紅茶は骨に良い

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温かい紅茶は、体を温めて気持ちを落ち着かせてくれる飲み物として親しまれていますが、実はそれ以上の健康効果を秘めている可能性があります。

  

昨年11月に学術誌 Nutrients に掲載された新たな研究によると、高齢女性において、お茶を飲む習慣が骨密度の高さと関連していることが示されました。

 

一方で、コーヒーの摂取については、骨の健康に明確な利点は認められなかったと報告されています。

  

以下に研究の内容をまとめます。

 

参考記事)

Drinking Tea (But Not Coffee) Might Actually Be Good for Your Bones(2026/01/01)

 

参考研究)

Drinking Tea (But Not Coffee) Might Actually Be Good for Your Bones(2026/11/23)

 

  

骨粗しょう症と高齢女性の深刻なリスク  

骨粗しょう症は、世界的に見ても極めて重要な公衆衛生上の課題です。

 

50歳以上の女性では約3人に1人、男性でも約5人に1人が影響を受けるとされており、骨がもろくなることで骨折のリスクが高まり、生活の質の低下や要介護状態、さらには死亡リスクの増加にもつながる疾患でもあります。

  

特に女性は、閉経後にエストロゲンの分泌が急激に低下することで骨量の減少が加速するため、加齢に伴う骨密度低下の影響を強く受けやすいことが知られています。

 

そのため、高齢女性を対象とした骨の健康に関する研究は、予防医学の観点からも重要性が高いといえます。

 

  

10年間の大規模追跡研究

今回の研究を主導したのは、オーストラリア・アデレードにあるフリンダース大学の研究チームです。

  

研究者らは、65歳以上の女性約1万人を対象に、約10年間にわたる追跡調査実施しました。

  

この研究では、参加者の紅茶およびコーヒーの摂取習慣を調査するとともに、股関節および大腿骨頸部の骨密度(Bone Mineral Density:BMD)を測定しました。

  

これらの部位は、骨密度が低下すると骨折リスクが著しく高まることが知られており、骨粗しょう症の評価指標として重要な部位です。

  

 

お茶を飲む人ほど股関節の骨密度が高い

10年間の追跡調査の結果、紅茶を飲む習慣がある女性は、まったく飲まない女性と比べて、股関節の骨密度が有意に高かったことが分かりました。

Drinking Tea (But Not Coffee) Might Actually Be Good for Your Bonesより

コーヒーおよび紅茶の摂取量と、骨密度(大腿骨頸部BMD・股関節全体BMD)との関連を、高齢女性を対象に解析した結果を示した図

・コーヒー摂取について(A・B)

コーヒーの摂取量が増えるにつれて、大腿骨頸部BMDおよび股関節全体BMDはわずかに低下する傾向が見られた。

特に中等量までの摂取では、骨密度への影響はほとんど認められなかった。

  

・紅茶の摂取について(C・D)

紅茶の摂取量と大腿骨頸部BMDとの関連はほぼフラットで、明確な増減傾向は確認されなかった。

紅茶の摂取量が多いほど、股関節の骨密度が高い傾向が確認された。

  

これは、単なる「飲む・飲まない」の違いではなく、摂取量と骨密度との間に用量反応関係が示唆される結果といえます。

 

コーヒーについては、1日2〜3杯程度の適度なコーヒー摂取は、骨密度にほとんど影響を与えなかったものの、1日5杯以上の多量摂取では、むしろ骨密度が低下する傾向が認められました。

 

この結果は、過去に報告されてきた「過剰なコーヒー摂取は骨密度低下や骨折リスクの上昇と関連する」という研究結果とも一致しています。

  

 

紅茶に含まれる成分が骨を守る可能性

 

では、なぜ紅茶が骨の健康に良い影響を与える可能性があるのでしょうか。

 

その鍵となるのが、紅茶に豊富に含まれる抗酸化物質やカテキン類です。

 

抗酸化物質が骨の老化や骨量減少に関与する酸化ストレスを抑制する可能性があることや、カテキンが骨形成を担う骨芽細胞の活性を高め、骨を分解する破骨細胞の分化を抑制する可能性があることが主な理由と考えられます。

 

ただし、これらの作用は主に基礎研究や動物実験を通じて示唆されてきたものであり、人間における直接的な因果関係が完全に証明されているわけではありません。

 

 

この研究は因果関係を証明するものではない 

重要な点として、この研究は観察研究であり、紅茶を飲むことが直接的に骨密度を高めたと断定することはできません

 

研究者自身も、結果はあくまで「関連」を示したものであり、因果関係を証明するものではないと強調しています。

 

さらに、この研究には以下のような限界もあります。

• 紅茶やコーヒーの種類(緑茶、紅茶、ハーブティー、カフェイン量など)が詳細に区別されていない

• 飲料摂取量が自己申告であり、記憶違いや誤差が含まれる可能性がある

• 参加者の多くが白人の高齢女性であり、他の人種や年齢層に結果をそのまま当てはめることは難しい 

 

そのため、結果の一般化には慎重な解釈が必要です。

 

  

骨の健康に最も重要なのは生活習慣全体 

専門家たちは、「骨を守るために今すぐ紅茶を大量に飲むべきだ」とは勧めていません。

 

ただし、紅茶の摂取が骨密度に悪影響を及ぼす可能性は低く、安心して楽しめる飲み物であるという点については、比較的意見が一致しています。

 

骨の健康を維持するために、現時点で最も確実とされているのは、以下のような基本的な生活習慣です。

• 定期的な運動(特に負荷のかかる運動)

• カルシウムとビタミンDを十分に含むバランスの取れた食事

• 過度な飲酒や喫煙を避けること 

  

これらは、Bone Health & Osteoporosis Foundationなどの専門機関も推奨している確立された予防策でもあります。

   

食生活を第一とした生活習慣を整えることが大前提ということですね。 

 

まとめ

・フリンダース大学の研究により、高齢女性では紅茶の摂取と骨密度の高さに関連が見られた

・コーヒーは適量では影響が少ない一方、多量摂取では骨密度低下と関連する可能性がある

・因果関係は証明されておらず、骨の健康には運動や栄養など総合的な生活習慣が最も重要

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