神に背き地獄に堕ち、地獄の支配者となったサタン(ヘブライ語で敵対者の意)。
キリスト教における悪魔は、このサタンの下に集う堕天使を指します。
サタンや悪魔たちは人を7つの大罪に誘惑する存在として忌み嫌われています。
今回はそんな悪魔に注目した一枚の絵画の紹介です。
聖人と悪魔
ミヒャエル・パッハーはとある聖人と悪魔が対面している様子を描きました。
聖人は聖ヴォルフガング(ドイツの司教)とも、聖アウグスティヌス(古代ローマの聖人)とも言われていて、それぞれ違った解釈がされています。
【聖ヴォルフガングの場合の解釈】
聖堂建設のために悪魔と契約を交わしたヴォルフガング。
条件は“完成した聖堂に最初に入った者の魂を悪魔に捧げる”こと。
無事聖堂は完成したが、ヴォルフガングが最初に入れたもの…それは狼だった。
【聖アウグスティヌスの場合の解釈】
悪魔が見せた本には人間の堕落が列挙されていた。
そこには聖アウグスティヌスが過去に起こしてしまった“祈りの唱え忘れ”も記されていた。
しかし、一切慌てることなく2本の指を立て祈り直した聖アウグスティヌス。
悪魔が指摘したときには聖アウグスティヌスの祈り忘れの項目は綺麗さっぱり消えていた…。
悪魔は怒り耳から火を噴いた。
解釈は違えど二つとも聖人が悪魔を出し抜いたことが共通しています。
また、絵に描かれている人々は悪魔を気にする様子はみられません。
これは聖人は人知れずに悪魔と戦い人々に安心をもたらしていることを表現したとされています。
…でも、ストーリーを考えるとなんだか悪魔がかわいそうになるストーリーですね。
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