科学

口腔がんの症例が増加、原因は砂糖入り飲料か?

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近年、口腔がん(Oral Cancer)の症例が増加しています。(A review of water fluoridation studies and the effect on dental caries and treatment costs, undertaken in Scotlandより

 

その原因として、喫煙や飲酒といった従来のリスク要因とは異なる、新たな生活習慣が関係している可能性が指摘されています。

  

特に、砂糖入り飲料の摂取が口腔がんの発症リスクを高めるという研究結果が、ワシントン大学の研究チームによって発表されました。

  

以下の記事と研究を参考に、今回のテーマとしてまとめていきます。

 

参考記事)

Oral Cancer Cases Are on The Rise, And Sugary Drinks Could Be to Blame(2025/03/28)

 

参考研究)

High Sugar-Sweetened Beverage Intake and Oral Cavity Cancer in Smoking and Nonsmoking Women(2025/03/13)

 

 

砂糖入り飲料と口腔がんの関係

 

本研究では、公衆衛生データベースを用いて、30年間にわたる162,602人の女性の食生活と健康データを分析

 

その結果、1日1本以上の砂糖入り飲料を飲む女性は、月に1本未満しか飲まない女性に比べて、口腔がんの発症リスクが4.87倍に上昇することが明らかになりました。

 

さらに、アルコールや喫煙をほとんど、またはまったくしない女性でも、砂糖入り飲料を毎日摂取していると、発症リスクが5.46倍に跳ね上がることが判明しました。

 

口腔がんの主なリスク要因として、従来は喫煙・飲酒・ヒトパピローマウイルス(HPV)感染などが挙げられていました。

 

しかし、近年では、これらのリスク要因を持たない人々の間でも口腔がんの発症例が増加しており、研究者たちはその原因を解明するための調査を進めています。

 

今回の研究では、喫煙や飲酒といった従来のリスク要因を持たない女性でも、砂糖入り飲料の摂取量が多いと口腔がんの発症リスクが顕著に増加することが確認されました。

 

研究者たちは論文の中で、「喫煙習慣のない若年層の間で口腔がんの発症率が増加している。本研究では、喫煙や飲酒の有無にかかわらず、砂糖入り飲料の摂取量が多い女性で口腔がんのリスクが顕著に増加していた」と述べています。

  

  

なぜ砂糖入り飲料がリスクを高めるのか?

 

研究チームは、現代の食生活の変化が新たなリスク要因になっている可能性があると指摘しています。

  

特に、西洋型の食事は、消化器系のがんリスクを高める要因として近年注目されています。(Effect of nutrition in Alzheimer’s disease: A systematic reviewより

  

【西洋型の食事とは?】

西洋型の食事とは、以下のような特徴を持つ食生活を指します。

• 飽和脂肪酸(動物性脂肪を多く含む食品)を多く摂取する

• 加工食品(インスタント食品やファストフードなど)の頻繁な摂取

• 添加糖の多い食品や飲料を習慣的に摂取する

   

このような食生活は、慢性的な炎症を引き起こし、それが口腔がんの発症リスクにつながる可能性があると研究者たちは説明しており、「飽和脂肪酸、加工食品、添加糖の多い食生活は、慢性的な炎症を引き起こし、それが口腔がんの発症リスクにつながる可能性がある」と指摘しています。

   

また、口腔内の炎症が持続すると、細胞のDNAが損傷し、がんの発生につながる可能性があります。

  

加えて、砂糖入り飲料は、口腔内の細菌のバランスを崩し、発がん性のある化合物の生成を促進する可能性があるとも指摘されています。

  

  

今後の課題

本研究は、口腔がんの発症と砂糖入り飲料の関係を示唆する重要なデータを提供していますが、いくつかの制約もあります。

   

【研究の限界】

• 対象者が女性に限られており、男性における影響が不明

• 口腔がんの症例数が比較的少ない(124人)ため、さらなる研究が必要

• 他の生活習慣や遺伝的要因が関与している可能性がある

 

このため、研究チームは、より多くのデータを収集し、詳細な分析を進める必要があると述べています。

 

スペインのカタルーニャ腫瘍研究所(Catalan Institute of Oncology, ICO)の疫学者 Raúl Zamora Ros 氏は、「研究の手法とデータの分析は非常に優れているが、さらなる研究が必要である。特に、人工甘味料を含む飲料が同様に有害かどうかの調査も求められる」とコメントしています。

 

この研究結果は、砂糖入り飲料の健康リスクに関する新たな警鐘を鳴らすものです。

 

砂糖入り飲料が肥満や糖尿病のリスクを高めることはすでに知られていますが、口腔がんとの関連性についても、今後さらなる研究が求められます。

 

 

まとめ

・砂糖入り飲料を毎日飲むと、口腔がんのリスクが最大5.46倍に増加する

・現代の食生活が慢性的な炎症を引き起こし、がんのリスクを高める可能性がある

・さらなる研究が必要だが、砂糖入り飲料の摂取を控えることが望ましい

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