上司からの理不尽な言いつけや同僚からの不愉快な物言い……。
社会で生きていく中では、自分ではどうしよもできない様々なストレスにさらされる機会がたくさんあります。
ある人は運動で、ある人はゲームで、またある人は他人に話したりすることでそのストレスの根源たる怒り発散します。
そんな怒りの発散方法ひとつとして、怒りの感情をやその出来事を紙に書くという行為は効果的と言われています。
自分が何に怒り、どのような状態なのかを分析することで精神をコントロールするといった手法です。
今回のテーマはそんな怒りのコントロールのさらなる効果的な方法についての話です。
“怒りを紙に書く”ことに加え、“その紙を処分する”といった行為が、怒りをコントロールするうえで効果的なようです。
以下にまとめていきます。
参考記事)
・Writing Down Your Angry Feelings Is Only The First Step to Calming Your Rage(2024/04/17)
参考研究)
・Anger is eliminated with the disposal of a paper written because of provocation(2024/04/09)
紙を処分することとストレスへの影響
名古屋大学大学院の川合伸幸教授らの研究によると、自分が怒っていることを書いた紙を破り捨てたりシュレッダーにかけたりすることで、怒りが静まるということが報告されました。
研究では、合計98人の参加者を対象に、参加者がまとめた論文の質にかかわらず、まとめた内容に過度な批判的で侮辱的な評価が与えられました。
批判を受けた参加者は、自分がどのように感じているか、また自分の感情がどのように引き起こされたかについて自分の考えを紙に書き留めるよう求められました。
実験の参加者は批評を受けた後、参加者全員が主観的な怒りのレベルが増加したと報告しました。
続いて各人は批評を読み直すよう求められた。
その後、怒りの分析を記したメモを透明な紙に挟み、いくつかの指示をによって行動グループが分けられました。
あるグループ、批評された投稿を机の上に残すように指示されました。
またあるグループは、ページをくしゃくしゃに丸めるか、シュレッダーに紙を入れて処分するように指示されました。
その後に研究者らは、怒りがどのように和らげられたか(またはそうでなかったのか)をアンケートによって確認しました。
その結果、メモをゴミ箱やシュレッダーに捨てた人の場合、怒りの感情は通常の状態まで戻りました。
一方、紙を残したグループは、怒りは依然として通常よりも高いままであることが分かりました。
怒りは、社会的不正に立ち向かう際の動機付けなど、特定の限定された状況では役立ちますが、暴力、虐待、また軽はずみな行動や不適切な意思決定につながる可能性もあります。
怒りをコントロールすることは、こういった人生におけるマイナスの行動をコントロールすることにつながります。
今回の実験で行われたアンガーマネジメントの手法は、簡単ですぐに実行できる点で優れていると言えます。
河合氏らは「このアンガーマネジメントで怒りをある程度抑制できると期待していたが、怒りがほぼ完全に解消されたことには驚いた」と述べています。
研究チームはまた、清洲市の日吉神社で行われる伝統的な習慣「はきだし皿」との関連性も指摘しています。
この行事は、怒りや苦しみをお皿に書き表し、そのお皿を打ち砕くものです。
今回の研究で行われたプロセスと同じものであるため、古くから潜在的にストレスや怒りをコントロールする方法を理解していたのでしょう。
私達もそういったストレスと出会ってしまった際は、何か紙に書き出して破り捨てるといいかもしれません。
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