チリは世界最大の銅輸出国です。
国のGDPの15%を銅の生産によるもので、それに伴って環境を汚染する物質も発生しています。
今回はそんな環境問題を解決するかもしれない、とある研究成果についての話です。
参考)Chilean scientist plans to clean up mining with ‘metal eating’ bacteria(2021年10月9日)
鉄を食べる微生物
工業都市アントファガスタにある研究所に属する研究員ナダック・レアレス氏は、極限環境微生物を使ってあるテストを行いました。
レアレス氏が注目したのは鉄酸化細菌(Leptospirillum)です。
鉄酸化細菌は2価の鉄(Fe2+)を3価の鉄(Fe3+)に酸化させて増殖する微生物のことです。
彼女は海抜4,200メートルに位置するタティオ間欠泉から、ある細菌を抽出しました。
この細菌は鉄を食べる能力があることが分かりましたが、1本の釘を食べるのに1か月必要でした。
2年の研究の結果、細菌が飢餓状態にすることで釘を崩壊させる速度を著しく増加させることに成功しました。
なんと1本の釘を3日で食べ尽くし、液体の残留物に変えることができます。
環境にやさしい
この細菌は、科学的な検査によって環境にも人間にも有害でないことが分かっています。
またこの細菌が生み出す生成物は、鉄に限らず鉱物資源の回収率アップも可能であると言います。
特にチリにおける銅の抽出では、化学物質の使用よりもクリーンで持続可能な方法として注目を浴びています。
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