最近の研究を通して、大麻には何百種類もの化学物質が含まれていることが分かってきました。
CBD(カンナビジオール)は不安障害を予防する効果がみられ、小児てんかんなどの病気に由来する発作の治療にも使われています。
医療に役立つ化学物質も発見されていますが、高揚感や陶酔感による依存などの害があるなど、大麻を是非めぐる議論は今でも交錯しています。
今回の記事では医療用としての大麻にフォーカスしてまとめていきます。
FDAの承認
FDA(アメリカ食品医薬局)から承認を受けることは、医薬品や食品として安全性や信頼性が高いことを意味しています。
大麻が規制された背景や特性上、21世紀までに十分な検証や研究が行われませんでした。
FDAは近年の規制緩和から治療薬としての研究成果が出ている4つの大麻関連の医薬品を承認しました。
・大麻由来の医薬品一種
1.エピディオレックス(主成分:カンナビジオール)
・大麻関連の医薬品
2.ナビノール(主成分:ドロナビノール)
3.シンドロス(主成分:ドロナビノール)
4.セサメット(主成分:ナビロン)
それぞれ吐き気と嘔吐の抑制、治療に効果的で、ナビロンは慢性痛の緩和などにも用いられることもあるそうです。
研究と調査
2017年全米アカデミーズは、大麻に関する過去最大の大規模調査を行いました。
一万本以上の論文を再検討も含め調査の結果得られた答えの一つが、“成人の慢性痛を和らげる効果がある”ということでした。
これが事実であれば、中毒性の高い鎮痛薬の代わりに大麻が利用できるかもしれません。
現に吐き気や嘔吐の抑制などで一定の効果が現れているこや、線維筋痛症や睡眠時無呼吸症候群に対しても有効であることが分かっています。
大麻の治療薬というある程度高い認知度から、プラシーボ効果などと相まって効果が発揮されている面否定できないこともあり、今後も研究対象として関心が寄せられています。
大麻の薬=安全?
薬としても役立つ大麻は、他の薬と同様に副作用もあります。
大麻になれていない患者が摂取した場合や、一度に大量摂取した場合などは、車の運転など頭を使わなければいけない作業に支障をきたす場合があります。
大麻の成分が直接の死因になった例はありませんが、認知機能の低下による死亡事故は年数千件発生しています。
脳への影響
人間の脳が完全に発達するのは25歳までと言われています。
それまでに大麻を摂取した子どもは、注意力、問題解決能力、IQスコアなど恒久的に脳へ影響があることも示されています。
このように大麻には大きな副作用がありますが、それらを理由に全てを規制をする必要はないと考える人も増えています。
鎮痛薬の一種であるオピオイドは、過剰摂取によって2017年だけで約2万人の犠牲者を出しています。
オピオイドより安全な鎮痛薬として大麻を使用するのはある意味効果的と言えます。
また未だに治療薬のない病気の患者がCBD製剤に効果を感じていることもあり、薬効と副作用に対する議論は今後も深まっていくであろうと感じます。
コメント