ルソーが考えた自然状態
自然法は完全である。
トマズ・ホッブズは”人間が自然状態の頃は常に争っていた”と考え、自然状態の不完全性を主張しました。
これに対しジャン=ジャック・ルソー(1712~1778年)は、“人間が自然状態の頃は自身を大切にしていた”と考え、自然状態は完全であることを主張しました。
本来人間は、他者を押しのけるという発想をもっておらず、獲物や領地の奪い合いなどで傷つけ合うことはなく、人間が知能を発達させ物質文明を作り上げたことで、貧富の格差生まれていった。
その結果、自己の資産を守るために争うようになったことで、ホッブズが考えたような自然状態の不完全性が生まれたのだと考えました。
一般意志
自然に還れ。
ルソーは自然状態の完全性を考えている中で“一般意思”という概念を生み出しました。
一般意思は、自然状態だった頃の人間が本来持っていた、自己肯定感(セルフイメージ)や他者への愛を更に発展させたものです。
ある国や組織に属している人間が、自分の利己心ではなく公共の正義を欲する意思と言えます。
例えば、原子力発電所は必要か否か…。
原発に賛成する人、反対する人、条件付きで賛成、一部反対など様々な考え方がありますが、国(公共)にとって良い事なのか悪い事なのかこれを考える…。
これが一般意思の例と言えるでしょう。
ルソーの社会契約では、個人の利己心や思想ではなくこの一般意思のもとで、国民や市民などの代表を決めるべきであると主張したのです。
この一般意思について考え行動することで本来の自然状態に戻っていき、社会が理想に近づくという考え方であることが分かります。
彼が残した“自然に還れ”という言葉は、単に原始の自然状態に戻るというだけでなく、人間本来の主権を取り戻そうという思想が含まれていたのです。
またこの考えはホッブズの社会契約説同様、フランス革命やアメリカ独立に多大な影響を与えたことで知られています
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