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【日本語の雑学④】実は違う「ゐ」と「い」の発音

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【前回記事】

 

この記事では、山口謠司氏が著した“面白くて眠れなくなる日本語学”より、個人的に興味深かった内容を紹介していきます。

   

著書内で語りきれていない点などもの補足も踏まえて説明し、より雑学チックに読めるようにまとめていく積もりです。

   

今回のテーマは“実は違う「ゐ」と「い」の発音”です。

 

  

 

  

文字は同じでも発音は時代によって変わる

 

フランス語に“H”の発音がないように、日本語においてもかつては、「ハヒフヘホ」という喉から出す音はありませんでした。

  

その代わりに、唇を破裂させて出す「波比富辺保(パピプペポ)」が使われていました。

  

まだ平仮名や片仮名がなかった万葉の時代です。

  

平安時代後期、源氏物語が書かれる頃には、「サシスセソ」の発音も今と違い、「ツァツィツゥツェツォ」と発音し、「タチツテト」は「ティァ、ティィ、ティゥ、ティェ、ティォ」と発音していました。

  

それでも表記する際には「サシスセソ」や「タチツテト」はと今と変わらず書かれています。

  

書かれている文字は同じなのに、時代によって発音が変わっていたということですね。

  

逆に、“文字は違うのに発音は一緒”というものが現在にはいくつか存在します。

  

その代表的存在が“ゐ”と“い”です。

 

  

実は違う「ゐ」と「い」の発音

旧仮名遣いの“ゐ”ですが、かつて13世紀半ばモンゴル軍が日本に襲来する元寇の頃まで「ウィ」のように発音されていました。

  

「犬がゐる」は「イヌがウィる」と言っていたのです。

  

もし、「イヌがイる」と発音したら、その頃の人達は「犬がどこかに入る」と解釈するだろうと著者は述べています。

  

13世紀半では、「入る」という言葉は「はいる」ではなく「いる」と発音していました。

  

「居る(ゐる)」と「入る(いる)」は全くの別物だったのです。

  

1946年4月以降、新仮名遣いで文章を書くようになってから、こういった認識が薄れていったようです。

  

  

「こんにちは」と「こんにちわ」

「こんにちは」と「こんにちわ」はどちらが正しいのでしょう。

  

もちろん「こんにちは」と書かなければ学校の先生に訂正されてしまいます。

  

しかし、現代日本語の原則に従うのであれば、「コンニチハ」と発音しなければなりません。

  

著者は現在の日本語の基準に当てはめるとしたら「こんにちわ」の方が正しいのではないかと述べています。

  

  

古語の発音が分かる理由

  

なぜ発音が違かったのかが分かるかというと、平安時代に言葉を文字で書く文化が発展する中で、“サンスクリット語”を日本語の発音に当てはめて記述した文書があるからです。

  

そういった書物の中で“オやヲは、ウの口の形から徐々に開く”といった発音の手引きが書かれていることから推測されています。

  

また、16世紀以降ではキリスト教の宣教師らによって当時の日本語の発音の記録や辞書が編纂され、古い言葉と発音を照らし合わせたりと研究が進んだことから古語の発音が現在にも残っているのです。

  

そういった歴史から、平安時代頃の発音、「を」を「ウォ」、「ゑ」を「ウェ」と発音していたことが分かっており、時を経て現在の「お」や「え」と合流たことが分かっています。

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