鉄は地球を構成する物質のうちおよそ34.6%(重さ)を占め、総重量で計った場合最も重い元素です。
宇宙では9番目に多く恒星の核融合による最後の終着点が鉄となっています。
他の金属と比べて強度が高く加工しやすいことから、世界の金属生産量の95%以上を鉄が占めています。
生物ではスケーリーフット(ウロコフネタマガイ)という巻貝が、後生動物(単細胞、原生動物を除く、体が多くの細胞からできている動物)の中で唯一、骨格に鉄を用いています。
生物ついでにアンモライトも紹介。
アンモライトはアンモナイトの化石の中でも、光沢や輝きをもつ結晶質に置き換わった宝石です。
ロッキー山脈の一部やアルバータ州の南部などを主な産地とし、CIBJO(国際貴金属宝飾品連盟)などから認定を受けたもののみがアンモライトとなります。
とはいってもアンモナイトは世界中に生息した痕跡があり、採取後の研磨や加工に宝石のように輝くものも少なくありません。
その様相は場所によって様々です。
鉄の歴史
人類史上最大の発明のひとつとも言われる鉄の加工。
人間が初めて製鉄を行ったのは、今から約4000年ほど前のヒッタイト人だと考えられています。(その他の説によると更にその1000年ほど前とも言われています。)
トトメス3世やラムセス2世が誇る最盛期の古代エジプトと互角以上に渡り合えたのは、この製鉄技術を独占できたことがあったとされています。
鉄鉱石から鉄を取り出す(酸化した鉄から酸素を除去する)ために、1000度以上の温度を長時間維持する必要があります。
さらに彼らは、鉄に炭素を混ぜることで強靭な鋼を生み出し、武器や戦車など様々な鉄器をつくりました。
この技術を門外不出としたことが、メソポタミア周辺を支配する大きな要因になったとされています。
その後いわゆる“海の民”と呼ばれる異民族によってヒッタイトが滅ぼされたことで、製鉄技術は流出。
青銅の時代は終わりを告げ、鉄の時代の幕が開けたのです。
また、ツタンカーメンとともに鉄でできた短剣が埋葬されていました。
当時エジプトで発掘されていないはずの鉄が存在した理由は、隕石によって地球に降り注いだ隕鉄を利用したからだと言われています。
人体における鉄
鉄は人体において必須元素のひとつです。
血中のヘモグロビンに含まれ、鉄と結合したヘムは酸素の運搬や貯蔵、細胞への受け渡しなど極めて重要な働きをしています。
貧血の原因に鉄の欠乏が挙げられます。
これは鉄の不足によりヘモグロビンの量が減り、体の各組織に酸素行き渡らなくなることで起こるとされています。
逆に体内の鉄が多すぎると鉄過剰症となり、倦怠感や肝障害、関節の痛みなど多くの症状を引き起こします。
鉄の一日の摂取基準は6.0~7.5mgの間で、納豆やわかめなど日常的に摂取しやすい食品、特にレバーや青のりなどには多く含まれています。
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