日本で知られている脱毛治療&予防薬として有名なものと言えば「ミノキシジル」と「フィナステリド」かと思います。
ミノキシジルは脱毛が見られる頭皮に対して発毛や育毛に効果的とされ、フィナステリドは、ヘアサイクルを正常に戻し、脱毛(男性型脱毛症:AGA)の進行を抑える役割として使われています。
AGA治療では、この二つの薬の合わせて処方されることが多いです。
ミノキシジルは元々、血管を拡張する作用を目的として使われており、その副作用として“多毛”が見られたため、脱毛治療にも使われるようになった経緯があります。
フィナステリドも、元は前立腺肥大に対する治療薬として使われており、服用した患者から“毛が増えた”という作用が見られたため、予防薬として効果があるとして認知されました。
そして今回、フィナステリドにはさらに“血管拡張作用”があることがイリノイ大学らの研究によって明らかになりました。
これにより動脈硬化など心臓病の予防薬として効果が期待されることになります。
以下に研究についてまとめます。
参考記事)
・Surprise Discovery: Hair Loss Drug May Lower Risk of Heart Disease(2024/03/02)
参考研究)
・Finasteride delays atherosclerosis progression in mice and is associated with a reduction in plasma cholesterol in men(2024/03/Journal of Lipid Research issue3)
フィナステリドと心臓病のリスクの関係
イリノイ大学とメリーランド大学の研究チームは、脱毛や前立腺肥大の治療に使用されている薬フィナステリドが、心臓病のリスクを減らすのにも役立つことについて発表しています。
人間(男性)とマウスの両方の分析では、この薬はコレステロールの値を下げ、関連する病気の効果があると示唆されています。
体内のコレステロールが多すぎることは、アテローム性動脈硬化症(動脈に脂肪が付き、血流の妨げになる症状)などを助長するため、心臓病のリスクを高めることがよく知られています。
血管内に脂肪が沈着し、動脈を通る血液の流れを妨げると、最終的には脳卒中や心臓発作につながる可能性があります。
高脂肪食を簡単に摂取できる現代病とも言える症状ですね。
研究チームは、2009年から2016年の間に収集された国民健康栄養検査調査データベースの記録を使用し、フィナステリドを使用したグループとそうでないグループのコレステロール値やそれに関する病気の罹患率について分析しました。
対象となったのは50歳以上の155人の男性成人で、比較的小さなサンプルサイズであるため、各人がどのくらいの期間薬を服用していたかを示す記録がないため、結論はフィナステリドの潜在的な心臓の利点の弱いが興味深い提案を提供します。
イリノイ大学アーバナシャンペーン校の食品科学者Jaume Amengual氏は「フィナステリドを服用している男性は、薬を服用していない男性よりも平均30ポイント低かった」と述べています。
研究者はまた、アテローム性動脈硬化症になりやすいように遺伝子操作されたマウスを用意し、3つの異なるレベルのフィナステリドと薬物を投与されていない対照群で実験しました。
マウスは、12週間にわたって高カロリーの食事を与えられました。
食品に1キログラムあたり1,000mgのフィナステリドを与えたグループでは、食事の質が悪いにもかかわらず、コレステロールの減少が示されるなど健康上の利点の兆候があり、肝臓の脂質や炎症マーカーも少ない傾向にありました。
マウスの実験では、人間が通常毎日服用するように処方されている1~5mgの用量よりも、そのサイズ(最高用量では1日約2.5mg)と比較してより多くのフィナステリドを投与された点は注意がですが、マウスと人間の被験者間でコレステロール値の現象などが一貫していたことは事実です。
今後の研究では、フィナステリドを服用する人々についてより多様なグループでデータを収集することが求められます。
しかし、フィナステリドがすでに承認された薬であることから、未承認の薬品の臨床データを集めるよりは容易だろうとされています。
この研究は、Journal of Lipid Researchにて詳細を確認することができます。う
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