(↑前回記事)
前回までの資本論では、“貨幣と資本の違い”についてまとめていきました。
資本=増える貨幣とまとめましたが、本来等価交換が基本である流通の中でどうやって資本が増えるのか…。
今回の資本論は増えた分の貨幣…その名も“剰余価値”をテーマにし、資本の謎に迫っていきます。
労働力=価値を増やす
マルクスは、貨幣を資本にするには資本家がある特殊な商品を見つけなければならないと述べています。
その特殊な商品が“労働力”です。
労働力が特殊であると彼が言っている理由は、労働力という商品の使用価値が別の商品の価値を増やしたり創造したりすることにあるからだと考えたからです。
では労働力とは一体何なのか…
まずは労働者という視点から見ていきます。
労働者=労働力しか持たない者
労働者とは自分の売るものが労働力という商品しか持たない者であるとマルクスは言っています。
資本家と労働者は市場においては平等です。
労働者は自由な意思で資本家と契約を結び、資本家は働いた分(基本的には時間)だけの賃金を支払います。
あくまで労働力は労働者の所有物なのです。
もし労働者が労働力を全て売ったとしたら、それは一日中こき使われる奴隷と変わりません。
このことから労働力というのは、奴隷でもない、臣下でもない、労働者という資本を持たざるものから生まれた特殊な商品なのです。
労働力の使用価値と価値
労働力も商品である以上、使用価値と価値を持ちます。
使用価値とは人にとってどのように役立つのかを表したものです。
価値とは他のものと交換できるかどうかを表したものです。
歴史上に貨幣が登場してからは、どれだけ貨幣と交換できるかを表したものと考えられます。
労働力の使用価値ははじめに述べたように、別の商品の価値を増やしたり創造したりすることです。
対して労働力の価値(交換価値)は、労働力を再生産する為にかかる時間と費用だとマルクスは言っています。
つまり労働力に払っている賃金(給料)は、労働者が毎日労働できる能力を維持するためのものだということです。
帰る家を確保するため…
食べるための食糧を確保するため…
寒さをしのぐための暖房設備を整えるため…
そして休みをとってまた働きに来てもらう。
労働者に与えられる賃金は、労働力を確保するためのエネルギー源でしかないということですね。
資本家は価値と同じ額を支払わない
ここまで労働力には価値があることを説明してきました。
労働の価値は貨幣と交換することができますが、資本家(雇い主)はそれと同じ額を給料として支払うことはしません。
労働の価値と同等の貨幣と交換してしまうと、資本家は何の得もないからです。
この労働者に与えられなかった差額分が、“G→W→G+剰余価値”の中の剰余価値として現れるのです。
増える貨幣=資本という定義でしたから、正にこれは資本を生み出していることに他ならないのです。
まとめ
・資本=増える貨幣(前回の復習)
・労働者=労働力しか持たない者
・労働力にも使用価値と価値がある
・使用価値=他の商品の価値を増やすor作る
・価値=また働くために必要なお金と同等
・資本家はその費用を全て払うことはない
・その差額(剰余価値)が資本になる
以上、資本家が労働者から資本を得る関係性をまとめました。
“剰余価値は搾取されたお金だ”とマルクスは言っています。
資本家の目的は剰余価値を無限に増殖させることにあります。
その剰余価値を増やすために資本家が最初に取る手段は、
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“労働時間の際限なき延長”です。
続きは次回の記事にて!
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