神話

嫉妬が生んだ神と人間の恋~クピドとプシュケ①~

神話

ヴィーナスの怒り

ヴィーナス
ヴィーナス

何の価値もない男と結ばせるのです。

あるところに、美人の三姉妹を持つ王と王妃がいました。

  

特に末っ子のプシュケは驚くほど美人で、人々の間では「まるで女神のようだと。」と広く伝わっていました。

 

それは民衆の神を崇める心が離れていってしまう程でした。

  

コレを聞いて黙っていられない神がいました。

  

美を司る女神ヴィーナスです。(ギリシャ神話ではアフロディーテ)

  

サンドロ・ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」1483年頃

  

人間が神のように美しいと言われていることが我慢ならず、プシュケを懲らしめようと画策します。

 

ヴィーナスはクピド(キューピット)を呼びこう命令しました。

  

「お前の矢を使ってプシュケが何の価値も無い男と結ばれるようにしなさい。」

 

命令を聞いたクピドは、早速その夜にプシュケの元に向かうことにしました。

 

  

クピドの矢とプシュケ

虫と風の音ばかりが響く深い夜、クピドは命令を実行します。

 

クピドが何かの拍子に矢でプシュケの身体に触れると、彼女は目を覚ましてしまいました。

 

プシュケはクピドを認識することができませんでしたが、クピドははっきりとプシュケの姿を見ました。

  

なんと美しい人間がいたことか。

 

クピドは彼女の美しさに驚き、誤って矢を自分に刺してしまいます。

  

この瞬間、クピドはプシュケを愛さずにはいられなくなりました。

  

ヴィーナスの命令も失敗に終わり、気が動転したクピドはその場から飛び去っていきました。

 

  

アポロンの予言

アポロン
アポロン

人間と結ばれることはない。

それから月日が過ぎたある頃、姉の二人は無事に結婚することができましたが、プシュケは独り身のままでした。

 

神々し過ぎるほどの美しさ故、求婚を求める声があがりません。

 

これは何かの呪いや罰ではないかと疑った両親は、予言を司る神アポロンの神殿に神託を授かりにいきました。

  

司祭云わく、

「プシュケは人間と結ばれることはない。」

  

神託を聞いたプシュケと両親は、悲しみに暮れました。

  

しかしアポロンのお告げは絶対です。

 

プシュケは運命を受け入れ、婚礼の儀を執り行うため山頂を目指します。

  

エドワード・バーン=ジョーンズ作「プシュケの結婚」1895年頃

 

山頂付近まできたプシュケは、心の整理をするために途中から一人で登ることにします。

  

山頂にたどり着いた彼女は不安でいっぱいでしたが、時間が経つに連れて落ち着きを取り戻します。

  

するとそこに西風の神ゼピュロスが現れました。

 

ゼピュロスが風でもって彼女を持ち上げると、瞬く間に彼女を遠くまで運んでいってしまいました。

 

西風の神ゼピュロス

  

 

続く↓

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