代謝といえば、食べ物をエネルギーに変換する体のプロセスとして知られています。
これは消化、呼吸、血液循環、体温調節など、さまざまな機能に関わっており、健康を保つ上で欠かせない要素です。
代謝の速さは遺伝、健康状態、ライフスタイルなどの要因によって決まります。
代謝が遅いと、消費カロリーが減るため、食欲増進、肌の乾燥、疲労、気分の変動などの症状が現れることがあります。
今回は、そんな代謝がテーマです。
各研究から判明している代謝に不具合が生じているサインについて列挙し、最後には代謝を改善する方法についてもまとめていきます。
1. いつも疲れている
理由もなく常に疲れていると感じる場合、代謝の低下が原因かもしれません。（Nutritional Status as a Mediator of Fatigue and Its Underlying Mechanisms in Older Peopleより）
代謝が遅いと、食べ物をエネルギーに変換する速度が落ちるため、エネルギーレベルも低下します。
その結果、日中に眠気を感じたり、すぐに疲れてしまうことがあります。
また、食事の変化や体脂肪率の増減によっても、疲労を感じやすくなることがあります。
2. 肌が乾燥する
寒い時期に肌が乾燥するのは一般的ですが、季節に関係なく肌が乾燥する場合は、代謝の低下が関係している可能性があります。
甲状腺ホルモンは代謝のスピードを調整するだけでなく、肌の水分バランスを保つ働きもしています。
そのため、甲状腺機能が低下し、代謝が遅くなると、異常な乾燥肌になることがあります。（Hypothyroidismより）
3. 体重増加
健康的な食事をとり、運動をしているにもかかわらず体重が増えてしまう場合、代謝が遅いことが原因かもしれません。（Metabolic Consequences of Weight Reductionより）
代謝が遅いと、食べ物をエネルギーに変える速度が落ちるため、消費カロリーが減り、余分なカロリーが脂肪として蓄積されやすくなります。
4. 寒さに敏感
気温が下がっていないのに寒さを感じる場合、代謝機能の低下が影響している可能性があります。
体温は代謝のプロセスによって生成されるため、体温が低いことは代謝が遅いことのサインです。
例えば、甲状腺機能低下症（Hypothyroidism）や肥満の人は、通常よりも体温が低いという研究結果があります。（Do the Obese Have Lower Body Temperatures? A New Look at a Forgotten Variable in Energy Balanceより）
これは、ホルモンバランスの乱れにより、体が十分な熱を生み出せなくなるためです。
5. 食べ物への欲求が増える
特に糖分や脂肪分の多い食べ物が欲しくなる場合、代謝の低下が原因かもしれません。（Food cravings: Associations with dietary intake and metabolic healthより）
研究によると、食欲は代謝と密接に関係しており、栄養バランスの悪い食事や筋肉量の減少が食欲増進につながることが分かっています。
また、食べ物が適切にエネルギーに変換されないと、体がエネルギー不足を感じ、さらに食欲が増すことがあります。
6. 気分が変わりやすい
気分に上下があるのは普通ですが、頻繁にイライラしたり、気分の浮き沈みが激しい場合は、代謝の低下が関係しているかもしれません。
代謝が遅くなると、エネルギーレベルが低下し、ホルモンバランスも乱れやすくなります。これがストレスやイライラ、抑うつ状態を引き起こす原因となることがあります。
また、過去の研究では、精神的な健康状態と代謝の低下の関連性も指摘されています。（Metabolic syndrome and mental illnessより）
7. 消化不良を感じる
消化と代謝は密接に関係しています。消化は食べ物を分解するプロセス、代謝は食べ物をエネルギーに変換するプロセスだからです。（Circadian Rhythms and the Gastrointestinal Tract: Relationship to Metabolism and Gut Hormonesより）
そのため、代謝が遅くなると、消化機能も低下し、便秘や膨満感、下痢などの症状が現れることがあります。
代謝が遅くなる原因
代謝の速さは以下の要因によって決まります。
• 遺伝: もともと代謝が遅い人もいれば、速い人もいる
• 年齢: 加齢とともに代謝は自然に遅くなりますが、本格的に低下するのは60代以降とされている［1］
• 性別: 男性の方が筋肉量が多いため、一般的に代謝が速い傾向にある。一方、女性は体脂肪率が高く、筋肉量が少ないため、代謝が遅くなりやすい。［2］
• 食事: 栄養不足や低カロリー・高脂肪の食事は、代謝を遅くする要因になる。［3］
• ライフスタイル: 運動不足や睡眠不足、慢性的なストレスは、代謝の低下を引き起こす。
• 健康状態: 糖尿病や甲状腺機能低下症は、代謝の低下につながる可能性がある。［4］
• 環境: 化学物質や毒素への曝露が代謝を乱し、肥満につながる可能性があるとされています。［5］
代謝を高める方法
すぐに代謝を改善する方法はありませんが、以下の習慣を続けることで、徐々に代謝を高めることができます。
• 栄養バランスの良い食事をとる: 特にタンパク質を多く含む食事は、代謝の維持に役立つ。［5］
• 適切なカロリーを摂取する: カロリー不足になると体が省エネモードになり、代謝が低下するため。［6］
• 運動を取り入れる: HIIT（高強度インターバルトレーニング）や筋トレは、筋肉量を増やし、代謝を促進する。［7］
• 十分な睡眠をとる: 睡眠不足は代謝を乱し、食欲やホルモンバランスに影響を与える。［8、9］
• ストレスを減らす: 慢性的なストレスは脂肪燃焼を妨げ、代謝を遅くする原因になる。［10］
まとめ
・代謝の低下は、疲労、体重増加、寒さ、食欲増進、気分の変動などの症状を引き起こす
・代謝が遅くなる原因には、遺伝、年齢、食事、ライフスタイル、健康状態などがある
・運動、適切な食事、十分な睡眠、ストレス管理を心がけることで、代謝を改善できる
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