紀元前5世紀頃、西洋哲学の祖であるソクラテスは、質問を投げかけ続けることによって論題に内在する誤りに気づかせる“弁証法(問答法)”を好んで用いたとされています。
古代から使われている真理追求の方法のひとつですが、その時代からおよそ1600年の後、この弁証法を独自に発展させる哲学者が現れます。
今回はそんな哲学者についての話です。
ヘーゲル
イマヌエル・カントから半世紀ほど後、ドイツにヘーゲルが誕生します。
ヘーゲルはソクラテスと並び弁証法の代名詞とも言われる人物です。
ソクラテスの弁証法は“知っているつもりになっていることに気づかせる”のに対し、
ヘーゲルの弁証法は“論題の矛盾を突き、この矛盾から新しい発見をする”という違いがあります。
正反合という考え方を生み、哲学のみならずあらゆる分野に影響を与えたドイツ観念論のひとつです。
今回はそんなヘーゲルの弁証法について触れていきます。
ヘーゲルの弁証法
すべてのものには矛盾がある。
ヘーゲルは人の周りにあるものや思想には矛盾があるといいます。
そして人の認識は、矛盾と進歩の積み重ねだと考えました。
以下に簡単な例え出します。
【ラーメンの例】
ラーメンは美味しいという命題(テーゼ)があるとします。
するとそれを否定する、ラーメンは美味しくないという反対命題(アンチテーゼ)も存在します。
それぞれ否定し合い続けることもできますが、“ラーメンには美味しいものもあれば美味しくないものある”という結論も導くことができます。
ラーメンは美味しい=正
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ラーメンは美味しくない=反
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ラーメンには美味しいものもあれば美味しくないものある=合
このように命題をより高い次元に発展させる作用をヘーゲルは“正反合”と呼びました。
また、その新たに段階に達することは止揚(アウフヘーベン)と言われます。
内在する性格や機能を捨てることなく進歩するという意味合いで使われます。
存在はすべて正と反の対立と運動を続けて正反合に至り“止揚”する。
この運動は永遠に続き、存在は自己発展を続けるというのがヘーゲルの弁証法の全体像(骨子)になります。
今回は短いながらもヘーゲルの考え方を大まかに紹介しました。
弁証法、正反合というキーワードはヘーゲルを知る上では非常に重要になっていきます。
次回の哲学ジャンルの記事でもヘーゲルについて書きます。
彼の“国家”に対する思想を、彼が主張した例を交えながら紹介していきます。
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