【行動経済学⑩(最終回)】食べすぎ買いすぎはバイアスの影響?〜投影バイアスと帰属バイアス~

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この記事では以前概要をまとめた、【要約】行動経済学ってそういうことだったのか!【紹介】の内容をさらに深堀りながら復習していきます。

     

著書で紹介されている“プロスペクト理論”“バイアス”などの用語を中心に1、2テーマずつまとめようと思います。

      

今回のテーマは“投影バイアス”です。

      

 

今回で本書や関係する書物からのまとめは最後になります。

 

最後に紹介するのは“無意識に思い込んでしまう”ある心理的な傾向(バイアス)についての内容です。

 

みなさんはバイキングや食べ放題などで、「余裕で食べ切れる」と思って取りすぎたり頼みすぎたりしたて後悔した経験はないでしょうか?

 

また、お腹を空かせた状態で買い物に行った際、食材を買いすぎたり追加でお菓子など余計な買い物をしてしまった経験はないでしょうか?

 

それは“投影バイアス”が悪さをしているからかもしれません。

 

 

投影バイアス

投影バイアスとは“現在の状況が将来も続く”と考えてしまう心理的な偏りのことです。

 

先ほどの食べ放題の例では、

・お腹が空いた状態が将来も続くと勘違い→ついつい多く頼んで後悔

・今食べたいものがこれだという状態が将来も続くと勘違い→飽きてしまい後悔

などバイアスが働いたことで説明がつきそうですね。

 

本来であれば少しずつ食べながらその時の好みに合わせて食べるべきですが、食べる前の印象によって合理的な判断ができなくなってしまったと考えられますね。

 

これは何もお腹が空いたからそう考えたというだけにとどまらず、高額な買い物でも同じような行動をとることが分かっています。

 

行動経済学者のメーガン・R・バッシー氏らが、自動車の売れ行きと天気の関係性を調べたところ、暖かく晴れた日にはオープンカーが、雪が降っている日には四駆の自動車がシーズンの平均よりもよく売れたことが示されました。

参考)The Psychological Effect of Weather on Car Purchases

 

オープンカーの例では、これから冬が来るであろう秋シーズンでも晴れの日には売上が上がったそうです。

 

現在の状況が将来も続いてしまうと考えてしまい、商品への評価が歪んでしまった例ですね。

 

本来は慎重になるべき高価な買い物でも、投影バイアスの影響を受けていることが分かります。

 

 

天気が良い日は株式も好調!

  

また、現在の状況が選択を左右する例として面白いものが挙げられていたので紹介します。

 

日本の株式市場と天候の関係を分析した天気晴朗ならば株高し(2004年 神戸大学大学院経営学研究科 加藤英明氏ら)のデータに面白い内容がまとめられています。

 

過去1961年〜2000年の40年間のデータを基に分析によると、晴れの日はそうでない日に比べて株価が値上がりする傾向があることが明らかになっています。

 

天気晴朗ならば株高し より一部引用

 

全天に占める雲の割合が50%未満なら晴れ、60%以上を晴れの日以外と定義。

 

その他異常値の排除や海外の株式の影響も考慮した結果、日経平均では、睛れの日では日次平均収益率は0.087%雲の量が60%以上の日では-0.018%とのデータが示されました。

 

雨の日でも気分が良いと感じる人はリスクを過小評価する傾向もあると指摘されていて、天気による楽観的な心理状況も株式に関係していそうですね。

  

 

帰属バイアス

最後に紹介するのは“帰属バイアス”です

 

帰属バイアスとは、過去の経験や状況が現在の行動に影響を及ぼすことです。

 

ここで一つお聞きします。

 

初めての国に行ったと仮定したとき、空港で500mlペットボトルの水が400円で売られていたとしたら購入しますか?

 

おそらく多くの方は金額を高いと感じ、購入をためらうことが予想されます。

 

ではニ度目に同じ空港に行った場合、前回と同じような印象を受けるでしょうか。

 

一度経験した記憶から、購入のハードルは下がりそうですよね。

 

このような状態は“帰属バイアス”が影響している状態と言えます。

 

そんな過去の経験を数値化して分析した研究を一つ紹介します。

 

 

経済学者カリーム・ハガグ氏らは、2014年〜2016年にあるテーマパークに訪れた来園者4万人を対象に、天気と来園の印象と再来園への影響を調べました。

参考)Attribution Bias in Consumer Choice

 

来園者には以下の質問を行いました。

・天気は来園に悪影響を及ぼしましたか?

→「強くそう思う」から「ほとんどそう思わない」の5段階評価で回答

 

この回答をもとに、以下3つのアンケートと照らし合わせて分析しました。

①リゾートホテルも含めて全体的な体験を評価してください

→「大変良い」から」「悪い」の5段階で評価

②友人や同僚にオススメする可能性はどれくらいありますか

→「とてもあり得る」から「全くあり得ない」の11段階で評価

③5年以内に再び来園しそうですか

→「間違いなくしたい」から「間違いなくしない」の5段階で評価

 

これらの質問とアンケートの照らし合わせた結果、天気の質問で悪い評価をした人は、①、②、③全てのアンケートで低い評価をつける傾向があることが分かりました。

 

天気はテーマパークの責任ではありませんが、天気によって印象は大きく変わることが示されています。

 

その後、回答者たちの50%が3年間の内に再来園していました。

 

分析を進めていく中で分かってきたのは、天気の回答で最高評価をしたグループと最低評価をしたグループでは再び来園する確率に3.2%程の差があるとさています。

 

雨を凌ぐ場所や暑さを避ける場所が少なかったという問題もあるかもしれませんが、テーマパークの価値や再来園するかどうかは別問題です。

 

過去の経験や状況が現在の行動に反映されてしまう……。

 

そんな“帰属バイアス”がこの研究では明らかになっています。

 

 

まとめ

・投影バイアス=今の状況が続くだろうと考えてしまう傾向

・高額な買い物でもバイアスの影響を受ける

・帰属バイアス=過去の経験や状況が今の行動に影響すること

・価値には関係なく天気によっても印象が左右されてしまうこともある

 

以上、投影バイアスと帰属バイアスについてのまとめでした!

 

思い返してみると自分も生活の中でこれらのバイアスに影響されてしまったことが思い浮かびます。

 

目で見たことやあり得ない確率によって思考が歪んだり、過去の経験や天気など無意識の内に行動が左右されたり……。

 

人間は思いのほか合理的に動くことができないようですね。

 

何かを成功や失敗へ導く要因は、その日の天気だったり、偶然見た時計の時間だったり、その日に交通事故を見たからだったり何気ないことがきっかけだったりするのかもしれません。

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