の続き…。
第十の試練:ゲリュオンの紅い牛の捕獲
ヘラクレスの次なる試練は、孤島エリュテイアに向かい、ゲリュオンが所持する紅い牛を連れてくることでした。
・ゲリュオンとは…?
エリュテイアという島に住んでいる、三つの身体と三つの頭そして六つの腕を持つ怪物です。
牛飼いのエウリュティオンと番犬オルトロスと共に暮らしていました。
・オルトロスとは…?
怪物製造機ことエキドナを母とする、二つの頭を持つ怪物です。
兄弟には、冥界でハデスに飼われているケルベロスや、既にヘラクレスに退治されてしまったヒュドラがいます。
ヘラクレスに退治されてしまったネメアの獅子は、オルトロスの子どもです。
(殺された兄弟の毛皮を被った男が目の前に現れるなんて、なかなかショッキングですね。)
ヘラクレスの柱
エリュテイアに向かう途中、ヘラクレスはアトラス山を通らなければなりませんでした。
アトラス山を登るよりも近道だと、自身が持っている棍棒や矛で山を真っ二つにしたそうです。
これが原因で大西洋と地中海が繋がり、その境目がジブラルタル海峡となったと言われています。
こうして別れた山の端が、ヘラクレスの柱として名所になっています。
エリュテイア島に着いたヘラクレス
長い旅路を経てエリュテイア島にたどり着いたヘラクレス。
最初にヘラクレスの存在を察知したのは番犬オルトロス。
しかしヘラクレスは強かった。
一撃必殺のヒュドラの毒を塗った矢を射られ殺されてしまいます。(棍棒で殴り殺された話もある。)
(殺された兄弟の毒で死ぬなんて、なかなかショッキングですね。)
ヘラクレスに立ち向かうゲリュオン
騒ぎを聞きつけた牛飼いのエウリュティオンが、ヘラクレスに立ち向かいっていきましたがダメでした。死にました。
この様子を見ていた別の牛飼いのメノイテスが、このことをゲリュオンに知らせにいきます。
ゲリュオンは我が島を荒らす不届き者を成敗すべく、鎧を身にまといヘラクレス迎撃に向かいます。
しかし、あのヘラクレスを相手に激しく奮闘をするも、最後は返り討ちにあってしまいます。
【余談】
抒情詩ゲリュオネイアでは、ゲリュオンは優雅で高貴な人物として描かれていて、ヘラクレスは野蛮で好戦的な人物として描かれています。
ヘラクレスに立ち向かったゲリュオンは、矢で射られながらも勇敢にヘラクレスに立ち向かっている様子が描かれています。
ゲリュオンの牛を連れて帰る途中、紅き牛の美しさにポセイドンの息子イアレピオンとデルキュノスが奪いに来ましたが、これをあっさりと撃退。
また、エリュクス王と牛をめぐって3度のレスリングを挑まれましたが、いずれも圧勝。三度目にはエリュクス王を殺してしまいます。
こうして帰路いくつものトラブルを乗り越え、やっとミュケナイに帰ってきたヘラクレス。
エウリュステウスに牛の確保の報告をし、第十試練を達成しました。
神でなければ達成できない究極の試練の追加
今回のゲリュオンの牛の捕獲をもって、全ての試練が達成するはずでした。
しかしエウリュステウスは、
・ヒュドラ退治の時に他人の手を借りたこと
・アウゲイアスの家畜小屋掃除のときに見返りを要求したこと
これらを理由に、二つの試練の達成を認めていません。
今までの試練も、いつヘラクレスが死ぬのかを試していたような試練でした。
どれも見事達成してくるこの男に、遂に人では達成不可能な試練を追加します。
第十一試練:ヘスペリデスのリンゴの入手
ヘラの所有する天界の果樹園にあるリンゴの入手すること。
第十二試練:冥界にいるケルベロスを連れてくる
人間の世界ではない、冥界の王ハデスが所有するケルベロスを連れてくること。
これを達成すれば、我が子を殺してしまった罪を償うこと、不死の身体を手に入れ神の一員となることができます。
さて、ヘラクレスの運命や如何に!
次回:ヘスペリデスのリンゴ
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