。
それまで地球を中心に天体が回る天動説が主流で、天の先に神の世界があるとされていました。
アリストテレスが天動説を理論立てて以降、この天動説を軸に神の存在も信じられてきました。
それまでの宗教観を根底から覆す出来事でした。(そう考えるとガリレオの地動説を受け入れたくない人がいたのも分かりますね。)
フランシス・ベーコン
ベーコン
知識は力なり。
信仰上位だったこれまでの世界が合理性と自然科学の世界へと変わる中、その先駆けとなった人物が“フランシス・ベーコン”です。
彼は帰納法を体系づけた人物です。
帰納法はある事象について、事実を根拠に原理や法則を導き出す方法です。
例えば、
・ソクラテスは死んだ
・プラトンは死んだ
・アリストテレスは死んだ
よって人は死ぬ
・Aの象は鼻が長い
・Bの象は鼻が長い
・Cの象は鼻が長い
よって象の鼻は長い
など見える事実を根拠に原則を導いていきます。
一見単純に見えますが、ここには神の介入の余地がありません。
人間が生きている現実世界の出来事のみで理論立てていく、正に近代科学に通ずる方法論の誕生でした。
ベーコンは有限である世界の中で、事実を見て理論を積み上げていけば、いつかは世界の核心にたどり着けると考えていました。
「知識は力なり」
彼が言ったとされる言葉ですが、知識こそ人類が身につけるべき力であるという信念が伺ええます。
そんな彼の帰納法に基づく哲学の考え方を“経験論”と言います。
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